ざっくり、こんな移動
- 新宿~郡山・福島間を乗り換えなしで結ぶ昼行高速バス
- 車内はトイレ、コンセント付き
- 最安で新幹線の半額以下! 新宿~福島間最安3,720円!
車内はトイレ付きの4列シート
「あぶくま号」は、JRバス関東、JRバス東北、福島交通の3社が共同で運行する高速バス。いずれの会社も、高速バスの運行には歴史と実績がありますので、安心して利用できます。
今回乗車したのは、JRバス東北が運行を担当する新宿発の始発便「あぶくま1号」。伝統のつばめマークが入ったカラーリングが特徴です。
早速、車内を見てみましょう。
車内は、青を基調とした4列シートが並びます。
シートは、一般的なリクライニングシートを採用。リクライニングの角度も、昼行用の車両としては十分な角度(約130度)になっています。
シートの下は空間になっており、足を伸ばすこともできます。
各座席にはテーブルを装備。飲食やちょっとした作業などに便利です。
携帯電話やスマートフォンの充電に便利なコンセントも完備。窓側座席のコンセントは窓側下に、通路座席のコンセントはひじ掛け下に設置されています。
読書灯と降車ボタンは、座席上部エアコンダクト付近に設置されています。
トイレは、車内最後部にあります。途中、2回の休憩停車がありますが、いざという時にうれしい設備です。
以上、「あぶくま号」の車内を紹介しました。昼行高速バスに最低限必要な装備はひと通り揃っている印象を受けました。
旅の始まりは日本最大級の高速バスターミナルから
「あぶくま号」の運行ルートは、下記の通りです。郡山系統(新宿~郡山)と福島系統(新宿~郡山・福島)の2系統がそれぞれ6往復運行されています。
新宿発
〇:停車 -:無停車
停留所 | 郡山系統 | 福島系統 |
---|---|---|
バスタ新宿 | ◯ | ◯ |
王子駅 | ◯ | ◯ |
↓ | ↓ | ↓ |
西郷バスストップ(白河) | ◯ | ◯ |
矢吹泉崎バスストップ | ◯ | ◯ |
須賀川営業所 | ◯ | ◯ |
郡山駅前 | ◯ | ◯ |
二本松バスストップ | - | ◯ |
福島西インターチェンジ | - | ◯ |
福島駅東口 | - | ◯ |
郡山・福島発
〇:停車 -:無停車
停留所 | 郡山系統 | 福島系統 |
---|---|---|
福島駅東口 | - | ◯ |
福島西インターチェンジ | - | ◯ |
二本松バスストップ | - | ◯ |
郡山駅前 | ◯ | ◯ |
須賀川営業所 | ◯ | ◯ |
矢吹泉崎バスストップ | ◯ | ◯ |
西郷バスストップ(白河) | ◯ | ◯ |
↓ | ↓ | ↓ |
王子駅 | ◯ | ◯ |
池袋駅東口 | ◯ | ◯ |
バスタ新宿 | ◯ | ◯ |
郡山・福島行きの「あぶくま号」の始発は、新宿駅新南口に位置する日本最大級の高速バスターミナル「バスタ新宿」です。早朝から各地へ向かう高速バスや羽田空港・成田空港行きリムジンバスが、ひっきりなしに発車していきます。
待合室も、早朝からバスを待つ多くの乗客で賑わっています。
コンビニや土産物店もありますので、乗車前の買い物などもこちらで済ますことができます。ただし、時間帯によっては混み合いますので、利用の際は時間に余裕をみて利用したいですね。
各所には、発車場所と時刻を表示するサイネージ表示があります。自分が乗車するバスの愛称と行先、発車時刻、のりばは必ず乗車前に確認しておきましょう。
私が乗車する「あぶくま1号」は、A2のりばから発車します(乗車日によってはのりばが変更になることもあります)。乗車の少なくとも5分前にはバスが入線、乗車改札が行われます。
途中休憩は2回! サービスエリアでの買い物も楽しみのひとつ
8:00定刻にバスタ新宿を発車したバスは、明治通りを池袋、王子方面へ。30分ほど走行し、王子駅で乗車扱いのために停車します。その後、王子北ランプから首都高速道路中央環状線に入り、同川口線を経由して、川口ジャンクションから東北自動車道を北上します。
車内を見回すと、窓側座席がほぼ埋まっている状況。若い方や女性の利用が目立ちますね。
途中の開放休憩は、2回実施されます。
1回目の休憩場所は、バスは新宿から1時間20分ほど走行した埼玉県羽生市の東北自動車道羽生パーキングエリア。こちらでは9:20から15分間停車しました。
羽生パーキングエリアは、東北自動車道のパーキングエリアとしては最も南に位置する広大な敷地のパーキングエリア。トイレ、自動販売機はもちろんのこと、レストラン、フードコート、コンビニ、売店、ATMなど、施設が充実しているパーキングエリアとしても有名です。
このような大きなパーキングエリアに立ち寄ると、お土産をじっくり選んでフードコートで軽い食事でも…といいたいところですが、残念ながら、バスの停車時間は15分。敷地も大変広いですので、くれぐれも乗り遅れには気を付けましょう。
