前回に引き続きNHK「真夜中のスーパーカー」の制作者インタビューをお送りします。今回は、実際にLFAとトヨタ2000GTを走らせてレースシーンを撮影した時のエピソードなどを中心にお話を伺ってきました。
地域発のドラマ制作への思い
CL 鈴木:僕は昔、絵を描いていたんですが実物を見ないと描けないんです。文章を書いても本物を知らないと嘘を書いてもバレちゃうんですよね。僕はまだ小説を書くということはしていないんですが、フイクションでも本当の事をうまく混ぜないと薄っぺらい話になると思うんですよね。貴重な体験を実際にしてストーリーに反映しないと、奥行きのある物語は出来ないと思うんです。
大橋:おっしゃる通りです。これも結構なぶっちゃけばなしですが、60分の中でそれなりの物を見たという風に感じてもらうには、ある程度座りのいい結論といいますか、歩留まりみたいなものがすでに提案段階に必要なわけです。こういうメッセージを届けるべくこういう話にすればちゃんと歩留まるはずだ、という最低限のラインと言いますか。「地域発ドラマが作り手に対して与えるミッション」に応える義務がありますしね。
今回でいうと、名古屋局に転勤してきたからには自動車をテーマに愛知発地域ドラマを作ろうと、まずは意気込んだ。どうやら長久手に古今東西のクルマを展示してある自動車博物館があるらしい。自動車博物館があるなら、そこでたとえばベン・スティラーのナイトミュージアムみたいな話を作るっていうことまではスルスルっと…
CL 鈴木:スルスルっと出てきた!
大橋:はい。そこまではあっという間の発想で、何の苦労も無かったですね。
ここで前任地の広島での話に
大橋:僕が名古屋局に転勤してきたのは、1年半前なんです。その時点で地域発ドラマを名古屋局がまだやってないのはもったいないなと思いました。僕はその前広島にいたんですが、みんな口を開けば「野球はカープ」(笑)。たとえば、カープが戦後「樽基金」って言ってそれでお金集めて市民球場作ったとか、地域みんなで支えたとか、そういった話はいまだにドラマ化するとみなさん泣きながらご覧になるんです。なら当然「自動車は…」
CL 鈴木:マツダですよね。広島の人はたしかに乗ってる人、多そうですよね。