登山初心者のうちに意識してもらいたいのが「疲れにくい歩き方」。これを初心者の段階で身につけておくことで、余裕を持って他の登山仲間のペースについていけるようになり、さらには早い段階で少し難易度の高い山にも挑戦できるようになります。
普通に歩くだけではダメなの?と疑問に感じるかもしれませんが、普段から整備された道だけを歩いている私たちは「普通」がすでに乱れており、その状態で山に入ると必要以上に疲労します。そこで今回は、日常生活でも役立つ疲れにくい歩き方をご紹介します。
疲れず歩くための5つのポイント
それではまず、疲れず歩くためのポイントを5つご紹介します。
1.上体を立てて歩く
2.しっかりと足裏に体重をかける
3.歩幅を小さくする
4.息切れしないペースを心がける
5.地面を蹴るのではなく重心を移動させる
最も大事なのは姿勢です。まずはまっすぐに立ってみてください。このときに頭頂を糸で空から引っ張られているイメージをしてください。そして肩の力を抜いたまま、おへそを肩甲骨の方向に軽く引き上げてください。これが基本の立ち方です。
歩くときにはこの姿勢をできるだけキープしましょう。傾斜があると背中を丸めて猫背になりがちですが、これはNGな姿勢です。前傾することがOKですが、腰は曲げずにおへそは引き上げたまま、むしろ軽く反るくらいの意識で上体を立てて歩きましょう。
平地では踵着地でもいいのですが、理想はフラットに着地してください。そして足裏に体重が乗っているのを意識しましょう。歩幅はできるだけ小さくすると、バランスを崩すことなくまっすぐに歩けます。
ペースが速い人と一緒だと、ついついそのペースに引っ張られてしまいますが、息切れするようならペースを落としてもらってください。無理についていくと体力がどんどんと削られてしまい、下山するときに大きく遅れてしまいます。
そして最も大事なのが、地面を蹴って歩かないということです。基本の姿勢で体に1本の軸をイメージして、その軸を少しだけ前に傾けてみましょう。自然と足が前に出るはずです。重力を上手く利用して歩けるようになると、登山での疲労が大幅に減ります。
1時間に1回のペースで休憩を入れる
疲れを最小限に抑えるために、ゆっくり歩いていても適度な休憩を入れましょう。おすすめなのが50分歩いて10分休憩するというスタイルです。1時間歩いて10分休むという人もいるようですが、1時間サイクルで行動するほうが分かりやすく、1回に歩く時間も短くて済みます。
もちろん50分というのは目安で、岩場などの危険な場所で休憩時間になったら、まずはその場所を通過して、腰を下ろせる場所で休憩しましょう。ザックが重たい場合には下ろしても構いません。ただしヒルが出やすい山では背負ったままにしておくほうが安全です。
休憩のタイミングで、水分とエネルギー補給をしておきましょう。水分補給はスポーツドリンクがおすすめですが、甘いのが苦手なら麦茶でもOKです。糖質も不足していますので、エネルギー補給には羊羹や小さめのおにぎりなどがおすすめです。
トレッキングポールでサポートするのもおすすめ
足の負担を減らしたいなら、トレッキングポールを使いましょう。トレッキングポールを使うと上半身の力も推進力にできるので、足への負担を軽減できます。さらにバランスを保ちやすくなるため、転倒などのリスクも回避しやすくなります。
ただしトレッキングポールも使い方を間違えると、腕が疲れて役に立たなくなります。トレッキングポールはあまり体から遠くに突かないことと、体重を預けすぎないことを意識しましょう。あくまでも補助アイテムだということを忘れないでください。
トレッキングポールの使い方が分からないという人は、使い方講習会に参加しましょう。使用方法の動画なども配信されていますが、思い込みで間違った使い方になってしまいがちですので、きちんとした知識を持った人に教わるのがおすすめです。
トレッキングポールのメーカーや登山用品専門店などで定期的に講習会を開催していますので、トレッキングポールを購入するときにお店のスタッフに相談してみてください。その場でスタッフに教わるというのもおすすめです。
筋力アップをすれば登山はもっと楽しくなる
疲れにくい歩き方を意識したり、トレッキングポールを使ったりすることで、登山での足への負担は大幅に軽減できますが、もっと登山を楽しみたいのであれば、技術やアイテムに頼りきるのではなく自分の体力や筋力を向上させてください。
・5kmランニング
・スクワット
・縄跳び
1週間に2回のペースでこの3つを行えば、登山をするのに必要な体力や筋力が付き、中級者向けの山でも無理なく登れるようになります。ただし、すぐには結果が出ませんので、まずは3ヶ月継続してみてください。
ポイントは連続で行わないこと。1回トレーニングをしたら2日間は休みを入れてください。疲労が抜けていない状態でトレーニングをしても効率がよくありませんので、月曜日にトレーニングをしたら、次は木曜日もしくは金曜日にしましょう。
地味なトレーニングですので退屈に感じるかもしれませんが、継続することでこれまで断念してきた山を歩けるようになります。まだ見ぬ風景をモチベーションに、登山できるカラダづくりを習慣化させましょう。