山の上は標高が高いため涼しくて快適ですが、登山中も熱中症の危険はあります。今回は、登山で知っておきたい気温の話として、「暑さ」について解説します。
山の上は涼しくても熱中症に注意
7月に入り、本格的な夏山シーズンに入りました。
ふもとと比べて、山の上は標高が高いため涼しくて快適ですが、山の上でも熱中症の危険はあります。
たとえ山の上が涼しくても、次の3つの条件のときは、熱中症にかかりやすくなります。
①湿度が高いとき
ムシムシしていると同じ気温でもより暑く感じますが、湿度が高いと汗が蒸発しにくく、体の熱を逃がしにくくなります。このため、体の中に熱がこもってしまい、熱中症に繋がります。
②風がないとき
扇風機やうちわなどで風を仰ぐと涼しく感じますが、これは風によって体から熱を逃がしたり、汗の蒸発が促進されたりするためです。風がないと体内に熱がこもりやすくなり、熱中症リスクが高まります。
③日射が強いとき
日陰にいる時と日向にいる時では、体感温度が全く違います。強い直射日光のもとでは、厳しい暑さとなります。照り返しにも注意しましょう。
ぜひ、登山の時には気温だけでなく、湿度や風、日射について気にかけるようにしてください。
熱中症の症状
熱中症になると現れる症状について解説します。
軽いものでは「めまい」や「立ちくらみ」、中には「筋肉痛」や「こむら返り」のように、一見熱中症だとわかりにくい症状もあります。症状が進むと、頭痛や嘔吐、倦怠感などの症状が現れます。
さらに重症化すると、意識障害や運動障害などのような症状がみられます。このような場合はすぐに救助をよび、また救助を待っている間に応急処置を行いましょう。
登山中に熱中症の症状になっても、街にいる時のように救急車などの救助はすぐに来てはくれません。登山中はいつも以上に、熱中症の予防を心がけてください。
登山に必要な水分の量
登山中にどれくらいの水を持って行ったら良いでしょうか。
目安として、運動中の脱水量は自重と行動時間をかけた数字の5倍とされています。
例えば、体重55キロの人が5キロのザックを背負って6時間歩く場合、1.8リットルの水が体から出ていきます。
少なくともこの7割以上は水分を摂取する必要がありますので、重いからといって持っていく水の量を減らしたり、お手洗いが近くなるからといって摂取する水の量を減らすことは絶対にしないでください。
熱中症対策にとっては水分だけではなく、塩分補給も大切です。
汗と一緒に、体からは塩分が抜けていきます。体の中の塩分が足りなくなってしまうと、筋肉痛や手足がつったり、筋肉がけいれんしたりと「熱けいれん」の症状がおこります。
スポーツウォーターや塩味のあめ、食事などから、上手に塩分を摂取するのがおすすめです。