JR東日本グループのJR東日本スタートアップは、調理ロボット開発を手掛けるコネクティッドロボティクスと共同で、駅そば店でそばを自動で調理するロボットの本格稼働を開始した。
ロボットが導入されたのは、海浜幕張駅構内のそば店「そばいち ペリエ海浜幕張店」。厨房の茹で器に、2本のロボットアームが取り付けられている。注文が入ると、1本目のアームが1食分の生そばをケースから取り出し、てぼ(茹でざる)に投入。2本目のアームがてぼを茹で器に入れる。その後、茹で上がったそばを洗ってぬめりを取り、冷水で締める作業までを自動で行う。てぼは3つ繋がったものが複数あり、最大6食分を一度に茹でられる。その後は店員が器に盛り付けて提供する流れだ。
▲そばいち ペリエ海浜幕張店
両社では2020年3月から4月にかけて、そば調理ロボットのプロトタイプの実証実験を東小金井駅構内のそば店で実施。プロトタイプは単腕型で、生そばをてぼに入れる作業は人が行う必要があった。本格導入用のロボットではこれも自動化したことにより、作業効率が大幅に改善。1時間あたりの調理能力は40食から150食に向上した。ピーク時などでは店員1人分以上の作業量を代替できるという。さらに、券売機との連動機能も追加されており、客が食券を購入した段階で自動的に調理を始める設定にもできる。
そば調理ロボットの開発は当初、人手不足に対応するための省力化を大きな目的としていたが、コロナ禍に入り飲食店では非接触ニーズが拡大。調理ロボット導入はそれにも対応できるというメリットを持った。ロボット開発を担当したコネクティッドロボティクスの沢登哲也CEOは、今後の調理ロボットについて、「ただロボットを動かすだけでなく、券売機との連動など、システム連動を進めて非接触化を進めて付加価値を出すという方向にシフトしている」と話した。
「そばいち ペリエ海浜幕張店」が入居する駅ビル「ペリエ」を運営する千葉ステーションビルの弭間俊則代表取締役社長は、海浜幕張駅の特性を「幕張メッセの玄関駅などとして外来者が多い」と説明する。そば調理ロボットの本格導入が同駅から始まることについて、「新しい取り組みを発信するには最適な場所」と話した。JR東日本フーズは同店を足がかりに、今後2026年までに駅そば店30店舗への導入を計画している。
▲1本目のアームが番重(ケース)から1食分の生そばを取り出し、てぼに投入
▲2本目のアームがてぼを湯で器に入れる
▲茹で上がると、洗う、締める作業も自動で行う
▲ロボットの稼働状況やそばの湯で時間を管理するパネル
▲店員が器に盛り付け、そばつゆをかけて提供。冷たいそばにもできる