現在、全国的に中断しているGo To トラベルキャンペーンの再開後を見据え、旅行会社が「後付け」対応をする動きが広まっている。
「後付け」対応とは、Go To トラベルキャンペーンが再開された際に、利用者が宿泊やツアーの予約を取り直す必要なく、割引を適用できるというもの。すでに、楽天トラベルやじゃらんなどの予約サイト、JTBやHISなどの旅行会社で、同様の動きが広がっている。なお、会員登録の有無や対象となる商品などに、各社差異があるものの、Go To トラベル再開後を見据え、利用者からの予約を獲得したい思惑がうかがえる。
「後付け」には注意点
各社の「後付け」案内では、Go To トラベルキャンペーンが中断前と同じ条件で行われるかどうか、正式な発表はなく不明であり、割引率や上限額、地域共通クーポンの配布枚数などのルールが変更になる可能性があるとしている。
また、各社はGo To トラベルキャンペーンが適用されない場合でも、キャンセル料の補填はなく、規約通りキャンセル料を徴収するとしている。発表からキャンペーン開始までの期間が短い場合、キャンペーン適用が間に合わない可能性があるとしている事業者もある。
再開は不透明 思わぬ落とし穴も
そもそも、Go To トラベルキャンペーンの再開時期は不透明な状況だ。感染状況にはまだ地域によって差があるため、全国的な再開は難しい声も聞かれる。緊急事態宣言の終了を含め、先の見えない状況であることは否定できない。
また、需要を分散するため、週末やゴールデンウィークなどの大型連休の旅行は、割引率が引き下げられたり、対象外になったりする可能性も否定できない。
東京ビッグサイトで2月16日から19日まで開催された、「国際ホテルレストランショー」で講演した、宿泊施設活性化機構の伊藤泰斗事務局長は、Go To トラベルキャンペーンの基本方針は変わらないものの、延長した期間は割引率を段階的に引き下げ、休日と平日に差を付けるほか、地域共通クーポンについて再考する方針が濃厚であるという見方を示している。
再開後の内容や条件はいまだ不透明なため、以前と同じ条件ではない可能性があることを念頭に入れておく必要がある。Go To トラベルキャンペーンの利用を前提とするのではなく、あらかじめめ計画した旅行に対して、キャンペーンが適用できればよい…という姿勢が無難だろう。
予約をする際は、思わぬ「落とし穴」に注意する必要がある。最初に、各社の「後付け」の対応はそれぞれ異なっている。会員登録が必要なことや、ダイナミックパッケージなどが対象外となっている事業者もあるため、注意が必要だろう。
各社が発売している航空などの交通機関がセットになったダイナミックパッケージは、先の日程でも購入時からキャンセル料が発生することがある。交通機関を別に予約・購入した場合はそれぞれのキャンセル料規定が発生する。年度が変わる関係だろうかか、4月以降の対応が未定で、フレキシビリティが損なわれていることもある。
これらを踏まえた上で、先の日程の旅行を計画してみてほしいというのが、旅行会社が「後付け」を提案する真意だろう。