マフラー交換でやっぱり気になる車検・保安基準について
排気抵抗の少なさからアクセルレスポンスの向上が体感できたり、エンジンの吹け上がりが鋭くなったりするのに加えて、軽量化やルックス面でのインパクトアップというメリットも享受できるのがマフラー交換。
しかしそこで心配なのが、本当に車検は大丈夫なの? ということ。
日本の、というよりも世界でもトップに君臨する排気系メーカーであるフジツボは、その黎明期からパワーアップするもの、そして合法であることを社是とした製品開発を続けている。
そこで訊いてきた、いまの車検にパスするための基準と製品作りへのこだわりという部分。
経年劣化さえも考慮した社内基準は、車検どころではない厳しいものだった。
みんなも知っての通り大きすぎる音はNGです
近接排気騒音の測定は、停車状態、ニュートラル、最高出力回転数の75%までエンジンを5秒程度回し、急速にアクセルを離してアイドリング状態になるまでの最大音量値を計測。
測定するマイクは、マフラー端から45度後方、同じ高さで距離は0.5mの位置に設置。
大きすぎる音は車検に通らない。
その大きすぎるというのはどれくらいの値なのか? 車検的な部分を簡単に説明すると、
① H28 年9月までの生産車は96dB~103dBの範囲で車種ごとに定められた数値を超えてはならない。
② H22 年4月以降の生産車に後付けマフラーを装着する場合は、前途の近接音だけでなく、加速走行騒音の事前認証を合格した製品でなければならない。
③ H28 年の10月以降の生産車は車検証記載の数値から+5dB 以内という規制に。
この3つがポイントとなるのをまずは覚えておこう。
①であればJASMAプレート付きのマフラーであれば問題無し。
②に該当する場合は、新たに「加速走行騒音値」の項目が追加され、性能等確認機関(JQR/JARI等)で試験をして基準をクリアしなければいけない。
②に該当する車両の場合、車検証の備考欄に「加速騒音規制適用車」という表記がある。
平成28年の騒音規制見直しにより、車検証に記載されている「平成28年騒音規制車近接騒音値●dB」が目安となる。
この数値より+5dBまでが保安基準内(③のケース)。
気になる人は一度車検証をチェックしてみよう。
年式が古いクルマの場合の記載は「平成10年騒音規制車」のみ。
この場合車種によって定められた96~103dBが保安基準の数値となる。
車両の生産年月日により、音量が決まっている
【近接排気騒音値】
2016年(平成28年)9月30日までの生産車
96dB~103dB(車種などによって数値が定められている)
①H22.3.31までの生産車の場合、JASMA認定品マフラーOK
②H22.4.1以降の生産車の場合、後付けマフラーの事前認証
(加速走行騒音)が義務化
③2016年(平成28年)10月1日以降の生産車
新車時の近接排気騒音から++55ddBB以下であること
(※車検証に記載されている)
車検合格ラインとなる数値は上記の通り。平成28 年9月30日までの生産車は96~103dB(車種などによって決められた数値)を超えてはいけない。
平成22年4月1日以降の生産車の場合、交換するマフラーの事前認証(加速走行騒音)が義務化された。
平成28 年の10月1日以降の生産車は、車検証に記載された新車時の近接排気騒音から+5dB以内と定められている。
最低地上高にも注意
マフラーに限らずだが最低地上高9cm確保は保安基準適合の条件となる。
ローダウンをした場合など、マフラーの配管が最低地上高になるケースが多いので、こちらも注意したい部分だ。
また鋭い突起、回転部分が突出するなどはNG。
バンパーからマフラーが極端にハミ出ている、先端が尖っているなども保安基準適合外となる。
JASMAって何?
