すでに2学期がスタートした学校も多いようですが、9月を目前に控えて新学期の準備に追われている小中学生も多いかもしれません。長かった夏休みですが、お子さんが学校に通うようになると食事作りの負担が少し減り、お母さんは一息つけるかもしれませんね。
1年のうちで学生さんや親御さんにとって4月、9月、12月は区切りの月といえますが、2020年4月から成年年齢が現行の20歳から18歳に引き下げらることをご存じですか。この引き下げは、約140年ぶりに定義が見直されることによるものですが、私たちの生活にどんな影響があるのか、早速みていきましょう。
成年年齢とは?
まず、成年年齢とは何かについて説明しましょう。
民法の成年年齢には、「一人で有効な契約をすることができる年齢」という意味と、「父母の親権に服さなくなる年齢」という意味があります。日本における成年年齢は、明治9(1876)年以来、20歳とされてきました。
世界的には、成年年齢を18歳とするのが主流となっており、わが国でも公職選挙権年齢や憲法改正の国民投票の投票権年齢を18歳と定めるなど、若い世代の国政への参加が促されてきました。
それらの流れを受けて、民法においても18歳以上を大人として扱うことが適当ではないかという議論が出てきたのは自然なことといえます。「民法の一部を改正する法律」は、2020年4月1日から施行され、その時点で18歳以上20歳未満の方はその日に成年に達することになります。
参照/法務省ホームページ
成年年齢の引き下げによって変わること、変わらないこと
成年年齢が引き下げられることによって、18、19歳の方は親の同意を得ずに、さまざまな契約を締結できるようになります。その一例を挙げると……
・携帯電話の購入
・一人暮らしのアパートを借りる
・クレジットカードをつくる
・高額な商品を購入する際、ローンを組む など
また、親権に服す必要がなくなるため、進路や居所を自分の意思で決めることが可能になります。また、公認会計士や司法書士、行政書士、医師免許などの国家資格を取得することもできます。
一方、成年年齢が引き下げられても、これまでと変わらないこともあります。それは、お酒やたばこの年齢制限です。また、競馬や競輪、オートレースなどの公営競技の年齢制限もこれまで同様20歳のままです。
結婚は何歳からできるの?
現在、民法で定められている婚姻適齢期は、
男性が18歳以上、女性が16歳以上です。しかも、未成年者の婚姻については父母の同意が必要です。
今回の成年年齢の引き下げを受けて、婚姻適齢期が変わります。
女性の婚姻適齢期が18歳以上に引き上げられ、男女差がなくなります。
社会的・経済的な成熟度から見ても、現在は男女間に特段の違いはないことから、成年年齢引き下げにより、男女差の解消が決定されました。
気になる成人式は、どうなる?
成人式の時期や在り方に関しては、各自治体の判断で行われており、法律による決まりごとはありません。通常は「成人の日」(1月の第2月曜日)の前後に催され、その年度に20歳になる方が対象となります。
成年年齢が引き下げられる初年度は、18、19、20歳の3世代同時に実施するのか、また、18歳というと高校3年生であり、受験シーズンに成人式を行うべきなのかなど、課題も多く、各自治体ともまだ検討が続いている状況のようです。
── 冒頭で申し上げた通り、成年年齢の引き下げは約140年ぶりの大きな出来事です。その時が来てから慌てないためにも、自分の生活に起こりうる変化について、家族や学校で話し合っておきましょう。