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地元に愛される、愛すべきバラマキ土産【九州編】




はじめに


旅先のお土産って、悩みませんか? 誰もが知る定番商品にするか、歴史ある銘菓にすべきか……。どっちもいいけれど、旅先のスーパーマーケットで、地域に根づいた“ご当地の味“を選ぶのもおすすめです。どこか懐かしいパッケージ、意外すぎる食文化、旅のエピソードと一緒に話せば、盛り上がるはず。とくに気軽に配れるお土産=「バラマキ土産」にご当地の味はぴったり。ご当地スーパーマーケット研究家の菅原佳己さんに、九州でおすすめのバラマキ土産を教えてもらいました。

Photo・Text:菅原 佳己
しょう油味より九州味!「うまかっちゃん」(福岡県)

しょう油味より九州味!「うまかっちゃん」(福岡県)


全国区のメーカー「ハウス食品」製なのに、販売エリアは九州とその周辺と限定されている即席麺「うまかっちゃん」。5個入りパックを300円前後で安売りするのが、福岡県内の全スーパーで実施される、客寄せのための定番戦略となっているほどの大定番商品です。

基本の味は「九州の味」と大雑把。しかし食べれば、旨味たっぷりの豚骨スープで、いかにも九州の味。その後、「博多からし高菜風味」「久留米風コクとんこつ」「熊本香ばしにんにく風味」「鹿児島黒豚とんこつ焦がしねぎ風味」など地域別の味や「濃厚真味」も登場し、「うまかっちゃん」で九州ラーメンの世界を楽しめるようになっています。

「うまかっちゃん」の商品開発秘話は5個パックの袋の裏にも明記されています。1978年、本州で人気のしょうゆ味の即席麺を製造していた福岡工場では、九州での売り上げが伸びないため、生産するよりも敷地内の草むしりをする日々だったとか。そこで、九州人に愛されるスープの研究が開始され、名前も博多弁で「おいしい」の意「うまかっちゃん」に決定。1979年に発売すると大ヒットし、九州で40年間愛され続けています。

即席麺売り場には地元メーカーの棒状袋麺も勢ぞろいなので、そちらも要チェックです。

◆うまかっちゃん(ハウス食品)
1袋111円、5袋入パック555円

長崎ではティファールより「マファール」(長崎県)

長崎ではティファールより「マファール」(長崎県)


なんと読むのかもよくわからず、なにやらエキゾチックな雰囲気の漂う「麻花兒」。読み方は「マファール」で、メーカーによっては「よりより」や「唐人巻」(とうじんまき)などと呼ぶ、江戸時代の長崎に伝わったとされる伝統的中華菓子。長崎中華街のお土産というだけでなく、県内のスーパーで簡単に入手できる地元食としての側面も持ち合わせています。

小麦粉、砂糖、塩を水で練り、縄のようにひねった生地を油で揚げたもので、一見、ドーナツのツイスト風ですが、実際は配ったみんながびっくりするほど硬い! ただ、噛みしめるごとに、ゆっくり口の中でほどけていく小麦の甘みと香りが、ホッとするおいしさです。

あまりに硬いため、最近は「ソフト麻花兒」も登場。自分の歯の実力にあった麻花兒をどうぞ。油で揚げているとは信じられないほどさっぱりとした後味も、伝統の技とお見受けします。お見事!


◆麻花兒(蘇州林)
7本入 500円 小腹満たしの常備ご当地食「太平燕(タイピーエン)」(熊本県)

小腹満たしの常備ご当地食「太平燕(タイピーエン)」(熊本県)


あの名物が、カップで手軽に味わえます。お土産じゃなく、常備したいほどの便利商品。お湯を入れて3分待つだけで、おうちやオフィスでの小腹満たしに、大活躍です。

1933年に熊本の中華料理店が発祥とされる「太平燕」(タイピーエン)。鶏のスープに春雨、白菜、エビ、煮卵などを入れた麺料理で、元々は中国福建省で食べられていた、ハレの日のご馳走ワンタンスープが原形と言われています。

現在では市内の中華料理店の定番メニューとなり、給食にも登場する、熊本を代表する郷土料理として定着。そして、地元食品メーカーによりマグカップ用が開発され大人気に。味も基本のチキンのほか、白湯(パイタン)とんこつ味、高菜とんこつ味、ゆず胡椒味など九州らしい味も揃い、しかも安心の「くまモン」パッケージ。取り扱いのスーパーは全国に及びますが、複数の味を揃えて渡せば、お土産としてもじゅうぶんに存在感を示せる商品です。

◆太平燕(タイピーエン)/イケダ食品
各5食入り 380円 おつまみ豆のパイオニア的存在「雀の学校ミックス」(鹿児島県)

おつまみ豆のパイオニア的存在「雀の学校ミックス」(鹿児島県)


「落花生の産地で、昔から落花生を食べる習慣があった」という鹿児島で、大阪出身の創業者が豆菓子をつくり始めたのが1955年のこと。だから鹿児島なのに「大阪屋」なんです。

その「大阪屋」が50年以上前に開発した豆菓子が、「珍々豆」(ちんちんまめ)。小粒な落花生に寒梅粉を巻いた、せんべいのような薄衣をまとったピリ辛しょうゆ味の豆菓子です。現在はおつまみ豆として定番の味ですが、当時は珍しかったため「珍々豆」と命名されました。

さらに看板商品が生まれます。卵型のしょうゆ味の衣が香ばしいサクッとした歯ごたえの「雀の卵」、きなこの甘い風味が優しい「きなこ豆」など、いずれもロングセラー品。この人気甘辛3種を小袋に個包装し大袋に入れたものが、焼酎にもお茶やコーヒーにもぴったりな「雀の学校ミックス」です。

実はこのメーカー、豆菓子のパイオニアとしてさらに時代に合った別ブランド「kono.mi」
を立ち上げ、なんと東京・日本橋の新名所「コレド室町1」にオシャレな店を展開中。その一方で、地元鹿児島では「珍々豆、ご注文の際にあたまに“お”をつけないでください」のラジオCMの会社として、誰もが親しみを感じる存在となっています。
噴煙上がる桜島の描かれたパッケージに、鹿児島の人々の強さを感じずにはいられません。



※全ての商品価格は、取材時の税別参考価格です。また予告なく商品の内容に変更が出る場合もあります。

著者プロフィール


◆菅原 佳己(すがわら よしみ)
スーパーマーケット研究家。夫の転勤で国内外の転居を繰り返すうちに、スーパーの魅力に気づき、埋もれた日常食の発掘などの研究をスタート。ご当地スーパーやご当地グルメブームの火付け役として、テレビや雑誌、新聞などで活躍している。著書は『日本全国ご当地スーパー掘り出しの逸品』『日本全国ご当地スーパー 隠れた絶品 見~つけた!』(講談社)など多数。

おわりに


気軽に現地の味覚を楽しめる、バラマキ土産。商品の歴史や背景を知れば、手渡す時に、一言添えてみたくなるはず。そのエリアに根付いた食文化をきっかけに、会話もきっと弾みます。次の旅先では、スーパーに寄り道してバラマキ土産を探してみませんか? 
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