ちなみに、上り線の施設は、作家池波正太郎氏の代表作『鬼平犯科帳』の世界観と江戸の街並みを再現した「鬼平江戸処」として営業。郡山・福島発の「あぶくま号」では下り線の羽生パーキングエリアに休憩停車します。機会があれば、上り線の施設にも立ち寄ってみたいですね。
こちらでは、トイレを済ませた後に、自宅へのお土産を数点購入し、バスに戻りました。
羽生パーキングエリアにて停車中の「あぶくま号」です。
羽生パーキングエリアを発車すると、広大な景色が一面に広がります。遠くには東北新幹線の高架も見えます。
2回目の休憩場所は、羽生パーキングエリアから1時間20分ほど走行した栃木県の那須高原サービスエリア。栃木県と福島県の県境付近に位置します。こちらでは10:55から15分間停車しました。
那須高原サービスエリアも、羽生パーキングエリアと同様に、レストラン、売店、パン屋など、施設が充実しているパーキングエリアとしても有名です。この日は、多くの修学旅行生で賑わっていました。
正面から見て右側が売店とパン屋のエリア、左側がレストランエリアになっています。
停車時間がわずかですので、買い物などに没頭して乗り遅れることがないように気を付けましょう。
こちらでは、栃木名物の「レモン牛乳」を購入して車内に戻りました。
那須高原サービスエリアにて停車中の「あぶくま号」です。
那須高原サービスエリア発車後は、西郷バスストップ、矢吹泉崎バスストップ、須賀川営業所といった、福島県内の主要バス停に細かく停車していきます。パーク&ライド駐車場を設けている停留所も多く、各バス停での利用がそれなりに見られるのも、この路線の特徴といったところでしょうか。
郡山駅前に到着したのは、定刻8分遅れの12:15。こちらでは10人近くの乗客が下車していきました。終点の福島まで、あともう一息です。
郡山からは、一般道を少し走行し、本宮インターから再度東北自動車道へ。20分ほど走行した福島西インターで高速道を降り、福島市内へと向かいます。
高速道路からの車窓からの眺めも美しいですね。
郡山市内の渋滞に巻き込まれたこともあって、終点の福島駅東口には定刻18分遅れの13:17に到着しました。
福島駅は、JR東北新幹線、JR在来線各線、阿武隈急行の阿武隈急行線、福島交通の飯坂線が乗り入れているターミナル駅。付近には飲食店が数軒あるほか、駅ナカもありますので、到着後(もしくは発車前)の飲食や買い物で困ることはないでしょう。到着後に福島交通の飯坂線に乗って、飯坂温泉で温泉を楽しむのもよいですね。
なお、福島駅東口の発車場所は、バスターミナルの10番のりばになっています。
新宿~郡山間最安3,190円! 新宿~福島間最安3,720円! 新幹線の半額以下
東京~郡山・福島間をJR東北新幹線で移動する場合、片道普通運賃と新幹線特急料金(「やまびこ」指定席利用)の合計金額は、東京~郡山間が8,140円、東京~福島間が8,910円となります。(いずれも2020年1月現在)
これに対して、高速バス「あぶくま号」は、新宿~郡山間の片道運賃が4,300円~4,750円、新宿~福島間が5,000~5,500円となっています。
さらに、JR高速バスの予約サイト「高速バスネット」でクレジット決済すると約5%引になるほか、「あぶくま号」には、2種類の早期購入割引運賃「早売5」「早売1」が設定されており、これらを活用することで、新宿~郡山間を最安3,190円、新宿~福島間を3,720円で移動することができるのです。
JR新幹線と比較すると、移動時間では圧倒的に新幹線の方が有利ですが、運賃・料金で比較すると、もっとも高い運賃でも新幹線の約6割以下(最安で約4割以下)の運賃で移動できるほか、停留所によってはパーク&ライド駐車場が利用できることなどを考えると、コストパーフォーマンスは決して悪くないのではないでしょうか。
なお、「あぶくま号」は週末や繁忙期を中心に満席になることがありますので、乗車の際は早めの乗車券のご予約・ご購入をおすすめします。
まとめ
今回は平日の水曜日に利用しました。平日にも関わらず20人以上の乗客がいたのにも驚きましたが、パーク&ライド駐車場を利用されている方が多く見られたことからして、地元の方の東京への移動の足として定着している印象を受けました。
車内設備もトイやコンセントが付いていますし、途中休憩のタイミングも絶妙で、車窓からの眺めも素晴らしかったことから、約5時間の移動時間があっという間に感じました。
・運行実績のあるバス会社のバスで移動したい
・新幹線よりも安く移動したい
・途中のサービスエリア・パーキングエリアでの買い物を楽しみたい
という方に、「あぶくま号」はおすすめのバスなのではないでしょうか。
あぶくま号
(須田浩司)