晴天の中「第2回バスドライバー安全運転コンテスト」がスタート!
コンテストでは、バス会社12社から選抜された24名の運転士が一堂に会し「基本Aコース部門(旅客想定・安定走行部門)」「基本コースB部門(基本技術部門)」「技術コース部門(応用技術部門)」の3部門に分かれて競技を行います。
本来は2月10日に開催される予定だったコンテストですが、雪のため順延になりました。振替日となったこの日は、春の陽気が感じられるほど暖かい一日に。絶好のコンテスト日和となりました!
開会式は大会委員長による開会挨拶からスタートします。
挨拶中に出てきた「レベルの高い競争となることで、東京のバスドライバーとしての心意気を遺憾なく示していただきたい」という言葉に、心なしか場が締まったようでした。
そして出場選手や来賓の紹介ののち、選手宣誓。
いよいよ競技が始まります!
旅客の乗車を想定した「基本コースA部門」
審査の様子は、動画と写真を中心にご紹介します。まずはスタート地点からバスが発車。
ゆっくりとバスが前進し、コース内へと吸い込まれていきます。
基本コースAの内容は以下の通り。
●坂道発進
●S字コース
基本コースA部門は、乗客がいることを想定した競技です。
そのため、「マルチGセンサー」という、一定のG(重力)がかかると角材が倒れる装置を車内に設置。
乗客がいるうえで、安定した走行ができているか、ということを審査します。
さらに、出発前には選手による旅客案内が行われます。「安全のためシートベルトを着用ください」というアナウンスが。
着用案内のあと、近くに座っている審査員から「高速道路以外だったらシートベルトはいらないのでは?」という質問が入る場面もありました。それに対し「法令により今は義務付けられているため、着用をお願いします」と返す選手。
このやり取りも審査基準に入るので、なんだか見ているこちらも緊迫した気分になります。
基本コースA部門、最後はS字コース。コースを走り抜けるまでのタイムと、縁石がタイヤに接触しないかどうかを審査されます。
こちらは乗車し、審査の様子を見ていましたが、かなり緻密な審査がされているなと感じました。
基本的な運転技術を審査する「基本コースB部門」
基本コースB部門の審査内容は以下の通りになっています。
●方向転換
●縦列駐車
※隘路(あいろ):狭い道のこと
基本コースB部門では、基本的な運転技術に加え、より精度の高い運転が審査の対象となります。
一番最初の競技は「隘路(前進による枠内停車駐車)」です。停止した状態から、3m×14mの枠内に右旋回、左旋回をして車体を収納するというものです。
ラインをはみ出せば減点、という厳しい審査基準がもうけられています。
次は「方向転換」です。右後退左前進、左後退右前進を1セットずつ行います。
狭いコース内で、大きな車体を器用に動かすのは、相当な技術が必要です。
高度な運転技術が要求される「技術コース部門」
技術コース部門の審査内容は以下の通り。
●狭隘箇所方向転換(たこつぼ切り返し)
基本コースの2つも、私からするとかなりのハイレベルだったんですが、この技術コースはさらに「職人技」だな、と感じました。
1つ目の「パイロンスラローム」。
狭い間隔に置かれたパイロンの間をすり抜けていく技術は見ていて爽快なほど。
前進だけでなく、後進でもパイロンを抜けていきます。
2つ目はゴール付近にある囲いの中で行われる「狭隘箇所方向転換(たこつぼ切り返し)」です。
たこつぼ切り返しは、3mほどの狭い幅の入り口から前進し、囲いの中で転向、ゴール地点まで前進で抜ける、というかなり難易度の高い競技となっています。
開始から5分経過で、競技は打ち切りというシビアなルール。
見ていて一番ハラハラする競技でした......!
いよいよ結果発表!気になる3部門の受賞者は?
開会式から5時間ほど経過した14時15分ごろ、すべての競技が終わりました。
結果発表の前に、全選手が集合。
長時間の競技を終えた選手たちとバス車両が、心なしか輝いて見えます。
そしていよいよ閉会式が始まります。
団体、部門別個人、個人総合の3部門で表彰が行われます。
気になる審査結果は以下の通り。
●団体表彰
・優勝
はとバス
・準優勝
東京ヤサカ観光バス
・第3位
フジエクスプレス
●部門別個人表彰
・基本Aコース部門(旅客想定・安定走行部門)
松井成一選手(はとバス)
・基本コースB部門(基本運転部門)
志萱(しがや)英俊選手(プリンシプル自動車)
・技術コース部門(応用運転部門)
松井成一選手(はとバス)
●個人総合表彰
・優勝
松井成一選手(はとバス)
・準優勝
三澤孝之選手(はとバス)
・第3位
木村昌一選手(フジエクスプレス)
表彰された各選手にはそれぞれ賞状やメダル、トロフィーなどが授与されます。
はとバスの松井選手はなんと基本Aコース、技術コース、個人総合優勝の3冠を飾り、3つのメダルを首から下げていました。
今回のコンテストは「バス運転者としての自覚と誇りを維持向上させ、交通社会全体の安全意識高揚と交通事故防止活動を牽引し、利用者の信頼に応え得る安全・安心な公共交通機関を目指す」という開催目的が込められています。
それだけの意義が込められているだけあり、各選手の運転技が光るコンテストとなりました。
私自身、普段から高速バスや路線バスなどを利用します。今まで何気なく乗っていたバスは、バスドライバーさん達の経験と、高い運転技術のおかげで安全が保たれていたのだなと深く感銘を受けた「第2回バスドライバー安全運転コンテスト」でした。
(バスとりっぷ編集部)