
全日本空輸(ANA)とシンガポール航空は4月17日、共同事業(ジョイントベンチャー/JV)契約を締結した。ANAにとってアジアの航空会社との初めてのJV契約となる。
両社は2004年からインターラインや共同運航(コードシェア)を行う提携関係にあり、JV開始に向けて2020年1月に戦略的包括提携契約を締結。当初は2021年冬ダイヤからJVを開始する計画だったが、コロナ禍で中断していた。その後、2024年4月19日に国土交通省から条件付きで独占禁止法適用除外(ATI)認可を取得、今年3月21日にシンガポール当局からも条件付きで承認を受けた。

両社の夏ダイヤ期間中の日本〜シンガポール線は、ANAが東京/羽田〜シンガポール線を1日2往復、東京/成田〜シンガポール線を同1往復の計同3往復、シンガポール航空が東京/羽田・大阪/関西〜シンガポール線を1日各3往復、東京/成田〜シンガポール線を同2往復、名古屋/中部・福岡〜シンガポール線を同各1往復の計10往復。
JVにより、利用客にとっては利用便や運賃の選択肢が拡大するほか、マイル積算対象の予約クラスが拡大することで、両社のマイレージ会員にとっての利便性も向上する。日本・シンガポール間の9月以降搭乗便を対象に、5月から共同運賃を発売する。なお、今回の契約には両社傘下のピーチやエアジャパン(ANAからの受託便は除く)、スクート運航便は含まれない。

東京・大田区のANAの総合訓練施設「ANA Blue Base(ABB)」では両社の調印式が開かれ、ANAの井上慎一社長とシンガポール航空のゴー・チュンポン最高経営責任者(CEO)が契約書を交わした。井上社長は「世界を代表する2つのブランドが連携し、シナジーを高めることで、お客様がこれまで体験したことのない最高品質の価値を提供する」と挨拶した。

両社は今後、日本とシンガポール以外のJV対象国となるオーストラリア、インド、インドネシア、マレーシアの4か国についても順次認可を申請する予定。
ANAはこのほか、ユナイテッド航空とアジア・中南米間で、ルフトハンザグループと日本・ヨーロッパ間でJVを展開。シンガポール航空はルフトハンザグループ、ニュージーランド航空、スカンジナビア航空、ガルーダ・インドネシア航空の4社とJVを展開している。

