いよいよ北海道にも桜の季節がやってきました。今年も各地で例年より早い開花となりそうですが、北海道ではちょうどゴールデンウィークの頃が桜のシーズンという所が多く、各地で桜に関するイベントも開催されます。
そこで今回は北海道の桜をもっと楽しめるように、北海道の桜が開花から満開が短い理由、北海道ならではの特徴あるエゾヤマザクラ、これらのトピックについてご紹介します。
北海道の桜は開花の2、3日後に満開になることも多い
北海道は本州と比べ開花から満開までが短い地域です。例えば、昨年2023年には稚内や帯広で開花の2日後に満開、2022年には札幌でも同じく開花2日後に満開を迎えています。北海道では開花の2、3日後に満開となっても、それほど珍しいことではないのです。
開花から満開が短い理由は?
なぜこれだけ開花から満開が早いのか、それは北海道の気温が関係しています。
桜の蕾は寒くなり始める冬を前に一旦休眠し、成長を止めます。その後、冬の厳しい寒さによって再び目を覚まし、そこから春の暖かさで成長していきます。この冬の寒さによって蕾が目を覚ますことを「休眠打破」といいますが、寒さが弱い地域では、この休眠打破が起こるタイミングが同じ木でも蕾ごとにズレてしまいます。
しかし、北海道ほどの寒さであれば、蕾はほぼ同時に目覚め、一緒に成長していきます。そうなると、花が開くタイミングも似てくるため、開花から一気に満開になることも珍しくなくなるのです。
満開になると、その後の強い風などで桜が散りやすくなってしまうため、北海道の桜は本州より散るのも早いともいえるでしょう。
北海道ならではの特徴あるエゾヤマザクラ
桜と言えばソメイヨシノが有名ですが、ソメイヨシノは寒さに弱く北海道の道央圏が北限とされています。そのため、道北や道東方面の気象台で桜の開花・満開の標本木はこのエゾヤマザクラとなっています。
エゾヤマザクラの特徴は、なんといってもこの色です。花がほぼ白のソメイヨシノと違い、エゾヤマザクラの花は濃いピンク色をしています。さらに開花とともに葉も開くため、遠くから木全体を見ても、かなり赤みが濃く出るのです。
また、ソメイヨシノは挿し木などの手法で繁殖した、いわゆるクローンなのに対し、エゾヤマザクラは自力で繁殖もできる品種です。そのため、花の色や数、大きさ、花が咲く時期などに個体差があり、木によって特徴が異なるのです。
北海道でお花見をする際には、ジンギスカンはもちろん、品種の違いや、エゾヤマザクラの木ごとの違いを楽しんでみてはいかがでしょうか。
動画解説:谷内楓子