3月31日、韓国の格安航空会社(LCC)であるチェジュ航空が、東京/成田~務安(ムアン)線を就航させた。務安は韓国南西部、全羅南道の都市。4番目の成田路線となり、ソウル仁川・釜山・大邱とともに訪韓の選択肢が広がった。成田空港は午後発着、務安行きはそのままホテルへチェックインし、一休みしたのち市内観光やディナーを楽しめるスケジュールだ。
チェジュ航空は、成田空港の第3ターミナルを発着するため、くれぐれも気を付けたいところ。同じく韓国系LCCのエアプサンやエアソウル、ジンエアーは第1ターミナル、ティーウェイ航空とイースター航空は第2ターミナル発着で、リピーターこそ要注意だ。この日は通常とは異なるBカウンターでチェックイン手続きを受け付けていた。
チェジュ航空のチェックイン締め切り時刻は出発60分前。成田発は午後2時、務安発は午前10時、他キャリアと比べ、ややタイトに設定されているのも要注意だろう。現時点では、韓国国内線を含む一部路線を除いて自動チェックイン機やモバイルアプリ等によるオンラインチェックインには対応していない。
成田発ファーストフライトとなる7C1117便は第3ターミナル151番ゲートからの出発、チェジュ航空や成田空港によるセレモニーが実施されていた。こぢんまりしながらもしっかりとアピール、これからの需要拡大に期待が持てるだろう。搭乗はチェジュ航空のマイレージプログラム「リフレッシュポイント」の上級会員より実施、この日は子ども連れや高齢者向けの事前改札は実施されていない。
チェジュ航空の機材はすべてボーイング737-800型機。路線拡大とともに積極的な中古機導入を行う方針から、機体の経歴はさまざま。かつて日本のスカイマークで活躍していた機体も存在する。座席配置やシートカバーこそ変えられているものの、オーディオパネルやオーバーヘッドモニターにその面影を感じられる。残念ながらチェジュ航空ではエンターテインメントプログラムを一切擁していないため、自身のスマートフォンなどにお気に入りの映画や音楽をダウンロードしておくのが望ましいだろう。
ボーイング737-800型機のキャビン。オーソドックスな「3-3」配置で、いわゆる小型機に慣れていれば違和感は覚えない。シートピッチはLCCとしては標準的、身長170センチの筆者で膝先こぶしひとつ分の余裕が生まれた。いずれも短距離路線がメインとなっているため、疲労度はレガシーキャリアとあまり変わらないだろう。
成田空港出発時には消防車によるウォーターキャノンが実施された。ファーストフライトやラストフライトでは恒例行事となっており、チェジュ航空側の意気込みを感じられる。我々乗客たちもサプライズに感激、みな思い思いに写真撮影を楽しんでいる。
LCCながらミネラルウォーターの無料サービスが実施される。短距離フライトのため需要が多いとは言えないが、機内有料販売サービス「AirCAFE(エアーカフェ)」にてスナックやアルコール、ちょっとしたお土産品を購入可能だ。
成田空港混雑の影響により、約40分遅れで務安空港に到着した。ボーディングブリッジが設置されているものの、チェジュ航空は原則としてタラップ降機からの徒歩移動となる。
務安空港は国際線主体の小さな空港であるが、喫茶店やコンビニエンスストアが出店しており、待ち時間も飽きずに過ごすことができそうだ。こちらも空港ラウンジや有料待合室は設けられておらず、早い時間に到着するメリットはあまりなさそうだ。
務安空港からは光州行きのリムジンバスが運行されており、レンタカーなど移動手段を持たない旅行者にもうれしい。光州バスターミナルまでおおむね1時間、運賃は片道5,000ウォン(約500円)となっている。空港ターミナルに設置されている自動券売機でチケット購入が可能、日本語をふくむ4か国語に対応しているのがポイントだろう。
日本語対応のリムジンバス自動券売機。日本発行をふくむ各種クレジットカードに対応しており、現金がなくとも乗車可能。時刻表を調べ、どの停留所で降りるか要チェックだ。
リムジンバスにて到着後、豚肉を細かく切り刻み、ハンバーグ状にした、光州名物のトッカルビをいただく。ソウルや釜山では味わえない魅力が地方都市にはまだまだ存在する。チェジュ航空の務安線をきっかけに、新たな「コリアンカルチャー」を味わいたい。