ドイツで生活していると、至極当然のことではありますが、ドイツ車を一番多く見かけます。乗用車はもちろん、タクシー、ミニバンなどの小型商用車、バスやトラックの大型商用車や、ゴミ取集車、高所作業車、救急車や消防車といった特定用途に使われるクルマまで、多くのドイツ車に共通しているのが、「無骨」「質実剛健」「飾り気が少ない」といったところでしょうか。もっとも個人的には、最近のメルセデス・ベンツのデザインなどに、ドイツ車ならではの独特の色気を感じることが増えてきているように思いますが。
とはいえ、やはり多くの人々を振り返らせる色気の持ち主といえば、イタリア車、それも今回ご紹介するようなマセラティ・クアトロポルテのようなクルマを挙げないわけにはいきません。雨が上がった直後で、言葉通り「水もしたたるいいクルマ」となっていた4代目クアトロポルテ。今回はあらためて、このクルマの魅力をご紹介していきます。
マセラティの誇る「スーパースポーツサルーン」
マセラティは、イタリアの歴史ある高級車メーカーのひとつ。1980〜1990年代までは販売不振に苦しんでいましたが、フィアット傘下に入りフェラーリとの協力体制を築くと、現在では高級SUVであるレヴァンテを主力に多くのラインナップを揃える、世界的な「プレミアムブランド」にまで成長を果たしました。かつてマセラティといえば「マニアック」「壊れる」とさんざんな言われようだったのも今は昔、現在では世界のみならず日本においても、クルマ好きからセレブまで「美しくて速いクルマ」を求める人々にこぞって選ばれる自動車ブランドとなっています。
さてそんなマセラティが、「華麗な変身」を果たす「分水嶺」となったモデルは、一体どのモデルでしょうか?さまざまな意見があるとは思いますが、筆者はこの4代目クアトロポルテだと考えています。