保安基準を元にして独自の自主基準を設けている
JASMA(日本自動車スポーツマフラー協会)は、マフラーの性能を確認し、合法であることを担保することでユーザーの利益を守るために活動をしている。
JASMAでは保安基準よりも厳しい独自の数値を設定していて、平成22 年3月31日までに生産されたクルマにセットする製品の場合、この基準をクリアしていればJASMAプレートが付く。
サイレンサー部にセットされているプレートがそれ。
さらに音量だけではなく、突き出し量やテールエンドの丸みなども自主的に基準を設けていて、その基準はいわゆる保安基準以上の厳しさ。
しかしその厳しさこそが、ユーザーの安心に直接繋がるのだ。
JASMAのプレートが付いていれば安心
FUJITSUBO研究開発部研究開発課 主任 長谷川良太さん
「音量規制があるため、最近の商品では性能アップや見た目のスタイルはもちろんですが、音質や音色を考えて開発をしています。世界基準になりつつある、バルブ開閉式の音量調整機能付きマフラーにも注目してください」と開発主任を務めている長谷川さん。
【JASMAが定めている近接排気騒音値】
(※一般的な乗用車の場合)
H10規制前 H10(H11)規制
リアエンジンの車両 100dB 98dB
リアエンジン以外の車両100dB 95dB
●定常走行・加速走行騒音 車種ごとに定められている保安基準の数値に準ずる
FUJITSUBO騒音試験センターを見学!!
フジツボは古くから、裾野総合工場内に法で定められた加速騒音試験ができる試験場を持っている。
加速騒音試験というのは、50km/hで計測地点まで走行してきて、加速ポイントからアクセルを全開として20mを走行。
その中間地点、7.5m離れたところにマイクを設置して計測する。
路面はロードノイズの影響を抑えるため、舗装の細かさまで規定されているというシビアさなのだが、ではなぜフジツボはその設備を整備したのか。
それはギリギリでも車検に通ればいい、というのではなく、絶対に合法である製品を作るため。
見えない部分の努力がそこにはあった。
騒音測定はこんな感じで
ココの機械にデータが集約される
データは音量などだけではなく、気温や気圧、風向風速なども記録。
その積み重ねが製品作りに活かされていく。
デモカーのヴィダブリュを装備したVABで実際に加速騒音試験を実施。
音量は78.8dbと当然規定値をクリア。
計測地点への進入速度も決められているのできちんと計測。
指定速度は50km/h+-1.5km/hとなっている。
音量は最大値だけではなくその推移も記録している。
聞いていて気持ちいい音のチューニングにデータを活かす。
まだある気になるPOINT
●中古のマフラー流用の場合はどうなる?
ネットオークションやフリマアプリなどで中古品が手軽に買えるようになってきているが、そうやって手に入れたマフラーは大丈夫なのか。
合法であることを証明するプレートがあれば大丈夫、といいたいところだが、わかりにくいところに穴が開いていたりすると、音量がNGだったりする可能性もあるので注意が必要だ。
●サイレンサーは必ず必要だ
昔は取り外し式のサイレンサーでも、車検のときに装備していれば大丈夫だったが、いまは取り外し式サイレンサーは違法となっている。
そのためJASMA認定品はすべて、サイレンサーは取り外せないようになっている。
もちろんこれは、大きなタイコが必要、ということではない。
音量が基準内なら、砲弾型でもOKだ。
●サイド出しマフラーが合法になった
平成29 年に、非常に大きな保安基準の改正が行われた。
それはフェンダーから前30 °、後ろ50 °のタイヤはみ出しが10mmまでOKとなったことと、サイド出しマフラーが合法となった、ということだ。
もちろんいわゆる竹ヤリのような、他の交通の安全を妨げるものはNGだが、突起物ではないものなら車検も問題なしだ。
●純正片側出しから左右出し変更はOK?
マフラー側からいうと、片側出しを両側出しにしたり、両側出しを片側出しにしたりするのは問題なし。
ただ、両側出しを片側のみとするときは大丈夫だが、片側出しを両側出しにするときはパイプレイアウトの問題から最低地上高に引っかかるケースも。
これは意外な盲点となりうるところなので注意したいポイントのひとつだ。
●触媒ストレートは当然NG
触媒は排気ガス浄化のための装置。
そのためこれを取り外すのはNGだ。
それに触媒を外すと、音量が増大してしまうということにも注意を払いたい。
もし排気抵抗という部分で触媒が気になるのなら、合法のスポーツキャタライザーを装備することで解消可能。
合法チューンを貫いていくのがオトナのスタイルだ。
SUBARU Style Vol.4 (2019/9/30)より
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