はじめに
2006年、中国の国家プロジェクトとして開通した「青海チベット鉄道」は、青海省の省都である西寧からチベット自治区首都ラサまでの総距離1956kmを走る寝台列車です。
車窓から眺める大自然と人々との出会いを大切にする旅に出かけてみませんか?
「青海チベット鉄道」とは
「青海チベット鉄道」は、世界最高峰の山脈を走る列車として知られています。4,800mの山脈を越え、最終的には世界最高地点・5,072m、世界一高い場所にある鉄道駅となっている古拉駅にまで到達します。
そもそも、目的地であるチベット自治区の区都であるラサは標高3700mの高地にある、チベットの中心地です。チベット語で「神の地」を表す通り、政治的にも、宗教的にも大事な都。ラサを目指す巡礼者が乗っている場合も多いんだとか。
ラサに到着するまでには、玉珠峰やツォナ湖といった自然の見どころがたくさんあります。世界最高峰の山脈から見る景色は、忘れられない旅の思い出として残るはずですよ。
高山対策
ラサは標高が高いため、問題になってくるのが酸素量。ですが、「青海チベット鉄道」は特別気圧装置が完備され、酸素濃度を一定に保っています。各座席に緊急用の酸素マスクや、各車両に配された酸素吸引装置の吸引チューブも無料で配られます。
また、途中駅からは医者も同乗するといった対策がとられています。
客室
「青海チベット鉄道」の走行時間は約23時間。ほぼ丸一日を過ごすことになります。
寝台車両は三段ベッドが二つある6人用のコンパートメントと、二段ベッドが二つの4人用コンパートメントが用意され、簡易な作りですが、6人用にはお湯の入った魔法瓶が置いてあるなど、不自由なく過ごせるようです。
また、リクライニングのない普通の座席もありますが、こちらはチベットに巡礼に行く人々で賑わっていることがほとんど。寝るには難しい座席なので、観光目的で乗車するのであれば避けたほうがいいでしょう。
食事も可能
食堂車には4人掛けのテーブルが並んでいて、セットメニューが提供されます。朝食は野菜中心の惣菜、おかゆなど、昼食は野菜や肉や魚の炒め物、ご飯など。
また、各車両をお弁当をのせたワゴンカーが回っているので、お弁当を買って食べることも可能です。他にもスナックが売っていたり、ティーバッグ用のお湯も用意されているので、食に困る心配はなさそうですね。
ゆったりとお茶を飲みながら車窓を眺めれば、自然が作り出した絶景を堪能することができます。「青海チベット鉄道」でなら、世界最高峰の山々とともに、ここでしか味わえない旅をすることができるはずです。
おわりに
「青海チベット鉄道」は世界一高い場所を走る列車なだけあって素晴らしい車窓が楽しめます。また、特に冬季はチベット族の人々にとって巡礼のシーズンなので、現地の人々との出会いもあるかもしれませんよ。