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花もコスモス、宇宙もコスモス。両者の共通点は?


秋の花といえばコスモス。北海道では9月中旬ごろから見ごろをむかえます。桜前線とは反対に、見ごろをむかえる地域は北からどんどん南下していき、九州では11月中旬くらいまで楽しむことができます。
ところで、コスモスという言葉を聞いて思い浮かべるのは何ですか? 花ですか? それとも宇宙ですか? 花と宇宙…まったく関係がない両者に、同じコスモスという単語がなぜか使われます。なぜ、花も宇宙もコスモスとよばれるのでしょうか。


コスモスの語源は「秩序」。花の和名は「秋桜」だけど外来種

コスモスの花の和名は「秋桜」。見ごろは和名の通り、秋。日本のどこにでも咲いていて、多くの人に親しまれている身近な花です。秋桜というステキな和名がありますが、日本に古くから咲く在来種ではなく、明治時代にヨーロッパから伝えられたとされる、いわば外来種です。
今では一般家庭の庭だけでなく、道端や河川敷などをはじめ、全国に広大なコスモス畑があり、日本中の人の目を楽しませてくれています。外来種ですが、まるで古くから咲いている花のように、日本の秋の風景にすっかり馴染んでいますね。
コスモスはもともとメキシコが原産で、18世紀末にスペイン人が国に持ち帰り、コスモスと命名されました。コスモスという言葉はギリシャ語の「kosmos」からきています。意味は「秩序」「調和」など。花びらのように見えるピンクの舌状花が、規則正しく8枚ずつ並んでいる様子を見て、秩序を表すコスモスと名づけられたといわれています。

1輪のコスモスに舌状花が8枚ずつ規則正しく並んでいる

1輪のコスモスに舌状花が8枚ずつ規則正しく並んでいる


ピタゴラスが、調和のとれた宇宙を「コスモス」と名づけた

1輪のコスモスには、花びらのように見える舌状花が8枚。どの花にも規則正しく並んでいます。このように、整然と秩序だった花の様子を見て、コスモスと名づけられました。では、コスモスという言葉はもともと、どのように使われていたのでしょう。
それは、古代ギリシャにまでさかのぼります。当時、哲学者だったピタゴラスが、宇宙は秩序ある調和のとれたシステムであると考え、これをコスモスと名づけました。ルネサンス期になると、コスモスという言葉の使い方がさらに進化し、宇宙全体をマクロコスモス(大宇宙)、人間の内面をミクロコスモス(小宇宙)とよぶようになりました。
コスモスというと秋に咲く花のほうを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、もともとは、古代ギリシャの時代から使われていた言葉で、整然と秩序正しい存在である宇宙のシステムを表すものだったのです。


「コスモス」(秩序)の反対語は「カオス」(混沌)

宇宙を調和がとれたシステムとしてとらえる宇宙観を、ピタゴラスはコスモスとよびました。このコスモスという概念は少し難解かもしれませんが、その反対語がカオス、つまり混沌であるというと、わかりやすいかもしれません。
ギリシャ神話では、はじめに混沌の神であるカオスがいて、そこから神々が生まれ、秩序が整えられていき、コスモスが生成されたとされています。
広大な土地にコスモスが一斉に咲いている風景をながめたとき、スペインに持ち帰った当時の人々には、それがまるで系統だった宇宙のように見えたのかもしれません。広いコスモスの花畑を思い浮かべると、その花がコスモスと名づけられたことにも頷けるのではないでしょうか。
参考
国立環境研究所:侵入生物データベース「コスモス」
滋賀県立近代美術館:カオス(渾沌)とコスモス(秩序)
ニッポン放送 NEWS ONLINE:花も宇宙も…コスモスと呼ばれるヒミツ
中京大学図書館 Culib News:秋の花コスモスをめぐって
北海道建設部まちづくり局都市環境課:コスモス(秋桜:あきざくら)
知識の宝庫! 目がテン! ライブラリー:世界最大のコスモス!

色も背丈もカオス状態のコスモス畑

色も背丈もカオス状態のコスモス畑

毎日のように日は昇り日は沈む。1年は(ほぼ)365日。星座の形は崩れることなく、毎晩、夜空に現れる…。北海道ではそろそろ秋の気配が訪れています。道端のコスモスもそろそろ花を咲かせることでしょう。空気が乾燥しはじめた秋の夜、星空を見上げながら、秩序ある大きな大きな宇宙について考えてみたくなるような季節になってきました。

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