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1泊1,400円で、しかも“大浴場”完備のホテル、それが「PARK INN」【はんつ遠藤の大阪・西成C級ホテル探検(5)】




緊急事態宣言が発令中で、Go To トラベルキャンペーンも停止中の昨今。不要不急の外出は控えるべきだが、毎月、大阪へ伺う仕事があり、1月も西成へと赴いた。



前々回はGo To トラベルキャンベーンなどを併用して1泊120円(税込)のホテル、前回はそもそも割引の無い1,100円(同)のホテル。特に前回は反響が大きかったが、1.5畳という狭小な間取りなどもあり、さすがにもう少し高くても良いからある程度の広さが欲しいという意見も見受けられた。



最近、ちょっとした話題になったネットニュースで「西成1泊390円」というのがある。「HOTEL SUNPLAZA」と「HOTEL SUNPLAZA Ⅱ ANNEX」が、それ。ともに素晴らしいホテルで、特にANNEXは連載の初回に紹介させていただいている。だが、この価格はツイッタ―公式アカウントのキャンペーン告知ツイートをリツイートすれば「シングル初回1泊のみ」が390円で利用できるという限定料金。





そこで、今回は3畳一間を確保しつつも、誰でも常に低価格という1軒をご紹介したい。それはホテル「PARK INN」。1泊素泊まり1,400円(同)だ。



大阪メトロの動物園前駅より徒歩約2分という交通便利な立地で、大通りより少し入るが、いわゆる”ドヤ街”と呼ばれる西成にあっても、かなり安全な地域といえよう。以前に紹介させていただいた「ホテル来山」の向かいといえば、分かる方も多いかもしれない。



正面入口は自動ドアになっていて、ロビーはわりと広めだ。エントランスの右側にフロントがあり、チェックイン。



この手のホテルでは、鍵と引き換えにデポジット(多くは1,000円)を支払い、チェックアウト時に返却というパターンも多いが、「PARK INN」では不要。これは嬉しい。というのも、僕の場合は午前9時頃にチェックアウトなのでフロントが開いているので問題はないが、早朝に出発となると厄介なのだ。



チェックイン自体は、通常のホテルと同様。部屋の鍵を受け取るスタイルだ。エントランス奥の壁には英語で鉄道のルートが書かれていたりと、インバウンド需要にも対応していたことが伺える。とともに、指名手配犯のポスターが貼られているのも西成らしい。靴を預けることもなく、そのまま部屋まで行ける。





エレベーターに乗れば、清潔感があり、前回のように奇数階のみしか停まらないというわけもなく、通常どおり各階のスイッチがあった。





そしてエレベーターを降りると、少々暗くて昭和的だが、一般的な廊下がある。1フロアに10部屋程度とこじんまりとした作りで8階建てゆえに、総部屋数は約80室といったところか。とはいえ、この時期ゆえに宿泊者も少ないのだろう。チェックアウトまでに数名しか出会わなかった。





部屋は公称で3畳一間(バストイレ共同)。とはいえ、奥にちょっとした板の間があったり、手前の入口には靴が置ける玄関があるゆえ、実質はもっと広く感じた。



もしかしたら、前回が1.5畳だったから無意識のうちにそれと比較してしまい、広く感じているのかもしれない。何事も、経験することは大切だ(汗)





とはいえ、窓側の障子は破けていたりと、マイナスポイントも存在する。まぁ、泊るのには支障は無いのだが。ちなみに、前回と同様、エアコンは無い。





だが、驚いたことに部屋には浴衣が置かれていた。さらにテレビも。ちなみにタオル、歯ブラシ、シェーバーは無い。





コンセントがひとつしか無い点もマイナスポイントだが、電源タップを持参しているので問題は無い。ノートパソコンやスマホの充電程度なので、複数同時使用でも安全であろう。





また、収納スペースはクローゼットになっていて、簡易なハンガーがたくさん吊り下がっているのにも驚いた。せっかくなので浴衣に着替え、布団を敷いてくつろいでいると、狭いながらもちょっとした温泉旅館にいるような錯覚すら覚えた。





