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江戸の潮干狩りは夢ごこち!?旬のアサリを美味しく食べよう♪


アサリなどの貝類がぷっくり太って美味しくなる季節ですね。潮干狩りは、晩春の季語にもなっています。ところで、どうして春が潮干狩りシーズンなのでしょうか? 江戸時代には大人気レジャーとなり、出かける男衆をメロメロの夢心地にしていたってホント? そしてアサリといえば、砂出し・塩抜き。簡単なやりかたは? シンプルなおすすめレシピもご紹介します。旬のアサリを美味しく食べて、食卓で海の季節を楽しんでみませんか?


潮干狩りはなぜ春がいいの?アサリは潜る場所をシビアに選んでいた!

潮干狩り(しおひがり)とは、潮の引いた砂浜でアサリやハマグリなどの貝を獲ることです。

江戸時代の書物には、「(旧暦の)3〜4月、とくに3月3日が最適日」とあり、今の暦ではちょうど春がベストシーズン。アサリの産卵期(関東以南は秋にも)でもあります。潮の満ち引きは、月と太陽の位置によって変わりますが、春と秋は干満差が大きくなると言われている季節。とくに春は、昼間に潮が引きやすいため、老若男女が無理なく貝さがしできるというわけですね!

アサリは掘り出された場所で生まれたのではなく、わざわざ選んでそこにいるようなのです。

受精して2〜3週間ほどは潮流に乗って浮遊し、わりと自由に動き回ったのちに、終の住処を選んで着底します。足で砂を触って棲みやすい場所がどうかを確かめ、気に入らなければ再度浮遊して別の場所をさがすのだとか…。 アサリは口に合わないプランクトンは拒否するなど、けっこう好みにうるさいらしいです。そうして選ばれた場所は、他のアサリにとっても優良物件。アサリたちに人気の海岸が、よい潮干狩りスポットとなるようです。

合言葉は「1匹みつけたら30匹はいると思え」! キッチンに潜む黒い虫のことではなく、じつはこれが潮干狩りの秘訣ともいわれています。大きなアサリを1匹みつけたら、すぐ移動しないでそのまわりを掘ってみると、続けてみつかることが多いのだそうです。金脈を探し当てるイメージでしょうか。アサリの語源は「浅利」「漁り」など。アサリは原始の昔から、陸に住む人間が(潜ることなく)夢中で掘り当ててきた、海のお宝なのですね。

青いものも!同じ色柄は2つとない個性派ぞろい

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江戸時代の潮干狩りは恋の冒険で夢心地♪ おどろきの収穫内容とは?

江戸時代、潮干狩りは庶民に大人気のレジャーとなっていました。江戸の年中行事を紹介した書物『東都歳事記』では、潮干狩りによい場所として芝浦・高輪・品川・佃島・深川洲崎・中川などが挙げられています。堤には茶店がならび、舟遊びや宴会などもできて、1日のんびり。品川など色街のある潮干狩りスポットでは、夢心地になり帰れなくなる殿方もいたといいます。

春の大潮になると、一般庶民だけでなく、地位のある人や良家の子女たちもお供を連れて潮干狩りへ。庶民にとっては、日常では見ることのできない美しいお嬢様や高貴なお姫様たちが、同じ空間に!! そしてどんなに偉くても美しくても、潮が引く同じ時間に等しく足を運び、しゃがんで砂を掘って貝をさがすのです。みつかるチャンスも皆同じ! 潮干狩りは、身分を越えた夢が見られるレジャーだったのかもしれませんね。

そのころ江戸では、「潮干狩りを楽しむ美人」や「貝をむき身にするお姉さん」などが浮世絵に描かれ、巷に出回っていたようです。潮干狩りに行けば、こんな美人やお嬢様やお姫様と会えるかも♪ とグラビアにときめき、出かけてみたら男女の出会いゼロでした…という男衆も、少なからずいたにちがいありません。そんな場合でも、手ぶらで帰さないのが潮干狩り。当時はアサリだけでなく、なんと「蠣蛤(かきはまぐり)を拾ひ、砂中の平目をふみ、引残りたる浅汐に小魚を得て宴を催せり(東都歳事記)」という贅沢さ! ヒラメまで獲れていたなんて。

恋の冒険より貝の発見を求めている皆さん

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砂出し・塩抜きのやりかたは?シンプルなアサリ丼のレシピもどうぞ

アサリの体内には、砂と塩水が入っています(スーパーなどで海水とともにパックされているアサリは、たいていは砂が抜けています。ザルにのっていれば、塩も抜けています)。砂を出すには、流水でガラガラ洗ったあと、アサリがギリギリ隠れるくらいの海水(なければ3%の塩水)に2〜3時間浸ければOK! アサリがなるべく重ならないよう、バットや水切りカゴなど平たい容器がおすすめです。

大切なのは、呼吸穴を開けたアルミホイルや新聞紙をかぶせて暗くすること! アサリは光や音に敏感なので、のびのびと砂を吐けるようになるべく静かに放っといてあげましょう。こっそり覗くとニョロニョロ伸ばしている2本の管は、「入水管」と「出水管」といいます。入水管から水と一緒に入ってきたプランクトンをエラでこし、いらないものは外に吐き出しているのですね。砂を吐いたら、またガラガラと洗って水から上げ、1時間ほど置いておくと塩も抜けます。

アサリ料理といえば「深川めし」。もともとは、深川の漁師さんたちが仕事の合間に船上で食べていた賄い飯がルーツとされています。現在もご当地グルメとして「ぶっかけめし」「炊き込みごはん」など、さまざまに愛されているようです。また、アサリは昔から、貧血や二日酔い、味覚障害などを予防する食材としても知られていますよ。旬のアサリを美味しく食べて、この時期を健やかに過ごしたいですね!



◆シンプルなアサリ丼のつくりかた◆

<2人前>

アサリ 500g、日本酒 50cc

みりん・しょうゆ・砂糖 各大さじ1

ごはん 適量

万能ネギ・刻み海苔 各少々

1・鍋に日本酒とアサリを入れて蓋をし、酒蒸しにします。

2・アサリの口が開いたら、身を取り出して別皿に取っておきます。

3・鍋の汁にみりん・しょうゆ・砂糖を加え、煮詰めてタレをつくります。

4・煮詰まったタレに、取っておいたアサリを入れて混ぜ合わせます。

5・ごはんを盛った丼に4をのせ、細かく切った万能ネギと刻み海苔を散らします。

カタツムリのツノかと思いきや…

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〈参考文献・サイト〉

『潮干狩りの疑問77』原田知篤(成山堂書店)

『江戸風俗 東都歳事記を読む』川田壽(東京堂出版)

『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』ウェブサイト

『深川めし振興協議会』ウェブサイト

『西宮市貝類館』ウェブサイト

こちらはぶっかけタイプの深川めし

こちらはぶっかけタイプの深川めし

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