秋、季節の香りというと金木犀(キンモクセイ)が浮かぶ方が多いのではないでしょうか。毎年かぐわしい香りを風にのせてくれますね。金木犀だけでなく木犀科の花はとても良い香りを届けてくれます。その仲間には何と柊も⁉︎ ホッとする間の少ない今年の秋ですが、今日は香り記念日です。季節の花の香りでリラックスしてみませんか?
秋から冬へ香りのリレー
10月になるやならずの頃、良い香りがする…と思うとオレンジ色の小花をいっぱいつけた金木犀(キンモクセイ)に気づきます。今年は気象条件により開花期間が少し遅く短く感じられたのが、さびしいですね。金木犀から少し遅れて、銀木犀が開花します。白っぽい小花からは控えめな甘い香りが!まさに香りのリレーですね。銀木犀はあまり街路樹に使われないため、見かける機会があればぜひ近くに寄って優しい甘さに癒されてください。
銀木犀と柊の雑種と考えられているのが柊木犀です。実は柊もモクセイ科の花です。銀木犀の良い香りと柊のギザギザの葉っぱを持ち合わせている柊木犀は、ちょうど今頃開花して楽しませてくれます。銀木犀との大きな違いは、葉っぱのギザギザのほかに街路樹に使われやすいことです。香りも「クリームのような」まろやかさと言われ、強い甘さの金木犀、控えめな甘さの銀木犀とは少し違います。それぞれの美しさと芳香をもって生まれた花たちにありがとうと言いたいですね。
年代ものほど丸くなる?
もう一つ面白いことに、柊木犀のギザギザの葉っぱは年を経るごとに丸くなる特徴があります。これは柊も同じです。人生においても、秋から冬というとさまざまな経験をして角が取れてくる頃ですね。すでに丸みを帯びてきた方は共感を、まだギザギザの方はそのうちきっと…などと、わが身になぞらえると、あなたはどちらでしょうか? 秋の夜長、花の香りに想いを馳せて、ゆく季節を感じるのも一興ではないでしょうか。
過ぎゆく秋、皆さまにたくさんの実りがあることを願って…。
引用・出典 他
【参考】
・季節の花300 下記リンク参照
・俳句歳時記 「秋」、「冬」 角川書店
【観賞ポイント】
香りとともに、散った花が土に還る様も美しいのがモクセイ科の個性ですので、観賞の際にぜひ、足もともご覧くださいませ。