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3.11 気象情報の必要性


2011年3月11日。東日本大震災が起こりました。当時私は仙台で気象キャスターをしていました。気象キャスターとしての葛藤、仕事に対する心境の変化など、綴っていきたいと思います。


何が起こっているのかわからなかった

大きな揺れがあったのは、夕方のニュースに向けて準備をしているときでした。揺れの後は次々に入る震度の情報や津波の予想。何が何やらわからないまま、目の前の仕事に追われていました。そうこうしているうちに降り出した雪。雪の予想は出ていましたが、こんな時は予報が外れてくれたらよかったのに、と思ったことをよく覚えています。


次第にわかってくる被害状況

次第に被害の情報が届くようになりました。耳を疑うような情報に、今どれほどのことが起こっているのか、少しずつ理解していきました。


頭ではわかっているつもりでも、伴わない行動

しばらくは職場にいましたが、翌々日くらいには自宅に帰ったと記憶しています。職場にいられたことも、自宅に帰ることができたことも、私はかなり幸運な方だったと思います。
自宅には帰ることができたものの、当然電気もつかない、水も出ない状況。それはわかっていたつもりですが、ついつい蛇口をひねっている自分がいました。水が出ないのはわかっているはずなのに。蛇口をひねってみて初めて「ああそうだ、本当に水がでないんだ」と理解した気がします。当然ながらトイレも使えず、当時、防災グッズなど一切用意していなかったため、何もできずに過ごしました。


仕事に対する葛藤

震災直後、私は自分の仕事に疑問を持っていました。電気もガスも水道も使えず、家族とも連絡をとれていない人が大勢いる中、テレビを見ている人がどれほどいるのか。天気予報にどれほどの意味があるのか。もっと他にすべきことがあるのではないかと考えていました。
そんなとき、沿岸部の支局にいるカメラマンが、仙台市内の局に戻ってきて、私に週間予報を教えてほしいと言ってきました。暖かくなるのか、寒くなるのかだけでも避難所の人に教えてあげたい。寒くなるなら毛布や段ボールを用意しなければいけないからと。その時、こういう時だからこそ、気象情報が必要なのだと気づかされました。


生きるために必要な情報

寒くなるのか、暖かくなるのか、雨が降るのか、雪が降るのか、降るとしたらどれくらいか。気象情報を知ることで、対策をとることができることもある。そう思って、仕事に向かいました。普段私はお天気コーナーの中で、季節の話題などを伝えることが多かったのですが、しばらくは、淡々と気象情報を伝える日々が続きました。気象情報を必要としている誰かに届きますようにと思いながら。


伝えていくこと

東日本大震災から10年以上が経ちました。時間が経つにつれて、復興も進み、当時のことを知らない世代も増えていきます。またいずれ来るであろう災害に備えて、情報発信者として過去の教訓を引き継ぎ、災害の記憶を伝えていかなければ…と強く思います。

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