10月8日頃から、オンライン旅行会社を中心にGo To トラベルキャンペーンの条件改悪が相次いだ。楽天トラベルはキャンペーン適用の予約を、特定期間内で1会員1予約に限定。じゃらんやその他複数のオンライン予約サイトは割引上限を従来の4分の1に引き下げた。すでに割引販売を終了する旅行会社も。
旅行者の間では、これらの変更に対して唐突な印象や混乱と、不公平感が拭えない。また、Go To トラベルキャンペーンの資料を改めてみると、現在の旅行各社の対応とは矛盾する点が多々見受けられ、観光庁やGo To トラベル事務局は方針転換を迫られることになりそうだ。
事務局「長期実施に向け給付金の状況を管理」
Go To トラベル事務局は、「感染症の対応に追われる医療従事者等は現状、 本事業を利用することはできないと思うが、利用者間に不公平が生まれないでしょうか。また、予算を早く使い切ってしまうことになり、こういった人たちに裨益しなくなるのではないでしょうか。」というQ&Aの項目に対し、次のように回答している。
「早期に給付金を使い切ってしまうことのないよう、時期的な配分にも気を使いながら、可能な限り長い期間にわたり実施できるよう(給付金)執行状況を管理する」として、医療従事者など新型コロナウイルス感染症の影響で旅行する余裕がない人がいるということを念頭においた対応をとるとしている。
旅行会社などが予算を使い切った対応の想定には矛盾
一方で、事業者が途中で予算を使い切った際に販売ができなくなるのではという指摘に対しては、「中小の旅行会社や宿泊施設に対しては、配分のペースに合わせた計画的な予算の執行を個別に支援できる体制を整え、消費者の皆様を混乱させることのないよう事業を進める」としていた。このような対応と裏腹に、大手旅行会社を中心に予算を使い切ったり、利用者にキャンペーン適用を制限する、今までの発表と矛盾した対応が行われているのが現状だ。
旅行会社は広告の出稿量を調整して「Go To トラベル」の予算の執行を管理するという対応の方向性が示されていたが、SNSなど広告を介さないネット上での情報の広まりには対応できる施策ではない。実際にこの広告の出稿量調整など対応が取られた大きな動きはない。
オンライン旅行会社各社は、この週末にかけてほぼ一斉にキャンペーンの制限を発表しており、Go To トラベル事務局の方針とは矛盾が生じている。状況改善のため何らかの対応が迫られるとともに、混乱した旅行者に対して、事務局や観光庁も情報の適切な発信が求められるだろう。