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JAL、自動飛行ドローンで航空機の外観検査 工数6割削減、将来の整備士不足にも対応



日本航空(JAL)とフランスの航空機整備用ドローンメーカーのDonecle(ドネクル)は、航空機の外観検査に完全自動飛行ドローンを活用する検証を開始した。


従来は整備士が機体を直接目視していたのに対し、ドローンが機体の周囲を飛行して細部を撮影し、整備士がその画像を確認する。高所作業の負担を減らすとともに、検査の標準化による品質向上を図り、将来的な整備士不足への対応や機体の迅速な運航復帰につなげていく。


両社によると、航空機メーカーの整備マニュアルで認められた完全自動飛行ドローンを使用し、実際の整備作業として実機検証を行う取り組みは国内初となる。


GVI(General Visual Inspection)と呼ばれる航空機の外観検査では、整備士が機体表面の傷や腐食、塗装の剝がれなどを目視で確認している。広い範囲を調べるため時間と人手を要するほか、垂直尾翼など高所の検査には高所作業車や足場の準備が必要となり、従来は1機あたり約5~10時間かかっていた。一方、ドローンによる検査では、準備やセットアップ、撮影、画像の確認など一連の作業を含め、1機あたりの検査時間を約2〜3時間に短縮できるという。



飛行に必要なセットアップを済ませれば、パソコンからボタン一つでドローンを飛ばすことができ、特殊な操縦操作は必要ない。操縦者の技量に左右されず、常に一定の基準で写真を撮影できる。検査の一貫性や再現性を高め、航空機の状態をデジタル記録として蓄積することも可能だ。


人員面でも効率化を見込む。従来の外観検査は少なくとも2人、作業内容によっては3~4人で行っている。これに対し、ドローンの運用は2人で行い、撮影後の画像確認は基本的に1人で担当する想定だ。ドローン検査プロジェクトのリーダーを務めるJALエンジニアリング 羽田航空機整備センター 整備技術グループの近藤弘理さんによると、「工数としては約6割の削減を見込んでいる」という。ただし、検査で不具合が見つかった場合、その後の整備作業に必要な人員は変わらない。



検証に使用するのは、ドネクルの完全自動飛行ドローン「Iris GVI」。レーザーによる測位と障害物検知技術を使い、設定された検査経路に沿って航空機の周囲を自動飛行する。機体の大きさは長さ855ミリ、幅855ミリ、高さ245ミリで、バッテリーを含む重量は3.7キロ。カメラの有効画素数は2,400万画素。


撮影した写真は、整備士が専用アプリケーションで確認・管理する。画面上の航空機の3Dモデルから確認したい部位を選ぶと、対応する写真を表示できる。腐食や亀裂、塗装の剝がれといった不具合の種類や位置を登録し、記録として残すことも可能だ。



ドローンを使用できる検査や対象機種は、航空機メーカーの整備マニュアルで定められている。現在認められているのは、ボーイング737-800型機と777型機の機体外観検査、エアバスA320ファミリーの被雷検査。今後はボーイング787型機やエアバスA350型機などへの対象拡大も見込まれている。



ドローンは現在、羽田空港に1台を配備している。JALは3月から操作者の養成や運用手順の構築を進め、6月末に実機を使った検証を開始。9月からは機体の塗装状態を確認する検証も始めた。年度内には、突発的に必要となる被雷検査や、部品脱落対策のモニタリングにも検証範囲を広げる方針だ。


近藤さんによると、737-800型機の場合、1機あたり約30分で800~900枚の写真を撮影する。大型機の777-300ER型機では、約1時間かけて1,500~1,600枚を撮影するという。



9月11日夜に羽田空港の格納庫で行ったデモ検査では、737-800型機(機体記号:JA349J)の左側を飛行しながら、14分4秒で428枚の写真を撮影した。


デモに参加した整備士は、「オペレーターによる操作が不要で、ボタン一つでドローンを動かせるのが便利。写真をこれだけのスピードで撮ってくれるので、検査時間をかなり短縮できる。品質も一定だ」と評価した。



実用化に向けては、運用上の課題も残る。空港周辺ではドローンの屋外飛行が制限されているため、現在の検証は屋内で行っている。飛行中は格納庫の扉を全て閉める必要があり、その作業に時間がかかるという。


成田空港など、他の空港への導入も検討しているが、今年度はまず、ドローン検査の有効性を確認することに重点を置く。配備する拠点や台数の拡大については今後、検証結果を踏まえて検討していく。

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