秋といえば新米! そしてお米と一緒に食べたいのは、やっぱり和食ですね。その味わいのカギになるのが出汁(だし)の存在です。
だしは、私たち日本人の食卓に深くとけこんでいますが、市販のだしの素などを使うことが多く、昆布やかつお節、煮干しなどの天然の素材からだしをとったことがない人も多いのでは?
そこで今回はだしの魅力や、だしのとり方の基本、その活用方法などをご紹介しましょう。
だしのおいしさの秘密とは?
出汁(だし)とは、昆布やかつお節、煮干しなどの素材を水につけたり煮出したりすることによって、うまみ成分や香りなどを引き出した汁のことを指します。
昆布などの植物性の素材には「グルタミン酸」
かつお節や煮干しなどの動物性の素材には「イノシン酸」
しいたけなどのキノコ類には「グアニル酸」……
このように食材によって異なる「うまみ成分」が豊富に含まれており、このうまみ成分を大切にして、調味料だけでは得られない、奥深い味わいを調合できるのがだしの大きな特長です。この「うまみ成分」は、日本食ならではのおいしさのモトでもありますね。
また、うまみには相乗効果があり、2種類以上のうまみ成分が合わさると、うまみをより強く感じられるようになることもわかっています。つまり、昆布とかつお節、昆布と煮干しなど、いくつかの素材を合わせて使うことで、だしはもっとおいしくなるのです。
おいしいだしのとり方の基本
では、ここからは、和食のだしの基本である、昆布とかつお節を使った一番だし、二番だしのとり方を見ていきましょう。
一番だしとは、昆布とかつお節を使って、最初にとれただしのこと。日本料理店などでも使われる上品な風味と味で、だしの味を活かして薄味にしあげたい時に向いています。例えば、お吸い物や薄味の煮物、だし巻き卵、煮びたしなどにおすすめです。
二番だしとは、一番だしをとっただしがらを、もう一度煮出してとっただしのこと。香りは弱く、雑味が少し出ますが、うまみが凝縮しただしがとれますので、煮物やみそ汁など、しっかり味をつけたい料理や、煮汁がにごってもよいものにおすすめです。
このように、一番だしと二番だしを上手に使い分けることで、料理がよりおいしくなります。
〈一番だしのとり方〉
【材料】
水 1リットル
昆布 10㎝角
かつお節 20g
【手順】
1. 昆布の表面を、固く絞ったふきんなどで丁寧に拭く。
2. 鍋に水を入れて昆布を浸す。冬は1時間半ほど、夏は20分ほどがおすすめ。
3. 鍋を弱火にかけ、鍋底にふつふつと泡が出てきたら、昆布を取り出して、一度沸騰させる。
4. 火を止めてからかつお節を入れ、そのまま10分程度置く。
5. ボールにざるを置き、こし布かキッチンペーパーを敷いてこす。
★ポイント★
昆布のうまみは低温で抽出されます。また、沸騰させると昆布にぬめりが出てしまうので、沸騰直前に取り出します。さらに、かつお節を入れた後に混ぜたり、こす時に絞ったりすると、えぐみが出てしまうので気をつけましょう。
〈二番だしのとり方〉
【材料】
水 1リットル
一番だしをとった時に残った昆布とかつお節
かつお節(追いがつお) 10g
【手順】
1. 鍋に水と一番だしをとった時に残った昆布とかつお節を入れて、強火にかける。
2. 沸騰したら弱火にして、10分ほど煮た後に追いがつおを入れ、火を消して1分ほど置く。
3. ボールにざるを置き、こし布かキッチンペーパーを敷いてこす。
★ポイント★
強火だと雑味が出るので、必ず弱火で煮出します。じっくり煮出すことで、うまみを引き出しましょう。
一番出し、二番だしの上手な使い方とは
おいしいだし汁がとれたなら、味付けにもひと工夫を!
一番だしには、塩、うすくちしょうゆ、白しょうゆなどの繊細な味つけがおすすめ。
二番だしは、一番だしよりも、濃い味つけの家庭料理に向いています。
だし汁そのものに、一度、塩やしょうゆなどの調味料を少量加えて味見をしてみると、だしと味付けのバランスがつかみやすくなりますよ。調味料の種類や質にも、ぜひこだわってみてくださいね。
── だしの味わいを活かした料理は、塩分やカロリーのコントロールがしやすいため、ダイエットにも向いています。ていねいにとっただしを使った和食で、おいしく健康的に秋を味わいましょう!