今年の中秋の名月は、あさっての9月13日です。
夏から秋へと季節が移りゆくなか、暦上における秋の最初のイベントが中秋の名月になります。
日本では、昔から満月を愛でる風習がありますが、中秋の名月は一年のうちで最も美しい月として鑑賞されてきました。また、農業や漁業などとも密接に結びついてきたのが月であり、秋の満月は収穫への感謝をささげる側面もありました。
9月13日には、秋風を感じながら夜空を眺めてみませんか。
月の満ち欠けの運行サイクルで定められた日付け。満月は豊穣の象徴であり、感謝の対象であった
日本人と月との関係は深く、月の美しい輝きは、鑑賞の対象であると同時に人々から祀(まつ)られる対象でもありました。
この月をおがむ(拝む)風習は、月が暦の役割を担ってきたことに関係します。旧暦では、月の満ち欠けのサイクルと太陽の運行によって日付けが決められ、農耕をはじめとする生活に役立てられていました。現在の太陽暦が日本で採用されたのは明治6(1873)年。月をカレンダーにしていた時間のほうがずっと長いのですね。
秋の気配を感じるころに満月となる月を豊穣の象徴と見立てて拝んだことは、自然のことだったのでしょう。収穫への感謝を祝う側面をもった中秋の名月は、秋の美しい満月を鑑賞する行事として現在にも根づいているのです。
7月から9月は旧暦の秋。秋の真ん中は中秋。ススキを稲穂に見立てて飾った
中秋の名月が毎年違う日になるのも、月の運行サイクルを基準にした旧暦との関係があるからです。
月は約29.5日で地球の周りを一周します。新月(月が見えない状態)からスタートした月は少しずつ満ちて約15日目で満月となり、また少しずつ欠けて新月へと変化していきます。
旧暦では新月を1日として考えるので、半分の約15日がちょうと満月になります。つまり、満月が十五夜のお月さまと言われるのはこのためで、中秋の名月は、必ず旧暦の8月15日にあたりますが、太陽暦に合わせると日にちがずれてしまうのです。
また、旧暦で秋は7月から9月になります。農耕民族であった日本人は実りの秋に感謝し、その年の最初の収穫物を月にお供えしていたといわれています。お供えものと言えばススキと団子が定番ですが、ススキは稲穂に見立て、団子はサトイモであった時代もあったようです。
中秋の名月が満月とは限らない。今年は翌日の9月14日が満月
さて今年の中秋の名月をみると、じつは翌日の9月14日が満月で、1日早い満月のお祝いとなりそうです。
前述したように、新月から満月までの日数は約15日、正確には約14.76日であること、さらに月の公転のスピードにより、旧暦の15日にあたる日=満月とならない場合も多いのです。
9月14日の満月は、今年一年で最も小さく見える満月です。肉眼では「いつもの満月」と変わりませんが、少しこぶりな可愛らしい満月を、ぜひ鑑賞してみましょう!