新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、在宅ワークが増えて、自宅で食事をとる回数、自宅で料理をする回数が増えた方が多くなっています。長期間求められる自粛…食生活にも乱れが出ているのではないでしょうか?注意をして欲しいキーワードは「6つの“こ”食」です。
コロナ禍での食生活の変化
農林水産省が年に1度実施している「食育に関する意識調査」によりますと、コロナの流行で食生活が変化したかを聞いたところ、「自宅で食事を食べる回数」や「自宅で料理を作る回数」が「増えた・広がった」と答えた人が増え、特に20代~30代の若い世代では半数を超えました。
バランス良く、健康的な食事をと心がけている方も多いと思いますが、自宅で毎食、自分や家族の食事を準備をするのは結構大変なことです。これが、去年からずっととなると乱れがでてしまうということもあるのではないでしょうか。
「6つの“こ”食」「孤」「小」「個」
毎日の食事で「何を食べるか」はもちろん大事ですが、それ以上に「どう食べるか」がとても大事です。皆さんは「6つの“こ食”」って聞いたことありますか?現代の食生活の乱れを表した言葉です。ここでいう6つのこ食の「こ」に当てはまる漢字が6つあります。
1つ目に「孤食」です。家族がいない食卓で、一人でごはんを食べることを言います。コロナで外出や人と会うことの自粛が続き、一人暮らしの人は、毎日、毎食一人ということもあるかもしれません。本来であれば、家族や気の置けない仲間と「美味しいね!」とかお話をしながら笑顔で一緒に食べるというのは一番のご馳走です。一人でご飯を食べると、早食いやだらだら食いにつながったり、子どもの場合は誰にも注意されず、好き嫌いが増えてしまったりすることがあります。そして、成長の真っ最中である子どもの場合は特に、コミュニケーションが少なくなることで、社会性や協調性がなくなるなどの影響が出てきてしまう恐れもあります。
大雨や暑さに注意が必要な時期であり、タイミングが難しいですが、気象情報に気を付けながら誰かを誘って屋外で短時間のランチをする、というのであれば取り入れやすいのではないでしょうか。
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食事をしない間はマスクをするということを鉄則に、少人数で短時間の会食を取り入れるということも孤食を防ぐには必要だと思います。オンラインで食事会をするというのも孤食は避けられると思いますので、少し意識してみてください。
2つ目に少しの量しか食べない「小食」です。栄養不足で、無気力になるなどの弊害が出てしまいます。もちろん食べる量には個人差がありますが、あまり食べないということの裏には、寂しさやストレスが隠されている場合があったり、お菓子やジュースなどの高エネルギーのものを摂り過ぎていることなどが原因にあげられます。私は2歳の子供を育てていますが、同じ年頃のお子さんがいるご家庭で、「ごはんをなかなか食べてくれない」という悩みを耳にします。先ほどの一人で食べる「孤食」が原因のこともあります。普段はあまり食べなくても、保育園などでほかの子供達と一緒だとパクパク食べるというのも良く聞きますが、楽しい気持ちには食欲を促す効果があるのです。無理に食べさせるということではなく、楽しい食事を心がけるというのはそれだけ大事なことなのです。
また、作りたてのあったかいお料理を食べさせてあげたいと思い、つい時間をかけてしまうこともあるかもしれませんが、一緒に食事をとりにくくなるというデメリットもあります。作り置きや手抜き料理、冷凍食品なども活用して、一緒に食事をとるということが必要です。
3つ目に「個食」です。別名で「バラバラ食」とも言われます。家族揃って食卓についているのに、各自好きなメニューを食べている状況です。一緒のものを会話しながら食べると、時間や気持ちが共有出来て、一体感や安心感を得られますが、それぞれが好きなものだけ食べていると、好き嫌いを増やし、協調性のないわがままな性格になってしまう可能性があるそうです。
「6つの“こ”食」「固」「濃」「粉」
4つ目に「固食」です。自分の好きなものだけしか食べないという意味です。カップ麺ばかり、菓子パンばかり、牛丼ばかりなど思い当たることはないでしょうか?
好きなものを好きなだけ食べるのはストレス解消にもなり、たまにはいいのですが、毎日続くと栄養が偏ってしまい、高脂肪・低たんぱくになって、肥満などにつながります。ビタミン・ミネラルの不足はイライラをもたらしたり、キレやすくなるなど、心が荒れる原因にもなるそうです。一人分だとどうしても作るまでもない…などと考えてしまいますが、気を付けたいところです。
5つ目は「味の濃さ」の「濃い」という字の「濃食」。テイクアウトの食事が続いたり、市販のスナック菓子、加工食品などで済ませようという方もいらっしゃると思いますが、塩分、糖分や調味料が多かったりすることで、肥満や生活習慣病を引き起こしやすくなります。お酢やレモン、スパイスなどを使って、塩分・糖分を調整してみてください。
6つ目は、粉という文字で「粉食」です。文字の通り、パン、ラーメン、うどん、パスタなどの粉を使った主食を食べることなのです。日本人の主食はお米ですが、年々消費量が低下しています。ご飯よりも粉製品は柔らかく、喉越しが良いため噛む回数が少なくなって、あごの力が発達しないなどの影響が出てしまうのです。しっかり噛むというのはすごく大事なことで、脳の血流を高めて、記憶力や思考力の向上に効果を発揮したり、唾液が分泌されて免疫力も高まります。
もちろん食欲がないときに麺類が食べやすかったり、時間のない朝には手軽に食べられるパンを重宝したりと粉物の良い所もありますが、脳の発達が盛んな幼少期や、脳を活用する大事な試験や仕事の前には、和食中心のおかずとお米が望ましいかもしれません。
「6つのこ食」知っていると知っていないとでは食に対する意識が変わると思っています。コロナ禍でなかなか実践しにくいところもありますが、この機会に家での食生活を見直していきたいですね。厳しい暑さが続くため、食品の管理にはご注意ください。