欧州委員会は5日、独自動車大手のBMW、ダイムラー、フォルクスワーゲン(VW)が排ガス浄化技術をめぐり談合したとして、3社にEU競争法に違反した可能性があると警告する異議告知書を送付したと発表した。3社には反論の機会が与えられるが、欧州委が最終的に競争法違反と認定した場合、全世界の売上高の最大10%に相当する制裁金の支払いを命じられる可能性がある。
欧州委はBMW、ダイムラー、VW(グループ傘下のポルシェとアウディを含む)がガソリン車とディーゼル車の排ガス浄化技術をめぐって協定を結び、公正な競争を制限していた疑いがあるとして、2017年10月に立ち入り調査を実施。18年9月から本格調査を進めていた。
欧州委によると、3社は06年~14年にかけて談合を重ね、特にディーゼル車の排ガスから窒素酸化物(NOx)を削減する選択触媒還元脱硝(SCR)装置と、ガソリン車の有害微粒子排出を削減するオットー微粒子フィルター(OPF)の2分野について、開発や市場投入を制限する方針を申し合わせていた。
ベスタエアー委員(競争政策担当)は「BMW、ダイムラーとVWはEU競争法に違反した恐れがあり、それによって欧州の消費者は最高水準の技術を搭載した自動車の購入機会を奪われた可能性がある」と指摘した。
3社のうちダイムラーは談合の事実を欧州委に通報したため、制裁金を科される恐れはないとの見方を示している。一方、BMWは制裁金支払いのため、19年12月期決算で10億ユーロ超の特別損失を計上する可能性があると警告した。VWは異議告知書の内容を精査したうえで対応を検討するとコメントしている。
[提供元/FBC Business Consulting GmbH]