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富士山の雪解けはいつ?平年値と写真で月別の変化を見てみよう


富士山の雪解けのピークは4月で、5月から徐々に雪が解け始めます。平年値によると、山頂の最深積雪は4月にピークとなり、6月には1m以下に減少。雪が完全になくなるのは8月です。2004年までは測候所によりデータが収集されていましたが、現在は20年前までのデータが基準です。平均気温が上昇しているため、近年は雪解けが早まる傾向も。4月には雪が多く、5月には『農鳥』と呼ばれる雪形が出現します。6月には雪解富士が見られ、7月には登山が始まりますが、雪が残ることもあるため注意が必要です。

春から夏にかけて、徐々に姿を変えていく富士山。富士山の雪はいつ頃から解け始め、いつ頃なくなるのでしょうか?この記事では、富士山頂の積雪の平年値データ、各月の富士山の写真をもとに、雪解けの様子をわかりやすく紹介します。


平年値でみる富士山頂の積雪の季節変化

雪が解けると春がやってくる…そんなイメージがありますが、山の上、しかも日本一高い富士山の場合はどうなのでしょうか?今回は富士山の雪解けについて調査していきます。

富士山頂には2004年まで測候所があり、実際に気象庁の職員が積雪状況の観測を行っていました。残念ながら今はなくなってしまいましたが、まずはこの富士山頂の積雪深の平年値(1991年〜2004年)のデータで、季節変化をみてみましょう。

グラフは、旬ごと(各月の上旬・中旬・下旬)の最深積雪の平年値です。平年値では、山頂の最深積雪は4月にピークを迎えたのち、5月から徐々に減り始め、6月にようやく1m以下になります。7月にはかなり減りますが、「積雪なし」になるのはようやく8月に入ってからとなっています。

富士山頂の最深積雪の平年値(旬ごと)

富士山頂の最深積雪の平年値(旬ごと)

ただし、このデータには4つ注意点があります。
1点目は、あくまで「富士山頂」の雪の状況であり、山腹などでは状況が異なる可能性があること、2点目は「最深積雪」と、あくまで期間中の最大値を元にしたデータであるため、それより少ないときもあり得るという点です。
3点目は、「14年間」という比較的短い期間の統計値であること、そして4点目は、20年程前までの観測データをもとにしたものであることです。富士山の平均気温は年々上昇傾向(1.3℃/100年)にあるため、平年値と比較して、近年は雪解けの傾向が変化している可能性も考えられます。

それでは、次からは最近(2022年)の富士山の写真で冠雪・残雪状況をみながら、各月の様子をより詳しくみていきましょう。

富士山頂の年平均気温の変化(気象庁ホームページより)

富士山頂の年平均気温の変化(気象庁ホームページより)


【4月】積雪のピーク

実は、富士山の雪のピークは冬よりも春。山頂の平年値データにもあったように、意外にも、最も積雪が多くなるのは4月頃です。真冬の1月は、雪はあるものの場所によっては山肌が見えていることも多い時期ですが、雪の多い4月には、全体的に真っ白な富士山がみられることもよくあります。

なぜ富士山では、冬よりも春の方が雪が多くなるのでしょうか。
日本の冬は、大陸からの季節風(北西風)の影響を強く受けます。すると雪は風上の日本海側で降ってしまい、富士山のある太平洋側は乾燥してあまり雪や雨が降りません。
しかし、冬の終わりから春にかけて、冬型の気圧配置が緩むと、南から湿った風が吹き込むようになります。また南岸低気圧をはじめ日本付近を低気圧や前線がたびたび通過して、太平洋側でも雨や雪が降りやすくなります。標高が高い富士山では、春でも十分気温が低いので雪となり、積雪が増えるのです。

4月と1月(右上)の富士山のようす(いずれも裾野市提供)

4月と1月(右上)の富士山のようす(いずれも裾野市提供)


【5月】雪が解け始め「農鳥」が出現

5月になると、まだ雪が多いものの、全体的に少しずつ雪解けが始まります。雪解けが進むと富士山の山肌に雪形が現れ始めます。雪形とは、雪解けの時期、山肌に残った雪の模様を動物や人物に見立てたものです。

山梨県側では、例年4月下旬~5月頃になると富士山の7~8合目に「農鳥(のうとり)」と呼ばれる雪形が浮かび、麓に春の訪れを告げます。農鳥は、鳥のような形に見えること、そして昔からこの雪形が現れるタイミングを農作業を始める目安としていたことから、そのように呼ばれるようになったそうです。

農鳥について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
→「まもなく富士山に農鳥出現 高温の影響で雪解け早め」

5月の富士山のようす(裾野市提供)と山梨県側の斜面に春になると現れる雪形「農鳥」(右上)

5月の富士山のようす(裾野市提供)と山梨県側の斜面に春になると現れる雪形「農鳥」(右上)


【6月】雪解けが加速

6月になると、遠目からみても一気に雪解けが進みます。「雪解富士(ゆきげふじ)」の季節の到来です。雪解富士とは、富士山の雪が解け始めることを表していて、夏の季語です。陰暦の5月、つまり現在の6月頃に使う言葉です。

ですが、麓からは雪が少なく見えても、場所によってはまだまだ残っている場合もあります。
6月下旬頃、残雪が多い場合には、山開きに向けて登山道の除雪作業が行われることもあります。毎年7月に安全に山開きができるのは、こうした関係者の方々のおかげでもあるんですね。

6月の富士山のようす(裾野市提供)

6月の富士山のようす(裾野市提供)


【7月】登山シーズン開始 さらに雪解け進む

7月は、いよいよ富士山の登山シーズンの開始です。気温が上がり、残雪がほぼ消え気候が比較的穏やかになる時期として、一般の登山者が山頂まで行けるようになります。7月上旬から順次登山ルートが開通します。

ただし、年によっても異なりますが、平年値データからもわかるように、夏でも山頂の積雪は0にならないことがあります。山頂の最深積雪(平年値)は7月上旬で11cm、中旬で5cmほど。2022年の写真でも、斜面にはまだ所々雪が残っているのが確認できます。

このため、残雪状況によっては登山ルートの開通日が例年よりも遅れることもあります。近年では、2014年に残雪の影響で一部のルートの開通が大幅に遅れました。

7月の富士山のようす(裾野市提供)

7月の富士山のようす(裾野市提供)


【8月】いよいよ山頂付近が「積雪なし」に

真夏の8月になると、ようやく平年値で山頂の積雪が「なし」になり、写真でもごく一部を除いてほぼ雪らしいものは見られなくなります。

とはいえ、8月にも富士山では雪が降ることがあります。例えば、1994年8月22日には山頂で1cmの積雪を観測。なお初冠雪は前日21日に観測しています。

8月の富士山のようす(裾野市提供)

8月の富士山のようす(裾野市提供)


まとめ

いかがでしたか?
日本一高い山の富士山の雪解けは、4月頃に雪のピークを迎えたのち、夏にかけて徐々に進みます。ぜひその季節ごとの富士山の姿を楽しんでくださいね。
一方で、麓がもう夏でも、まだまだ山の上では雪が残っていることもありますし、雪が降ることもあります。富士山登山に挑戦される方は、そういった点にも注意しながら山登りを楽しんでください。

※なお、今回ご紹介したのは平年値をもとにした例年の状況です。年によって雪解けの状況は変化しますので、ご留意ください。

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