ざっくり、「スカイ号」はこんなバス
- 昼間を走る高速バスとしては日本最長(約700km)
- トイレ、座席コンセント付きの快適な車内
- 青森~東京間が最安4,000円~と格安
かつて数多くの寝台特急が運行されていた東京~青森間も、現在は新幹線と高速バスが主要交通機関として活躍しています。
今回ご紹介するのは、昼間を走る高速バスとしては日本最長を誇る弘南バスの青森・弘前~上野線「スカイ号」。車窓を眺めながら移動でき、途中休憩では食事や買い物を楽しめる、そんな昼行便ならではの良さが思う存分に味わえる高速バスを紹介します。
長時間のバス旅は準備を万全に! 青森駅から乗車
東京の上野行き「スカイ号」は、JR青森駅前のバスターミナルから出発します。
青森~東京間約700kmを10時間以上かけて移動するバスの旅ですので、準備は抜かりなく済ませておきたいもの。青森駅は朝早くから売店や土産物店が営業していますので、飲食物などはあらかじめ購入し、トイレもすませておきましょう。
私は、青森に来ると必ずといって良いほど購入するこちらのりんごパイ(ラグノオ パティシエのりんごスティック)を買って、バスターミナルへと向かいました。
青森駅前のバスターミナルはのりばが10カ所ありますが、「スカイ号」は9番のりばから発車します。
定刻8:00の10分前にはバスがのりばに着けられ、乗車改札が始まります。
4列シート車でも必要十分な快適装備
では、早速乗車してみましょう。
車内はグレーを基調としたモケットの4列シート。フローリング調の床が落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
各座席にはフットレストがありませんが、一部の座席を除き、足元がすっきりしていてスペースが広めにとられているため、足をめいいっぱい伸ばすことができます。
リクライニングもそれなりに倒れます。昼寝をするのには十分な角度ですね。
各座席にはコンセントも完備。長時間運行するだけに、この設備はありがたいです。
Wi-Fiサービスの提供はありません。
シート背面にはテーブルも。食事などをするときに便利です。
ブランケットの貸し出しサービスもあります。寒冷地を走る路線だけに、特に冬場はありがたい。
車内後部にはトイレも完備しています。
そして、「スカイ号」は運転士2名が交代で運転するため、車内最後部の座席は運転士の休憩席になっています。
平日にも関わらず50%以上の乗車率
8:00定刻に青森駅前を発車したバスは、国道7号線を弘前へと向かいます。
ところが、この日は路面が凍結しており、随所で渋滞が発生。
この影響で、弘前到着が20分程遅れ、9:20定刻の弘前バスターミナル発車時刻がずれ込むことになりました。
青森駅前では私を含めて7名しかいませんでしたが、弘前では15名程の乗客が乗車し総勢20名以上になりました。乗車定員が36名ですので、乗車率は50%以上。
平日にも関わらずこの乗車率には驚きましたが、それだけ利用が根付いているということではないでしょうか。
弘前バスターミナルを発車したバスは、大鰐弘前インターから東北自動車道へ。
ここから先は東京都内まで高速道路をひた走ります。
車窓は一面銀世界。
北国の冬の厳しさを改めて実感するとともに、この厳しい気象条件の中、難なくハンドルを操る運転士に対しては尊敬するばかりです。
約30分の昼食休憩も! 有効に使いたい休憩時間
バスは11:40に、最初の休憩場所である岩手県の紫波サービスエリアに到着しました。
「スカイ号」は3~4回の休憩停車があります。運行距離が長いことから、途中1回は約30分の昼食休憩が設けられています。
紫波サービスエリアでは、昼食休憩として長めに停車。
ほとんどの乗客がバスを降り、トイレや買い物、昼食を楽しんでいました。
私もサービスエリア内の軽食コーナーで昼食を済ませてから、トイレ、買い物をしてバスに戻りました。
紫波サービスエリアを発車したバスは、再び東北自動車道を南下。
南下するにつれ、雪が少なくなっていくのを目にするあたり、北国から遠ざかっていることを実感します。
その後、14:20には福島県の国見サービスエリアにて約15分間停車。
16:50には栃木県の佐野サービスエリアにて約10分間停車しました。
昼食休憩を除くと、1回ごとの休憩時間は決して長くありませんが、乗車時間が長いだけに、トイレや買い物、気分転換など、休憩時間を是非とも有効に使いたいものです。
短く感じた約10時間半、終点はかつての「北の玄関口」
佐野サービスエリア発車後は、東京へ向けてラストスパート。
車の交通量も次第に多くなっていきます。
17:38に浦和料金所を通過した頃には、日も沈み、街並みは夜の姿に。
その後、バスは首都高速川口線から中央環状線を走り、扇大橋ランプを流出します。
扇大橋からは尾久橋通りを終点の上野へ。左手に不忍池が見えると、終点上野駅前はすぐそこです。
そして18:22、バスは定刻よりも30分程早く上野駅前の東北急行バスのりばに到着しました。
こちらののりばには、「スカイ号」の他にも、夜行便「パンダ号」(青森・弘前~上野)や東北急行バスが運行する一部の高速バスも発着。
JR上野駅からは徒歩5分弱の場所にあります。昭和通沿いのドコモショップを目標にするとわかりやすいでしょう。
ライトアップされた上野駅を撮ってみました。
かつての「北の玄関口」上野駅に、北へ向かう高速バスが発着する…
何かの縁を感じるのは私だけでしょうか。
最安4,000円~の格安運賃も「スカイ号」の魅力
青森~東京間の高速バスの場合、「スカイ号」で約10時間50分、夜行便「パンダ号」(青森・弘前~上野)や「津軽号」(青森~東京新宿・東京駅)で約10時間10分~25分と、所要時間では新幹線や飛行機に到底及びませんが、運賃の安さは高速バスが一番。最大の魅力ですね。
しかも「スカイ号」は、片道4,000円~6,500円。新幹線片道17,350円(普通運賃+新幹線特急料金)の約4割以下の値段で移動できることから、地元客を中心に一定の支持を得ています。
聞くところによると、週末や繁忙期は混み合うとのこと。
利用する際は早めのご予約をおすすめします。
まとめ
乗車前は東京までの道のりが長く感じるかなぁと思いましたが、トイレや座席コンセント、ブランケット貸し出しなどといった充実の車内設備と、複数回の途中休憩、そして変化に富んだ車窓のおかげで、思っていたよりも短く感じました。
どちらかというと、高速バスというよりは、「高速道路を走破する日帰りバスツアー」に近い感覚かもしれません。個人的には十分に楽しめた「スカイ号」の旅でした。
時間はかかっても良いので、とにかく安く移動したい! でも、夜行バスは体質的に寝られないので、できれば利用したくない、このような人に「スカイ号」は是非ともおすすめしたいです。
機会があれば、再度プライベートで乗車してみたいですね。