コーチ=ワゴン生誕50周年!デリカが歩んできた道を辿る
4代目、5代目
初代コーチから現行D:5まで、5代にわたってその名を受け継いできたデリカ。一時、初代の後期型でコーチ(=ワゴン)が途切れるが、2代目でスターワゴンとして復活して以降、半世紀も生産され続けている三菱のロングセラーモデルだ。その歴史を見ていこう。
4代目PE/PD型
94年5月、4代目デリカとして登場したスペースギア。2代目パジェロの派生モデルであり、屈強なラダーフレームとモノコックボディを融合させることで、優れたボディ剛性とフラットなフロアを両立していた。また、ボディは全長4685㎜/ホイールベース2800㎜の標準と、全長5085㎜/ホイールベース3000㎜のロングを用意。ルーフはエアロルーフとハイルーフの2種類で、前者にはツインサンルーフが、後者にはクリスタルライトルーフが設定されていた。
↑1994年 スペースギア4WD 2800ディーゼルターボ
エクシードⅡクリスタルライトルーフ
ゆとりの低中速トルクによる力強い走り。2.8Lディーゼルターボは3LV6ガソリンとともに人気を集めたモデル。
↑1994年 スペースギア2500ディーゼルターボ
スーパーエクシード ロングクリスタルライトルーフ
ホイールベースで200mm、リアオーバーハングを含め全長で400mm延長されたロングボディモデル。
搭載エンジンは、ガソリンが2.4L直4の4G64型(145ps)と3LV6の6G72型(185ps)、ディーゼルターボが2.5 L 直4の4 D56型(105ps)と2.8L直4の4M40型(125ps)と、計4つが用意された。
ミッションは5速MTと4速ATで、パジェロ譲りのスーパーセレクト4WDを採用。4WD(FR)と、ビスカスカップリング式センターデフを介したフルタイム4WDの他、悪路走破性を格段に高める直結(センターデフロック)4WDのHi/Loを1本のレバー操作で切り替えることができた。
毎年、ジャスパーやグリーンフィールド、シャモニーなどアウトドア派ユーザーに向けた特別仕様車を発売しながら、97年6月にマイナーチェンジ。後期型となって外装デザインが見直され、後席への乗降性を高めるため電動サイドステップが採用された。
また、ガソリン4WD車のエンジンが3Lの6G72型に一本化されただけでなく、2.8Lディーゼルターボ4M40型も燃料噴射が電子制御化されたことで最高出力が140psに向上。ATも、ファジィ電子制御のINVECS-Ⅱに進化した。
99年6月の一部改良で両側スライドドア車を追加。さらに、エクシードとXRを統合する形で冬季限定の特別仕様車だったシャモニーがカタログモデルに昇格することになった。
↑2005年 スペースギア4WD 3000シャモニー
特別仕様車からカタログモデルとなったシャモニー。スペースギアとして最後まで残った。
02年8月、平成12年排ガス規制に適合しないFRモデルがラインアップ落ち。4WDモデルもエンジンが3Lガソリンの6G72型と2.8Lディーゼルターボの4M40型のみとなり、グレードもXE、シャモニー、スーパーエクシード、ロングスーパーエクシードの4つに縮小した。
さらに04年10月、ディーゼルターボがカタログモデルから外れ、3Lガソリン6G72型を搭載するスーパーエクシードとシャモニーの2モデルのみとなり、
05年11月にはスーパーエクシードも廃止されることになった。
スペースギアの国内販売が終了したのは07年1月。約13年におよぶロングセラーモデルは、後継のデリカD:5にバトンタッチすることになった。
5代目CV型
「ミニバンの優しさ」と「SUVの力強さ」の融合をテーマに誕生した5代目デリカ。07年1月に発売されたこのモデルはD:5と呼ばれた。ベースはオンロードSUVのアウトランダーで、シャシーや4WDシステムを共用。これまではFRベースの4WDだったが、初めてFFベースとなった。また、悪路走行にも音を上げない高いボディ剛性と、優れた衝突安全性を両立するため、環状骨格構造の新開発リブボーンフレームを採用したのもトピックだ。
↑2007年 D:5 2.4G
基本コンポーネンツをアウトランダーと共用することから、デリカ史上初めてFFベースの4WDとなった。
エンジンは2.4L直4の4B12型で170psを発揮。ミッションには6速マニュアルモード付きCVT、INVECS-Ⅲを組み合わされる。4WDシステムは走行状況に応じて前後輪への駆動トルク配分を最適にコントロールする電子制御式を採用。ダイヤル操作で2WD(FF)、4WDオート、4WDロックの3モードを任意に選べる。
07年5月にFFモデルのC2と、エアロパーツを装着したローデストを追加。同年10月には4WDモデルにもローデストが設定された。
また08年5月と12月、09年11月にマイナーチェンジ。2列目キャプテンシート7人乗り仕様の追加、4WDモデルの寒冷地仕様化、エンジンやCVTの制御見直しによる燃費の向上など各部でブラッシュアップが図られた。
10年1月、FFモデルのエンジンを2L直4の4B11型(150ps)に変更。大幅な燃費改善を実現すると同時に、外装デザインやグレード体系も4WDモデルとの共通化が図られた。また12年1月にはFFモデルに新型2L直4となる4J
11型を搭載。最高出力は4B11型と同じ150psにして、アイドリングストップ機構を採用することで燃費を一層向上させた。
さらに13年1月、歴代デリカファンの声に応える形で、4WDモデルに待望のクリーンディーゼルエンジン搭載車を設定。2.3L直4コモンレール式ディーゼルターボの4 N14型は145ps/36・7㎏mを誇り、INVECS-Ⅱマニュアルモード付き6速ATが組み合わされた。
↑2017年D:5 アクティブギア
オレンジを配したフォグランプベゼルやドアミラー、ブラック塗装のホイールなどが外装の特徴。
その後、17年4月にフォグランプベゼルやドアミラーをオレンジとし、内装にもピアノブラック塗装やオレンジのアクセントを施した特別仕様車アクティブギアをラインアップ。翌18年4月には、フロントマスクのデザイン変更や特別仕様車ジャスパーの設定などが行なわれた。
↑2019年D:5 P
大胆すぎるほどの変貌を遂げたフロントマスク。ガソリンエンジン搭載モデルは従来のデザインで併売。
19年2月、現行モデルを発売。ダイナミックシールドというデザインコンセプトの下、縦型LEDヘッドライトを採用することでフロントマスクが一新され、リヤコンビネーションランプもガーニッシュとの連続性を持たせたものへと改められた。
また、2.3Lディーゼルターボの4N14型は尿素SCRシステムの採用を始め、構成パーツの約半分を見直すことで最大トルクが2.0㎏m向上し38・7㎏mに到達。6速だったATも新開発の8速へと多段化した。
その他、電子制御式4WDシステムにヨーレイトフィードバック制御を追加することでステアリング操作により忠実なハンドリングを実現。また、レーダークルーズコントロールシステムや衝突被害軽減ブレーキシステム、車線逸脱警報システム、オートマチックハイビームが全グレードに標準装備されるなど、安全性も向上している。
デリカパーフェクトブック 2019年11月11日発売号 より
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