山梨交通は甲府を中心とする国中地方を中心に広い路線エリアを持ち、静岡県内でも一般路線バスを運行する。同社は、利便性向上やバリアフリー推進、環境保全など先進的な取り組みを積極的に行なっている。
バスラマでは度々取材しているが、あらためて事業者訪問として、No.44以来20年ぶりに冬の山梨交通を訪ねた。
「山梨交通」はどんな会社? 成り立ちについて
山梨交通は太平洋戦争下の陸上交通事業統制により、1945年5月に発足して72年目を数える山梨県内最大のバス事業者だが、そのルーツ、山梨県内で最初に定期乗合自動車を運行した山梨自動車運輸の発足(1917=大正6)年から数えると、100年という記念すべき時期にあたる。
山梨自動車運輸をはじめとする多くのバス会社は、1927年までに民営会社である山梨開発協会に集約される。その後、甲府に国鉄が乗り入れるより古くからあった、勝沼から甲府、鰍沢を結ぶ馬車鉄道を起源とする峡西電気鉄道の鉄軌道も吸収し、以後、最大のバス路線網を形成した時期には、西・北は長野県境、南は静岡県北部、東は塩山を含む広大な地域をカバーしていたのである。
戦後の山梨交通は、戦時中に休止した路線の復活から拡充を進め、1950年代には甲府―静岡間、甲府―諏訪間、甲府―小諸間など長距離路線を開業、1959年には国道20号を経由して昇仙峡と新宿を結ぶ季節運行路線も展開した。
1950年には貸切事業をスタート、1960年代以降には流通事業に参入するなど事業の多角化にも取り組む。そして1965年には年間輸送人員5,501万人を記録するが、以降はマイカーの普及や国鉄の輸送サービス性向上、さらに沿線人口の減少などの影響を受けるようになる。
このため長距離路線を廃止するとともに、1978年には甲府―新宿間で中央自動車道経由の高速路線バスの運行を開始、現在まで拡充を続け、新たな事業の柱に育て上げている。
現在の山梨交通は子会社の山交タウンコーチとの2社体制でバス事業を展開するとともに、1960年に加入した国際興業グループからは2014年に離脱し、現在は独立系事業者となっている。
山梨交通の車両アルバム
C858 いすゞ2KG-LR290J3 2017年式
一般路線車の主力である中型車では最新鋭グループのエルガミオ。AMTを標準搭載する現行スタイルのエルガミオはSKG-車が1台、2KG-車が2台在籍する。
C643 いすゞU-LR332J 1993年
現行エルガミオの先々代にあたるLRのうち、ツーステップ車はプロパー(自社購入車)で現役である。本型式は14台が稼働する。
C852 いすゞKL-LV280L1 2002年
大型のエルガワンステップは、かつての親会社である国際興業から移籍し、まとまった台数が活躍中。外装デザインは国際興業時代を引き継ぐが、山梨に来て再塗装されている。
C766 いすゞU-LV324L改 1995年
大型のキュービックはプロパーと国際興業移籍車の両方があるが、この車は国際興業でも少数派だったリフト付ワンステップバス。
B484 いすゞ2TG-RU1ASDJ 2017年
近年は新車の採用が続く貸切車では最新の1台、ガーラHDの9リットルエンジン車。乗客定員60人。貸切車・高速車も外装は国際興業に準じている。
山梨交通の詳しい情報は「バスラマ」No.166で紹介している。本誌では「バス事業者訪問」以外にも、さまざまな特集を展開。2ペダルの最新観光車試乗やWILLER EXPRESSの東京営業所も取材している。
ぽると出版「バスラマ No.166」
【発行日】2018年2月25日
【定価】1,471円(本体1,362円+税)
【サイズ】A4判 96ページ
【書籍コード】978-4-89980-166-5
【概要】
・バス事業者訪問No.201(山梨交通)
・特集 2ペダルの最新観光車試乗
・過去最大で最後 KortrijkのBusworld【後編】
・動き出した三井物産の電気バス事業
・富士重工製の都営バスがラストラン
・パイオニアと茨城交通 自動運転技術開発に向けた実証実験開始
・常に健康で乗務してもらうために―WILLER EXPRESS東京営業所開設
・冬でも元気! 2018年1月の北海道のバス達
・第21回バスラマ賞はトヨタコースターに
・短期連載 ここまで来たバスのAMT化 日野自動車
・粒よりの最新レポート、連載ほか
ぽると出版HP