筆者のように長らく中古車のリアルな取材を続けている者にとっては今さらな話だが、中古車のスペック、特に「走行距離」ほどアテにならないものはない……ということを、本日もまた痛感してしまった。
走行2.7万kmなのにここまでヤレてるとは……
決してその販売店やブランドを批判したいわけではないため、すべての具体的な名称は秘し、スペックも仮のものとするが、以下の条件をパッと見て、貴殿はどう感じるだろうか?
・販売店:某有名高級輸入ブランドの正規ディーラー
・種別:認定中古車
・年式:2014年式
・走行距離:2.7万km
・車両本体価格:約300万円
……普通に思うのが「ふーん、良さげじゃん。知らんけど」ということだろう。正規ディーラーが認定中古車として販売している、まだまだ走行2万km台の、せいぜい3年ちょい落ちの一台。筆者としても、このスペックを見ればそういう反応を示すだろう(というか、だからこそ取材に行ったわけだが)。
が、現場で対面した現車は無残なものだった。
や、「無残」というのはちょっっと言い過ぎだろう。レザーシートのコンディションとかは割と良かったし、車内に変なニオイもなかったし。
だがモール類はまるで皮膚病患者の肌のようなビジュアルの白サビにおおわれており、ちょいと試乗した限りにおいては、走行中の「しっかり感」みたいなものも、ドイツ製の高級車としてはやや落第であった。
もちろん、さすがにド田舎のダメ中古車店が販売している激安ドイツ車のような「完全落第」ではない。それなりにしっかりはしていた。しかし高級ブランドとしては、そしてその認定中古車としては、「微妙に落第」と評さざるを得ないレベルだったのだ。
クルマのコンディションは「扱われ方」で大きく変わる
今どきは走行距離の改ざんをする業者も少なく、ましてや正規ディーラーの認定中古車であるゆえ、この個体の「2.7万km」というのは99.999%の確率で実走距離なのだろう。
……いったいどうすれば、たったの2.7万kmでクルマをここまでヤレさせることができるのだろうか?
まぁたぶんというか十中八九、前オーナーは以下のような扱い方をしていたはずだ。