日本航空(JAL)は12月10日、12月1日の午前7時20分メルボルン発東京/成田行きのJL774便(ボーイング787-8型機、機体記号:JA840J)で、乗務するパイロット2名からアルコールが検知され、同便の出発が3時間11分遅れるトラブルがあったと発表した。
JALによると、同便に乗務する男性機長A(59歳、総飛行時間15,632時間)と男性機長B(56歳、総飛行時間13,310時間)は現地時間1日午前5時前、出勤前に滞在先のホテルで自主的に行った呼気検査で、基準を上回るアルコールを検知。機長Aは会社に対し、体調不良のため出勤を1時間遅らせたいと申告し、機長Bはそのまま空港へ向かった。
その後、機長Bは空港での検査でもアルコールが検知されたことから、複数回にわたって検査を繰り返し、午前8時15分に基準を下回ったことを確認した。一方機長Aは、ホテルで再度行った自主検査で基準が下回ったことを確認し、午前6時頃に空港に向かったという。
この影響でJL744便は、定刻から3時間11分遅れの午前10時31分にメルボルンを出発し、東京/成田には2時間42分遅れの午後5時57分に到着した。乗客は103名、運航乗務員は機長2名のほか副操縦士1名、客室乗務員8名の計11名だった。
運航後の12月3日に社内で実施した聞き取り調査で、機長A・Bは社内規定を上回るアルコール量を摂取していたことが判明。乗務前日の11月30日午後2時頃から午後4時頃にかけて、2名でホテル付近のレストランを訪れ、スパークリングワイン2杯、ボトルワイン2本を注文したという。
JALは社内規定で「飛行勤務開始12時間前に体内に残存するアルコール量を4ドリンク(純アルコール換算40グラム)相当以下」とするよう定めており、乗務前の検査で呼気1リットルあたりのアルコール濃度が0.00ミリグラムを超える場合は乗務を停止させている。
JALのパイロットの飲酒によるトラブルをめぐっては、4月24日のダラス/フォートワース発東京/羽田行きのJL11便に乗務予定だった男性機長が、乗務前日に滞在先のホテルで酒に酔って騒ぎ、同便が欠航となった。同社はこれを含む一連のトラブルに対し、5月27日に国土交通省から厳重注意を受け、6月11日に再発防止策を提出している。
JALは6日に国土交通省に報告を行った。「厳重注意を受けた中でこのような事態を発生させてしまい重大に受け止めている」と陳謝し、当事者や関係者への聞き取りを進め、再発防止の徹底を図るとしている。