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わたしは21世紀のカセットコンロがきっかけで「輸入中古車評論家」の看板を下ろした


わたしは以前「輸入中古車評論家」を名乗り、基本的には古めのクルマすなわち絶版車を愛好する生活を送っていた。


だが近年は、手持ちの絶版車をアッサリ売り払ったうえで新車を購入。そして「新車のレポート」みたいな仕事も、恥ずかしげもなく受注している。


きっかけのひとつはカセットコンロだった。


21世紀のカセットコンロは、前世紀のそれとは次元が違った



カセットコンロの「本体」というのは、そうそう壊れるものではない。消耗品であるカセットボンベはもちろんひんぱんに購入していたが、コンロ本体については20年以上前の品をしぶとく使い続けていた。なぜならば、ぜんぜん壊れなかったからである。


しかし壊れないとはいえ20年もたつと、さすがにビジュアル的にかなり貧乏くさくなってくる。そのためわたしは一念発起し、カセットコンロ本体の刷新計画を立案。そして立案とほぼ同時に、最新型コンロの購入も果たした。


で、驚いた。


なんなんだ、この強烈な火力は。


わたしが知っているカセットコンロ(20年以上前のやつ)といえば、その火力は最大に調整したところでややショボいものだった。そのため一般的な調理(ゼロから作り上げるもの)にはさほど役に立たず、主には鍋料理などの再加熱においてのみ有効なギアだった。


だが2010年代後半のテクノロジーを用いて作られたカセットコンロは、まるで違った。


強力な炎がボーボー燃え盛るウルトラスーパーファイアー状態であるため、調理済み食品の再加熱だけでなく「ゼロベースからパラパラ炒飯を作り上げる」ことなども十分に可能なのだ。


自動車もまた、カセットコンロ以上の進化を遂げている



わたしは、20世紀のカセットコンロのことしか知らないまま、「しょせんはカセットコンロなんて使い物にならんシロモノだよ。男はやっぱ台所のガスコンロでビシッと強火調理だろ!」などとうそぶいていた自分を恥じた。21世紀のことを知ろうともしないまま、偉そうな講釈をたれていた自分の頬を殴りつけた。


そして、その足で新車ディーラーへ向かった……というのは話をちょっと盛っているが、おおむねの事実はそれに近い。


すなわち「たぶん、クルマにおいてもそうなんだろうな」と予感したのだ。


予感は正しかった。わたしがそれを予感したのは2017年のことだったが、2017年製の各種自動車は、わたしが脳内でぼんやり想像していた以上に素晴らしかった。


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