みなさんは「バラ科」のフルーツと聞いて何を思い浮かべますか?「え?バラ科?フルーツ?そんなものあるの?」と思う方もいらっしゃるでしょう。ところがこのバラ科フルーツは、意外なほど私たちの身近にあるのです。そして、実にバラエティーに富んでいるのです。今回は、よく知っているはずなのに気づいていなかった、バラ科のフルーツとその共通の特徴をご紹介します。
春を代表する梅・桃・桜
春を代表する「梅・桃・桜」
この3つの花、とても似ていますよね。
それもそのはず、この3つはどれも「バラ科」の植物という共通点があるのです。
え?梅・桃・桜がバラの仲間?
でも、バラって花びらがもっと沢山あるんじゃない?と思った方もいるでしょう。
実はバラ科の花の特徴は、この3つ。
花びらが5枚のシンプルなバラの花は、梅・桃・桜の花ともよく似ていますね。
でも、八重桜は?桃だって花びらが重なっているものがありますよ?花びらがたくさんあるバラは?…と疑問に思うかもしれません。
八重か一重かは、植物の分類上あまり重要ではないそうです。
ここで、梅・桃・桜の見分けがつかないという方のために、簡単に見分けるポイントをご紹介。
いろいろな見分け方がありますが、まず花と枝の境目部分に注目してください。
また、花が咲いていれば、花びらの形でも見分けることができます。
あれもバラ科、これもバラ科!?
さて、梅・桃・桜の見分け方がわかったら、本題のバラ科の話です。
バラ科の植物は、全部で約3000種あるといわれています。
その中でも、今回は特に私たちの暮らしに身近なフルーツに注目しましょう。
梅・桃・桜は、鑑賞するだけでなく、実を収穫してフルーツとして食べることができますね。
観賞用とは別の品種になりますが、食用の梅・桃・桜ももちろんバラ科です。
梅・桃・桜以外にも、まだまだあるんです。
次の写真①~③は、全部バラ科のフルーツの花です。
どれが何のフルーツか、すぐにお分かりになりますか?
①から順に何のフルーツの花か、「バラ」していきましょう!
①はリンゴの花です。
『赤毛のアン』の冒頭では、マシューの馬車でグリーンゲーブルズに向かうアンが、リンゴの並木道に感激する場面が出てきます。あの、並木道のリンゴの花もこのような感じだったのでしょうか。
②は①のリンゴと形がよく似たフルーツ。そうナシの花です。
リンゴとナシは、親戚みたいなので、リンゴがバラ科なら、ナシも仲間かな?と想像がつきますよね。もちろん、洋ナシもバラ科です。
これは簡単だったので、次は少し難しくしますよ!
③のフルーツの花をじっくり見たことがある方は、少ないのではないでしょうか?
この花は、秋の終わりから冬にかけて咲きます。露地栽培のビワの旬は、初夏です。
コロンとしたオレンジ色のフルーツ「ビワ」です。
ここまでは「木になる」フルーツでした。
次が「気になる」そこのあなた!
次はイチゴです。
なんと「イチゴ」もバラ科
ご覧の通り、イチゴも花びらが5枚でおしべがたくさん。バラ科の植物です。
イチゴはフルーツかと思いきや、実はメロンやスイカと同じように野菜の仲間。
農林水産省の作物の統計では野菜に含まれていて「果実的野菜」とも言われています。
私たちが果実だと思っている甘い部分は、茎の先端が膨らんだ「偽果(ぎか)」なのです。
では果実はどの部分なのかというと、イチゴの表面のゴマのようなブツブツです。
あのブツブツ一つ一つが果実なのです。1粒のイチゴには、なんと200~300個の果実が集まってできているんです。
子どものころ、スーパーで買ってきたイチゴのブツブツを乾燥させて、湿ったコットンの上でしばらく育てたことがありますが、約10日ほどで芽がでました。
話がそれましたが、イチゴは「ストロベリー」ですね。
そこで同様に「ベリー」と付く、ラズベリーを調べてみるとバラ科でした。ブラックベリーもバラ科です。ではブルーベリーはどうでしょう。
残念ながらブルーベリーはツツジ科でした。
バラエティーに富むバラ科フルーツ
バラ科のフルーツが意外と幅広いので、他の科のフルーツも調べてみました。
こうしてみるとバラ科とミカン科が多いのが目立ちます。
ミカン科は柑橘系で、どれもなんとなく形や味が似ています。
それに対してバラ科は、バラバラ!イチゴとリンゴなんて全く形が異なりますし、味も似ていません。
フルーツではありませんが、私たちに身近なバラ科はまだあります。
こちら、桜の花のようですがアーモンドの花です。
アーモンドは、バラ科サクラ属で、バラ科の中でも、特に桜に近いのです。アーモンドは豆ではないのですね。
バラエティー豊かなバラ科のフルーツたち。
味も旬もバラバラですが、ぜひバランスよく召し上がってくださいね。
参考文献
「広辞苑」第六版 岩波書店
「小学館の図鑑NEO19花」小学館
「なぜ?どうして?はじめてのこども図鑑 くさばな」学研プラス
「最新 園芸・植物用語集」土橋豊
「いちごのあれこれ豆知識」農林水産省ホームページ