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その時代を反映するメッセージ。8月28日は「テレビCMの日」です


8月も残りわずか。暑い日が続きますが、秋の虫の音も聞かれるようになりましたね。

8月28日は「テレビCMの日」。テレビ黎明期のCMとはどのようなものだったのでしょうか。また、現在のコロナ禍のなかで好感度がアップしているCMの魅力についてご紹介します。


今から67年前。はじめて流れたテレビCMとは

1953年2月1日、NHKにより日本初の地上波テレビ放送が開始されました。同年8月28日には、日本テレビが民間放送初のテレビ放送を開始します。日本初のテレビCM (commercial message)は、この日の正午に放送された、「精工舎の時計が正午をお知らせします」という服部時計店(現:セイコーホールディングス株式会社)の時報でした。

記念すべき初のCM放送でしたが、フィルムは裏返しで音も不明瞭というハプニングが発生、30秒の予定がわずか3秒で中止されるという事態に。フィルムが現存する最古のCMは、同日夜7時に放送された同じく服部時計店のもの。アニメーションのニワトリのキャラクターが登場し、時計のネジを巻く時報コマーシャルの映像です。

1959年に東京タワーがテレビ電波の発信を開始し、民放テレビ局が次々と開局します。 同年4月10日の皇太子ご成婚の実況中継を機に、テレビの普及は200万台を突破しました。NHKと日本テレビの初放送からわずか6年、テレビは人々の生活にしっかりと根付くことになります。テレビの影響力が増すにつれ、CMの質の向上が危急の課題となっていきます。CM制作にもさまざまなジャンルのクリエイターが参加し、進化の道をたどることになるのです。


CMの質を向上するために。ACCの発足

前出の初のテレビCMを手がけた電通では、当時の社長・吉田秀雄のもと、「広告は科学と芸術の総合」という高い理想を掲げてCM制作に取り組んでいました。 1960年には、日本広告主協会、日本民間放送連盟、日本広告業協会の3団体により「CM合同研究会」(Allied CM Council:略称ACC)が発足、CMの質的向上を目指し活動が開始されます。

現在は「一般社団法人 ACC」に法人名称を変更し、あらゆる領域のクリエイティブを対象としたアワード「ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」を開催し、優れた作品を選抜して表彰しています。このアワードは1961年に創設されたCMを対象とした広告賞「ACC CM FESTIVAL」が前身。現在、国内で最も規模が大きく権威のあるアワードのひとつとしてクリエイティブの向上を牽引し、最高賞にあたる「総務大臣賞/ACCグランプリ」は、クリエイターの大きな目標となっています。


自粛生活中に好感度がアップしたCM『ゼスプリ キウイフルーツ』

CMは企業によるマーケティングの一環といえますが、発信者から私たち生活者へのメッセージであり、コミュニケーションツールともいえます。みなさんは、ずっと記憶に残っているCMやお気に入りのCMはありませんか。次回作が気になるシリーズものや、キャッチコピーが印象的だったり、音楽が耳に残るCMもありますね。その時代を的確にとらえたCMはメッセージ性が高く、特に私たちの記憶に残るのではないでしょうか。

新型コロナウイルスの感染が拡大し、仕事はリモートが推奨され、学校は休校が相次いでいた6月、CM総合研究所が発表する銘柄別CM好感度ランキングで1位になったのは、『ゼスプリ キウイフルーツ』のCMでした。キャッチコピーは「ヘルシーを、やみつきに。」。「ストイックなイメージがある健康的な生活を、もっと積極的に楽しみたくなるものにしよう」という思いが込められています。

おなじみのキャラクター、キウイブラザーズがジョギングや筋トレなどに挑戦するもあえなく挫折してしまう姿に癒される人が続出。「ヘルシーは好きなことを楽しみながら」と歌うゆったりとしたテンポのCMソング も、コロナ禍ではりつめていた視聴者の心を和ませました。キャラクターたちの動きはコマ撮りのフルアニメーションで、1コマ1コマ人形を動かして撮影しているそうです。CGで表現できないアナログな動きも、癒し効果にひと役かっているようですね。

当初予定されていたCMソングは、頑張るキウイブラザーズを応援するようなアップテンポの曲調でしたが、新型コロナウイルス感染の拡大を受けて、歌詞やストーリーをポジティブで温かい方向に、曲調もゆったりしたものに軌道修正されました。世相を反映し、人々の気持ちに寄り添ったCMは、小学生や女性層を中心に幅広い層から支持を集めました。 好感要因は「出演者・キャラクター」が最も多く、「かわいらしい」「ユーモラス」「音楽・サウンド」が続きます。調査モニターからは「キウイのキャラクターがとてもかわいい」「アコースティックな曲に癒やされる」「幸せな気分になる」といったコメントが寄せられ、コロナ禍での健康への関心の高まりもあり、「体にいいことは疲れるなどの歌詞に共感」「好きだから続けられるの言葉に納得」などの感想も寄せられました。



世相を反映し、その時代の記憶をつくるCM。生活や価値観が大きく変化し、主たるメディアも、ラジオからテレビ、Webへと変化するなかで、これからどのようなCMが新しく生み出されることになるのでしょうか。

参考サイト

テレビ放送の歴史(NHK)

日本テレビ略史

電通報

東洋経済ONLINE「60秒の長編『ゼスプリ』CMが断トツ人気のワケ」:https://toyokeizai.net/articles/-/359194?display=b

NIKKEI STYLE:https://style.nikkei.com/

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