さらに無料Wi-Fiも飛んでいる。僕は楽天モバイルの楽天UN-LIMITに加入していて、このホテルの場所も楽天回線エリア内なので特に必要が無いが、Wi-Fiがあるのは嬉しい方が多いだろう。



それはさておき、館内設備である。





各フロアにはステンレスの流し台、そしてガススタイルの”ゴトク“が、ひとつ。トイレも各フロアごとにあるようで、至って普通の清潔度。



その時、僕は「あれ?」と思った。事前情報では「トイレがとても清潔」と、どこかに書いてあったのだ。もしや!と思い、僕は階段を降りつつ、各階のトイレを探索した。





すると、2階と5階のトイレがリニューアルされており、まさにとても清潔!ウォシュレットすら無いものの、この綺麗さは特筆ものというか、昭和的なホテルゆえに違和感すら覚えるほどだ。





次はバスルーム。1階にあるそれは「大浴場」と書かれていた。



1か所のみなので、男性が午後5時~9時、女性が午後9時~10時と、時間帯で男女が分かれている。午後10時以降や翌朝などはシャワーのみ使用可とのこと。「大浴場」にはロッカーなどは無く、カゴが置かれているスタイル。





そして、また驚いたことに、この低価格にも関わらず、きちんと大きめの浴槽があった。そして洗い場も3か所+シャワー1か所という、なかなかの広さ。石鹸やシャンプーも完備。





ちょうど他の宿泊者が誰も来なかったので、ゆっくりとバスタイムを堪能。ドライヤーも備え付けであり、まさに至れり尽くせり、だ。





ほかにも館内にはさまざまな設備があった。自動販売機(アルコール&ソフトドリンク)、冷蔵庫、電子レンジ、電気ケトル。洗濯機こそ無かったが、パソコンまで設置されていたことに、またまた驚いた。



そうこうしているうちに、時刻は午後8時すぎ。そう、緊急事態宣言中である。そんな中、西成や周辺の居酒屋はどうなっているのか?僕はとても興味津々で、街へと繰り出してみた。





凄かった。ものの見事に、やっていない。



西成の商店街はもとより、北側のJR線路の反対側のジャンジャン横丁も、通天閣付近までも、全て閉店。午後8時以降は閉店すれば、休業補償で毎日6万円が受け取れるという政府の施策があるにせよ、個人経営の小さな店舗ならともかく、100名以上入店可能な店舗、それも通常は24時間営業の串カツ店などまで、おしなべて閉店していた。





こう言っては本当に申し訳ないが、大阪の人々は、僕が想像しているよりもずっと真面目だ、と感じた。





そこで僕はまた前回同様にコンビニでアルコールと食事を購入して部屋に戻り、3畳一間で、「ひとり反省会」となり、エアコン等の設備が無いゆえに、浴衣ではなく、これまた前回同様に、外と同じ格好で眠りについた。





そして、翌朝。障子のみでカーテンの無い部屋ゆえに、午前7時すぎには部屋も明るくなった。網戸が無いのでエアコンの無い部屋は夏場は辛いかもしれないが、冬の時期は特に不便を感じることはなかった。窓を開ければ向かいの建物がそびえたっていたが、眺望を求めているわけではないので、特に問題は無い。





フロントも午前7時半ごろではまだシャッターが下りていたが、午前9時過ぎには開いていて、鍵を渡してチェックアウト完了。フロントが稼働していない場合は左側の返却ボックスに返却する方式だ。



やはり、緊急事態宣言中だからであろうか、西成の朝は通常よりもとても静かだった。





ほぼ誰もいない大通りで、フェイスシールドなどで安全面を考慮した”ちんどん屋さん”が、3人体制で適度な音を鳴らしつつ、歩いていた。



■プロフィール


はんつ遠藤


1966年東京生まれ。早稲田大学卒。不動産会社勤務を退職後、海外旅行雑誌のライターを経て、フードジャーナリスト&C級ホテル評論家に。飲食店取材軒数は1万軒を超える。主な連載は「週刊大衆」「Ontrip JAL」「東洋経済オンライン」など。著書は「取材拒否の激うまラーメン店」(廣済堂出版)など27冊

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