日本語で使用している漢字は中国発祥のもので、一部の漢字は現在の中国でも使われています。同じ字を使っているのだから意味も同じなのでは?と思っている人も多いかもしれませんが、漢字が日本に伝わっていく過程で意味が変わったり、長い時間の中で変化していったものがいくつもあるんです。今回は、同じ漢字を使っていても日本語と中国語では意味が異なる漢字をご紹介します。
1.手紙
日本語と中国語で意味が異なる漢字の代表的なものとしてたびたび紹介される「手紙」。日本においては紙などに文章を書いて誰かとコミュニケーションをとる手段として用いられますが、中国語においては「トイレットペーパー」の意味になるので注意が必要です。
2.読書
日本語における「読書」は、中国語では「勉強」という意味になります。本を読むことで新しい知識を得たり、いろいろな物事の本質を知ることができるので、読書(日本)=勉強(中国)というのは割と結び付けやすいかもしれませんね。
3.勉強
上で紹介したように日本語の「読書」は中国語で「勉強」という意味になりましたが、では、「勉強」という漢字は中国語ではどういう意味になるのでしょうか?
正解は、「無理強いする」や「無理やり」といった意味。勉強が嫌いな人にとっては中国語での“勉強”の意味の方がしっくりくるかも?
4.老婆
日本語において「老婆」という漢字は、年齢を重ねた女性を意味しますが、中国では「妻」という意味になります。北宋時代の貴族の詩に妻のことを“老婆”と表現している一説があり、それ以来、自分の妻のことを老婆と表すようになったと言われています。ちなみに中国語では、夫や妻、配偶者のことを「愛人」と表すことがあるそう。
5.鮎
中国語で「鮎」という漢字は「ナマズ」を意味します。これは“占”という字に粘々しているという意味があるからなのだそう。体の表面が粘々している魚だから「鮎(ナマズ)」となったというは、理にかなっていると思います。
対して、日本語における「鮎」の成り立ちは、昔、神功皇后がアユを使って戦の行方を占ったという記録から魚偏と“占”を組み合わせて「鮎」という漢字が生まれたと言う説が有力なようです。
鮎という漢字においては、漢字の意味が誤って日本に入ってきたわけでなく、同じ意味の漢字が時を経て変化したわけでもないという点で珍しいパターンなのだそう。単なる偶然で同じカタチになっているというのも面白いですよね。
6.高校
日本では高等学校を表す際に使用されている「高校」という漢字ですが、中国語では「大学」という意味になります。日本語における高校と同義の漢字は「高中(高級中学)」と書き、中学校は「初中(初級中学)」と書くそう。ただし、「小学生」だけは日本語も中国語も同じく「小学生」と書くので注意が必要です。
7.人間
日本語では人(ホモ=サピエンス)のことを「人間」と書きますが、中国語で「人間」と書くと「この世」や「世間」といった意味で使われます。人のことは単に「人」や「人類」と書きます。
8.算数
日本語では小学校の教科のひとつとして使われている「算数」という字。これが中国語になると全く違い、「約束を守る」や「効力などを認める(~とする・とみなす)」という意味になります。字面から推測するのはほぼ不可能ですよね。共通している点といえば、日本でも中国でも“算数”ができないといろいろな場面で苦労するというところでしょうか。
今回は、日本語と中国語で意味が異なる漢字を紹介しましたが、外国人とコミュニケーションをとる上で一番大切なのは、お互いの文化を尊重し、相手の想いを理解しようという前向きな心です。中国からの観光客も多い昨今。今回紹介した8つは知っておくと何かの役に立つかもしれないので、頭の片隅に入れておくと良いでしょう。