ざっくり、こんなバス運転体験会
- ベテラン運転士による丁寧なサポート
- オートマチック車とマニュアル車の運転体験
- 女性運転士も活躍する現場
2018年10月27日(土)、青森県西部で「弘南バス運転体験会」が開催されました。
弘南バスでは、バス運転士に興味のある方を対象に「1日体験会」を昨年から開催しており、今回で4回目。
午前の部、午後の部と1日2回の体験会で、当日の参加者は計4名(午前2人、午後2人)でした。
会場は、弘南バス弘前営業所内の研修コースで、ベテラン運転士のサポートを受けながらバスの運転を体験します。その後、運転士の1日の仕事について説明を受けて、最後にアンケート記入を行ないました。
通常、バスの運転には大型2種免許が必要ですが、この体験会は普通免許を持っていれば参加できます。女性運転士も活躍されているとのことで、女性ライターとして体験した様子をリポートしたいと思います!
まずは見本運転と車内の様子を見学
午前9時、午前の部の参加者は私を含め2名ということもあり、早速バスを運転させてもらいました。
実際に路線バスとして使われている車体が2台用意されています。オートマチック車とマニュアル車が各1台ずつです。先にオートマチック車の運転からチャレンジしました。
私は、普通免許をマニュアル車で取得しましたが、普段はオートマチック車の運転しかしません。
「本当に運転できるのか」と不安を抱えつつバスへ乗車しました。
まずはベテラン運転士の阿保さん(運転士歴42年)が、コース内を2周走り、見本運転を見せてくれました。
オートマチック車を運転! ミラー確認は忙しい?
「じゃあ、運転してみようか」と阿保さんに促され、運転席に着席。ハンドルやギアは普通車とさほど変わりありませんが、大きな車体の死角をカバーできるよう、何種類ものミラーを運転席から確認します。
慣れるまで、どのミラーを見たらいいのか迷ってしまい、慌ただしく目線を動かしてしまいました。
曲がる際は、曲がりきれないということがないように、早めにハンドルを切るのですが、大きな車体は反対側にはみ出してしまいました。
するとそこで、「できるだけコーナーに車体を引き寄せてからハンドルを切るんだ。」と阿保さんから的確なアドバイスをいただきました。
教えていただいた通りにハンドルを切ってみると、運転が見違えるほど良くなったようで、運転席からの眺めにも目を配る余裕が出てきました。
マニュアル車のエンジンストップに苦戦…
マニュアル車に乗り換えると、三上さん(運転士歴6年)がサポートをしてくれました。しかし、開始早々エンジンストップ。
「ゆっくりとクラッチから足を離していったら大丈夫ですよ。」とサポートをしていただき、マニュアルでも運転の楽しさを感じるようになってきました。
運転に慣れてくると、普通車では味わえないバスのフロントの見晴らしに開放感を感じて、運転していて気持ち良かったです。
バスの「運転士の1日」説明会
続いて、人事部長の古川さんから資料「運転士の1日」を基に説明を受けました。
バス運転士の出勤から、終業点検までの1日の流れを、参加者1人ずつに丁寧に説明してくれて質問もしやすかったです。
「青森県の中でも特に弘前は県内屈指の観光地なので、市内の路線バス運転士は弘前の顔ですね。」と古川さん。
どういう方が運転士に向いているのかと聞くと、「運転技術の他、明るく接客していただける方がいいですね。接客の面で女性の心配りは長所となるので、積極的に女性も採用していきたいです。」とのことでした。
弘南バス運転士にインタビュー!
体験会で運転のサポートをしてくれた2人の運転士に、運転士になったきっかけや、やりがいなどを伺いました。
まずは阿保さんから。阿保さんは、大型トラックの運転に10年従事したのち、弘南バスへ入社。路線、高速、貸切バスの運転士を経て、現在は路線バスに乗務しています。
体験会ではオートマチック車をサポートしていただきました。大ベテランの的確なアドバイスに納得です。
―運転士になったきっかけを伺えますか?
「きっかけはやっぱり憧れですよ。以前はトラックに乗ってたんだけど、バス運転士は大型車の中じゃ花形。ビシッとネクタイをして格好よく見えたね。」
―やりがいはどんなところでしょうか。
「1日の業務を終えて無事に帰庫できた時です。」
―どんな人が運転士に向いていると思いますか?
「バス好きかな。私はディズニーランドの駐車場を見るのが面白い。色んな種類のバスを眺められる展示会だね。」
―運転士になりたいという方にアドバイスするとしたら?
「一番が健康。運転する時はゆとりを持つ。あせらない。考え事をしないことです。」
続いて、三上さんに伺いました。弘南バスでは、三上さんを含めて会社全体で女性運転士が4名在籍しており、三上さんが女性運転士の中では一番若いのだそう。
今回の体験会ではマニュアル車の運転をサポートしてくれました。
―運転士になったきっかけは何だったのでしょうか。
「子どもの頃からよくバスを利用していて、かっこいいなぁと運転士に憧れていたことです。高校卒業後すぐに運転士になりたかったけど、別業種の会社で働きながら大型二種の免許を取得しました。」
―どんな時にやりがいを感じますか?
「子どもを乗せてお礼を言われた時、運転士になってよかったなと思います。今の子どもは自家用車での移動が多いので、もっとバスに乗ってもらいたいですね。」
―運転士になりたい方に向けてアドバイスはありますか?
「やっぱりバスや車が好きな人で、マニュアルに慣れていると飲み込みが早いですね。これから運転士になるなら(免許取得の際に)運転教本の見直しも役に立ちます。」
終始なごやかなおふたりの様子が印象的でした。
「弘前の枯木平は走ってて気持ちいいよね。」
「岩木山に向かってりんご畑の中を走るコースで、眺めが素晴らしくてお客さんから拍手がくる。」
などなど、普段走るローカル路線の魅力についても、2人の意見はバッチリ合っていました。
まとめ
「大型免許がなければ運転はできない」というハードルを感じるバスですが、体験会で思い切ってチャレンジしてみると、想像以上に楽しく感じました。
また、今回、2人の運転士のお話からは、「バスが好きだから運転士をしている」ということがとても強く伝ってきました。好きこそものの上手なれ、というのはどんな仕事にも共通しているのかもしれません。また、弘南バスではすでに女性が活躍していることもわかりました。
これからの旅でも、運転士さんがどんな思いで運転しているのかと想像してみたいと思います。旅の楽しみが増えて、いっそうバス旅を好きになりそうです。
(森山太陽(あかり))