日中の気温は高くても、夕方になると涼しい風が吹き、虫の音が美しく響く季節になりました。日没もどんどん早まり、秋の気配が感じられますね。
気温が下がって空気が乾燥してしてくると、肺は呼吸によって体内の水分量を調整します。大腸は消化された食べものに含まれる水分を吸収し、腎臓に送って循環させます。今回は、秋に重要な役割を果たす「肺」と「大腸」に注目して、これからの季節を健やかに過ごすための食養生をご紹介します。
免疫機能を司る重要な器官「肺」と「大腸」
肺と大腸には、リンパ管が網の目のように張り巡らされています。リンパ管のなかには多くの免疫細胞があり、空気や食べもの、バクテリアなどの外界から入ってくものから、からだを防衛する役割を担っているのです。そのため、肺と大腸は人体で最大の免疫器官といわれています。
リンパの流れが悪いと老廃物がうまく排出できずに、エネルギーの流れが滞って毒素が溜まってしまいます。アレルギー症状や鼻炎、口内炎、むくみ、便秘や軟便などは、免疫機能が低下しているサインかもしれません。
水分をたっぷり含む食事と部屋の保湿で、からだのうるおいを保つ
空気が乾燥する秋以降は、「肺」が弱りやすい時期。水分代謝が上手くいかないと、肺や皮膚からどんどん水分が失われることなります。皮膚がカサついたり、 のどが痛い場合は、部屋の湿度を40%くらいに保ちましょう。のどや鼻、肺の粘膜が乾燥すると、病原菌が体内に侵入しやすくなります。
食事も、焼肉や焼魚、フライ、揚げものよりも、汁物や煮物など、水分をたっぷり含むメニューがおすすめです。お菓子も蒸したものや寒天や葛などでつくった水気を含むものを選びましょう。
秋の気を取り入れる!5つのおすすめ食材
◆皮付きの食べもの
大根、人参、レンコン、ゴボウなどは皮をむかずにいただきましょう。皮のなかには亜鉛やマグネシウム、セラミドなど、皮膚にうるおいを与える成分が多く含まれています。根菜には大腸のはたらきを促す食物繊維もたっぷりです。
◆やさしい辛みが食薬
玉ねぎ大根、白ネギ、生姜などに含まれる自然なやさしい辛みは、呼吸器のはたらきを高め、皮膚に負担をかけずに毛穴を掃除してくれます。大根に含まれるジアスターゼという酵素や、ネギ類に多い硫化アリルという芳香成分には整腸作用があります。
◆秋の味覚、きのこ
松茸や舞茸などのきのこにはアルカリ成分分解酵素が多く含まれ、リンパ管の詰まりを解消して免疫機能をサポートしてくれます。
◆糠漬けなどの発酵食品
糠床には乳酸菌などの有用菌が多く含まれており、糠漬けの野菜は腸内環境を整えてくれます。なかでも、たくあんはビタミンB群やオリゴ糖、食物繊維、乳酸菌など、大腸を整える成分がたっぷり。玄米麹を使った玄米味噌にも解毒発酵というはたらきがあり、リンパ管に詰まった汚れを掃除してくれます。
◆穀物では玄米
秋に実る玄米や雑穀、蕎麦には、秋からの寒さを乗り切るエネルギーが蓄積されています。玄米には、便通を整え腸のはたらきを良くする多くの成分が含まれています。注目のガンマオリザノールという精神安定作用をもつ成分も。玄米食が難しいときは、米糠の成分を還元できる糠漬けをいただきましょう。
これからの季節に合った食べ方を知り、「肺」と「大腸」を労って免疫機能を高めましょう!
参考文献
岡部憲二『マワリテメクル小宇宙~暮らしに活かす陰陽五行』ムスビの会 出版部 2016