ドリーム号50年に見る旅客サービス
2019年6月10日は国鉄~JRの2世代にわたって走り続けてきた東名ハイウェイバス、そして日本初の夜行高速バス「ドリーム号」が運行開始してから50周年を迎えた、記念すべき日であった。
東名ハイウェイバスについてバスラマでは、過去1994年に運行開始25周年を記念した特集を組んだほか、年鑑バスラマ2001→2002では車両の歴史を詳述。
さらに2018年にはバスラマスペシャル「30周年を迎えたJRバス」で、取材時点の現役車両をほぼすべて紹介している。
そしてバスラマNo.174では、東名ハイウェイバスとドリーム号をこよなく愛するファンの執筆により、東京~大阪間の夜行高速バス・ドリーム号の50年間にわたるサービス、車内設備、乗車券の販売方法、アメニティ、宣伝活動などの歴史を紹介している。
こうした切り口でドリーム号の歴史を紹介するのはバスラマでは初めてで、バス出版物全体を見渡しても珍しいのではないだろうか。
取り上げたテーマを羅列すると、予約システム/指定券・回数券・周遊乗車券/割引乗車券/鉄道との連絡乗車券/振替乗車/女性同士相席サービス/アメニティ/毛布・スリッパサービス/禁煙席/車内公衆電話/マルチステレオ/車内案内/自動販売機/飲料サービス/ポイントカード/車内解放休憩/イメージ宣伝/特別な運行などであり、利用者・愛好家として体験したほぼすべての内容が記録されている。
夜行高速バスの始祖ともいえるドリーム号だが、50年の歴史の中では大阪の万博需要への対応、新幹線やエアとの競合、国鉄の合理化、JRへの移行、高速ツアーバスとの競合など、様々な時代の変化を経験している。
今回の記事はそうした流れも踏まえつつ、それぞれの内容が的確に紹介されており、現代の夜行高速バス利用者にも参考になるのではなかろうか。
50年にわたるドリーム号の車両から、いくつかご紹介
1)1984年式三菱ふそうP-MS735SA
東名ハイウェイバスとドリーム号は開業以来20年近くにわたり、国鉄が開発した独自仕様の専用車が使用されていた。写真はその最後を飾った富士重工(現SUBARU)製のハイデッカーで、民営化後は西日本JRバスに在籍した1台。
2)1989年式三菱ふそうエアロクィーンMの車内
1980年代後半から東名ハイウェイバスにスーパーハイデッカーが登場した。さらにJRに移行した後の1989年からは、民営バスで普及が進む独立3列シート車がドリーム号で運行開始。サービスレベルを大きく向上した。写真は西日本JRバス。
3)2階建てバス
東名ハイウェイバスにおける2階建てバスは1991年に三菱ふそうエアロキングが運行開始。ドリーム号にも使用されるようになる。そして1993年には日産ディーゼルがベルギーのヨンケーレ社でボデー架装したスペースドリームが加わった。
同車は西日本JRバスと写真のJRバス関東に採用され、特に西日本JRバスでは近年まで在籍した。なお東名ハイウェイバスとドリーム号の2階建てバスは現在、スカニア/バンホールアストロメガが、経年のエアロキングを置き換える形で増備中である。
ぽると出版「バスラマNo.174」
【定価】1,471円(本体1,362円+税)
【サイズ】A4判 96ページ
【書籍コード】978-4-89980-174-0
【概要】
・バス事業者訪問209「大阪シティバス」
・新型車速報 いすゞ&日野からハイブリッド連節バスが発売開始!
・2019バステクフォーラム開催
・ドリーム号50年に見る旅客サービス
・「シティバスはATが標準」の時代到来〈前編〉バス事業者の対応を聞く
・新登場した小型路線バス用タイヤ ブリヂストンDURAVIS G640 小田急バスの使用現場を訪ねて
・JRバス関東のアストロメガ6台体制に&JRバステックでもアストロメガ運行開始
・走り出した三菱ふそうエアロクィーン&エアロエース2019年モデル
・短期連載 バリアフリー対応バスの系譜をたどる 第3回 シティバスの乗降性改善-3
・私の知っているバス達3 海外のバスを通じて見えたもの 〈バスラマ編集長 和田由貴夫〉
・ちょこっと定観2 KEIKYU OPEN TOP BUS 横浜
・粒よりの最新レポート、連載ほか
ぽると出版HP
(バスラマインターナショナル)