ベンツ、BMWと続けてドイツ車のエンブレムの由来をご紹介したので、今回もあの有名なドイツ車の気になるエンブレムの由来について紹介したいと思います。
AUDI(アウディ)
4つのリング。シンプルでスタイリッシュなエンブレムですが、このエンブレムにいたるまでには、とってもとっても濃い〜ドラマがあるんですよ!
4社が合わさったエンブレム
現在は「フォーシルバーリングス」と呼ばれているアウディのエンブレムですが、こちらは1932年に誕生しました。
現在のアウディは、もともとヴェンダラー(1885年)、ホルヒ(1899年)、DKW(1907年)、アウディ(1909年)という4社の単独自動車メーカーが会社が合わさって「Auto Union AG」(アウトウニオン)を結成したのがはじまりです。つまりこのリングは4社を表すものなんですね。
アウトウニオン結成までのドラマ
合併前の「アウディ」の創立者であるアウグスト・ホルヒは、この4つの会社にある「ホルヒ」の創立者でもあるのです。どういうことかというと、エンジニアでもあったホルヒは、品質向上や研究開発に力を注ぎすぎた結果、資本家と経営方針が食い違ってしまい、「ホルヒ」を去ることになったのです。つまり自分の会社に追われてしまったんですね…。そんなことがあり、1909年に新たに作った会社が「アウディ」です。設立当初は「ホルヒ」という名前が入っていたようなのですが、ホルヒ社からの差し止めを受けてしまったようです。そこで、自分の名前(ホルヒ)は、ドイツ語でhorchen(注意深く聞く)の命令形horch!(聞け!)」を連想させることから、ラテン語に置き換えた「アウディ」を名前にしたのが由来なんですよ。追放した資本家に「自分の話を聞いてくれ!」と訴えたかったのでしょうかね??
一方、DKWとヴァンダラーは、もともと二輪メーカーで四輪へと手を広げていったブランドです。しかし、この時代のドイツは、自動車メーカーがとても多く、世界恐慌や第一次世界大戦の敗戦が理由で、多くの会社が倒産がしました。そこで生き残りをかけてこの4社がタッグを組むことになり、「アウトウニオン」が結成されました。
1932年のアウトウニオン設立のエンブレムを見ると、今のエンブレムの名残はありますが、リングの中にそれぞれ細かく文字やロゴが入っていて、個々のロゴが主張されているようにみえますね!
その後、1969年には、ヴァンケルエンジンで知られるNSUを合併して「アウディNSUアウトウニオン」となり、1985年には「アウディ」と名前が変更されていまにいたるのです。100年と長い歴史を経て生まれたアウディのエンブレムには、過去にそれぞれ事情をかかえた4つの会社が合わさったという、深い意味があったのですね!