2017年12月16日、富士山静岡空港からソウル・仁川国際空港へ、アシアナ航空傘下の格安航空会社(LCC)であるエアソウルに搭乗した。
エアソウルは2016年7月にファーストフライトを迎えた。日本に就航する韓国の航空会社では最も社歴が浅い。富士山静岡空港へは、アシアナ航空に代わって2016年10月8日より就航している。アシアナ航空は週3便を運航していたものの、エアソウルの運航に切り替わることで割安になったことや、韓国からの観光客の増加に伴い、現在は週6便に増えている。12月24日からはデイリー運航となる。
月・木・土曜と火・水・金曜で運航ダイヤが異なっており、今回はソウルに午後には到着する事ができる。到着後にはソウル市内のホテルへチェックイン、一休みした後、市内観光や早めのディナーを楽しめるのが嬉しい。
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富士山静岡空港・エアソウル向けチェックインカウンター。チェックイン締め切りは出発60分前、静岡空港発の場合午前11時30分、仁川空港発の場合午前8時35分となっている。現時点で自動チェックイン機や携帯電話によるオンラインチェックインには対応していなかった(公式ウェブサイトからのチェックインは可能だが、搭乗券の受け取りが必須)。
富士山静岡空港まで公共交通機関を利用する場合、(1)静岡駅からのリムジンバス、(2)藤枝駅からのシャトルバス、(3)島田駅からのシャトルバスの3パターンが挙げられる。この他にフジドリームエアラインズ(FDA)搭乗者向けの専用バスが存在する。今回は藤枝駅からのシャトルバスを利用しているが、交通系ICカードや公衆無線Wi-Fiにも対応していた。バスの車体はレッドカラーで統一、不慣れな旅行者でも間違えずに乗車出来るのがポイントだろうか。
こぢんまりとしたマイクロバスだが、訪日外国人観光客向けに公衆無線Wi-Fi(Shizuoka Wi-Fi Paradise)に対応していた。乗車時間は多くとも30分程度だが、通信環境を持たない利用者には嬉しいサービスだ。接続にあたり認証が必要だが、料金は無料となっている。
保安検査場に掲げられていた「エアソウル就航1周年」の横断幕。親会社アシアナ航空の路線を引き継ぎ、2016年10月8日よりエアソウルブランドで運航されている。
今回お世話になっている富士山静岡空港、この日は国際線が3便設定されていたがフライトごとに保安検査と出国審査を行っているようだった。搭乗待合室は国内線のそれと変わらず、ベンチと簡単なショップが完備されているのみに留まっている。空港の規模から言えば仕方ないが、上級会員向けラウンジや飲食スペースは割愛されている。
エアバスA321-200/HL7790のキャビン。以前は親会社アシアナ航空で運航されていた近距離向け機材だが、エアソウル開設に向けてトランスファーされている。原則としてアシアナ航空時代のインテリアを踏襲しており、個人用モニターやUSBポート・コンセント等のエンターテインメント設備が利用可能だ。旧ビジネスクラスや非常口座席はオプションで販売されており、旅行のスタイルに応じて楽しみ方をカスタマイズできる。
韓国系格安航空会社は従来からサービスレベルが高いとされているが(受託手荷物無料・機内ドリンクサービス・定時性など)、エアソウルはとりわけレガシーキャリアに近い存在と言えるだろう。アシアナ航空とのコードシェアを行っているだけに、妥協を感じられない。
エアソウルの全保有機に設置されている個人用モニターは、アシアナ航空時代の設備がそのまま残されており、フライトマップやショートムービーを楽しむ事が出来る。出発前にはセーフティービデオも放映され、実用性も抜群だ。モニター横にはUSBポートも用意され、スマートフォン、カメラ等の充電が可能だ。
オリジナルアニメーションが話題を呼んでいるセーフティービデオ。エアソウル公式ウェブサイトにて原盤が公開されており、自宅に居ながらその雰囲気を楽しむ事が出来る。
エアソウルでは機内販売としてCAFÉ MINTを展開している。各種ホットミールやアルコール類、茶菓などが自身の好きなタイミングで購入できるのが嬉しい。一部機内食は事前注文が必要となるが、フライト時間の兼ね合いからも実際注文している乗客は居なかった。
事前予約メニューの一例。前述の通り機内で購入する事は出来ず、ウェブサイト・コールセンターからの手配が必要となる。路線に応じてメニュー構成が異なっており、マンネリ化を防げるのも嬉しい。日韓線では和風弁当やベーグルサンドも用意されており、韓国料理が苦手な旅行者や日本料理を楽しみたい外国人旅行者からの支持も高い。
こちらは機内販売CAFÉ MINT(カフェミント)で販売されているベストメニュー。第1位は日本でもお馴染み辛ラーメンとビビンバ、第2位はポテトチップスとアサヒビールのセットとなっている。ブランケット等のアメニティも販売され、機内では快適に過ごせそうだ。
エアソウルでは機内誌「YOUR SEOUL」も配布されており、フライトの合間や到着地でコンテンツを楽しめる事が出来る。記事にもよるが韓国語・日本語・中国語・英語の4か国語に対応しており、韓国語が苦手な旅行者でも問題無いだろう。巻末には入国カードの記入例やルートマップが掲載されており、ちょっとしたガイドブック代わりになるのが嬉しい。
機内誌「YOUR SEOUL」に掲載されている日本語記事。今回は倉前洞(ソウル特別市マポ区)についてピックアップ、近年若者を中心に人気の高まっている地域だ。韓国系キャリアによる韓国紹介は当然ながらお手の物、新鮮な観光情報をしっかりと得ることが出来る。
機内エンターテインメントを楽しむ事約2時間、定刻よりもやや早くソウル仁川国際空港・メインターミナルに到着した。アシアナ航空傘下だけに外国人観光客への案内は問題無く、日本語放送も実施されている。低価格・高品質をモットーとしているエアソウル、レガシーキャリアとさほど変わらないサービススタイルに筆者の皆さんも好感を覚えるだろう。
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