はじめに
「長﨑堂」のカステーラといえば全国の量販店でも扱われているおもたせの定番。その本店が大阪・心斎橋にあるのをご存じですか。本店にはカフェスペースもあり、カステーラ以外にもさまざまな商品を販売。さらにここでしか買えない限定のお菓子がありすぐに売り切れてしまうほど人気を集めています。
文/田口真由美
南蛮渡来の味を守るカステーラの名店「長﨑堂」
大正8年に創業しもうすぐ100周年を迎える「長﨑堂」は長崎から伝わった南蛮菓子、カステーラの老舗。今では全国で販売されている「長﨑堂」のカステーラですが、その歴史には紆余曲折があり、戦争中には材料不足で製造ができなくなり、戦後には倒産の危機も。三代目の頃、包装紙などのデザインを一新し、カステーラだけではなく、さまざまなお菓子の開発に力を入れて、店を再建させます。昔の味を再現したいと試行錯誤し、1982年に販売した「復元カステーラ」は三代目が開発した商品のひとつ。卵、小麦粉、砂糖、米飴のみで作り上げる職人技が光る逸品で、美味しさを保つため杉箱に入れられています。「長﨑堂」を代表する究極のカステーラです。
店の歴史を感じられイートインもできる、心斎橋店本店
大阪・ミナミの繁華街、心斎橋筋商店街から一本入ったところにある心斎橋本店には素材・製法にとことんこだわったカステーラのほか、カステーラで作ったラスクやどら焼き、季節の菓子など、さまざまな商品が並んでいます。店内にはゼンマイ仕掛けのオルゴールや長﨑堂の歴史を物語る貴重な資料などが展示されていて、カステーラを珈琲や紅茶と共にゆったりと楽しめますよ。さらにここ本店と工場がある住吉店でしか販売していない商品があるんです。そのかわいい見た目から、35年以上変わらぬ人気を誇っている、その名も「クリスタルボンボン」。
繊細な口どけと大人な香りに包まれた砂糖菓子「クリスタルボンボン」
名前もかわいらしいこのお菓子は、薄張りガラスのように繊細な砂糖菓子です。オレンジ風味のコアントロー、サクランボの洋酒マラスキーノ、アニスなどハーブが香るアニゼット。3種類のリキュールが3色の小さな粒の中に閉じ込められています。口に入れると砂糖の衣がパリッとはじけ、ちょっぴり大人な香りと味が広がっていきます……。
職人が手作りで仕上げる、とても繊細で手間暇のかかるお菓子なので、「クリスタルボンボン」は数量限定。売り切れることもあるので、電話などで問い合わせるのがおすすめです。
お菓子のイメージとリンクする宝石箱のようなパッケージ
この「クリスタルボンボン」はパッケージもかわいらしく、まるで宝石箱のよう。少女の後ろ姿が描かれた箱を開けると一節の詩がはさまれています。その乙女心をくすぐる味とデザインが大阪出身の小説家・田辺聖子のお気に入りとなり、彼女の小説「苺をつぶしながら」にも登場するほど。カステーラのイメージが強い「長﨑堂」ですが、時を経ても愛される美しいデザインと職人技が光るお菓子もまた「長﨑堂」らしい一品と言えます。
◆長﨑堂 心斎橋本店(ながさきどう しんさいばしほんてん)
住所:大阪市中央区心斎橋筋2-1-29
電話番号:06-6211-0551
営業時間:10:00~18:00
定休日:不定休
「長﨑堂 心斎橋本店」公式ホームページはこちら
おわりに
ほかにも限定商品があるので、かわいい大阪土産を探しているなら是非、心斎橋本店を訪ねてみてください。カフェスペースでカステーラとお茶を楽しめば、「長﨑堂」の歴史も感じられ、ノスタルジックな気分になれますよ。