10月中旬の宵、南の空ではマイナス2.5等前後の木星と0.6等前後の土星がやぎ座で輝き、南西の空には宵の明星の金星がマイナス4.4等前後の明るさで美しい姿を見せています。薄暮の澄んだ秋空に3つの惑星が一列に並ぶ光景は、思わず見惚れてしまうほど。そこに、10日から15日にかけて、月とアンタレスが加わり、私たちの目を楽しませてくれます。18日は2度目のお月見「十三夜」。今月は惑星と月に注目してみましょう。
【10月10日】金星、細い三日月、赤い星アンタレスが日没後の空に輝く
10月30日の東方最大離角に向けて、観測しやすい状態が続いている金星。見どころは、10日の細い月との最接近、アンタレスとの大接近があります。
アンタレスはさそり座で赤く輝く一等星で、さそりの心臓にあたる場所に位置しています。ギリシア語で「火星に拮抗する星」、「火星と同等の星」といった意味合いがあり、日本でもその色味から「赤星(アカボシ)」といわれていました。
金星に比べると暗く見えるアンタレスですが、日が落ちてしばらく経ってから観察すると、ややオレンジがかった赤い色であることがわかるでしょう。月もアンタレスの右上にあり、3つの天体が競演する印象的な光景を見ることができます。南西の低空での現象となるため、地平線近くまで見渡せる場所で観察しましょう。
【10月14日・15日】土星と月、木星と月の競演!秋の夕暮れを彩る美しい光景
秋の星座を背景に、右手に土星、左手に木星が並んで輝いています。14日から15日にかけて、この2つの惑星に月が姿を変えながら近付きます。
14日の夕方から深夜にかけて、前日に上弦を迎えた半月が土星の下に見えます。15日には、やや膨らんだ月齢9の月と木星が接近して見えます。月と木星の右には土星の姿もあり、宵の頃には西の空に金星も輝くダイナミックな光景となりそうです。
月と土星、月と木星の次回の接近は、それぞれ11月10日と11月11日です。
【10月18日】十五夜に次いで美しいとされる「十三夜」のお月見も忘れずに
中秋の名月「十五夜」から約1か月後、旧暦9月13日の月は「十三夜」と呼ばれ、日本ではこの日にもお月見をする習慣があります。十五夜に次いで美しいとされ、十五夜の後に巡ってくるため「後(のち)の月」とも呼ばれます。十五夜と十三夜のどちらか一方しかお月見をしない「片見月(かたつきみ)」は、縁起の悪いこととされていました。
宵の頃には東の空に見ることができ、南の空に高く昇るのは22時頃。十五夜と同じように、お月見を楽しみたいですね。定番の月見団子は、十三夜には13個お供えします。
澄み渡る秋の空は、月も星々もより一層美しく輝かせてくれます。冬の寒さに入る前の今は、星空観測にぴったりの季節。黄昏時の印象的な光景を眺めてみてはいかがでしょうか。
参考文献
『アストロガイド 星空年鑑 2021』 アストロアーツ
参考サイト
アストロアーツ
国立天文台