夏のような日差しや気温の日もありますが、日陰に入れば清々しさを感じられる新緑の美しい季節ではないでしょうか。そして今日は、この時季にぴったりの「森林(もり)の日」です。森林にちなんで、古くから私たちの一番身近にある森についてご紹介したいと思います。
私たちに寄り添う身近な森、「鎮守の杜」
「鎮守の森」と聞くと、日本で受け継がれている「村祭」という唱歌を思い出される方もいるのではないでしょうか。「村の鎮守の神様の、今日はめでたい御祭日。ドンドンヒャララ...」から始まる歌詞で、豊作を祝い、宮の森に朝から晩まで人が集っているという歌です。信仰には様々な考えがありますが、山や森、海や川など、自然に神が宿るという自然信仰の考え方は、日本人の多くの方が受け入れやすいのではないでしょうか。鎮守の森の由来には、その森に降り立った神様に滞在して地域をお守りして頂こうとその場に神社が建てられたという場所と、人々の思いによって建てられた神社を、囲い守るために人工的に作られた森とがあるそうです。暮らしているエリアにそれとはっきり分かるような鎮守の森を見つけたことがないという方も、旅行などで電車に乗って景色を眺めていたら、唐突に、小さな森のような山のような、木が密集したエリアに目を奪われた経験はありませんか?よくよく見ると鳥居があることも。筆者も電車の中から見かけることがあるのですが、やはりその場所だけ特別な雰囲気を醸し出していると感じることもあります。
永遠の森を目指して作られた明治神宮の「鎮守の森」は今
さて、日本で最も有名な、計画的に作られた鎮守の森に囲まれているのは、明治神宮です。明治天皇が崩御された後、全国から明治天皇をお祀りする神社を建ててほしいという声があがり、建立に伴って鎮守の森も計画されたのだそうです。明治神宮に訪れたことがある方ならば、あの森が人工的につくられたものであることに驚くことでしょう。それもそのはず。明治神宮の鎮守の森の計画は100年後を見越したもので「永遠の森」を目指し、森がその土地の自然と同化して自分の力で生き続けられるようにと様々な調査や解析によって、その土地に根付く森づくりがなされたのです。大正4年(1915年)に工事が始まり、令和2年(2020年)で明治神宮鎮座100年を迎えます。そして、今現在の鎮守の森は、当初目指した森に仕上がっているのだそうです。来年は東京オリンピックも開催されるため、明治神宮を訪れる人も益々多くなることと思いますが、是非、鎮守の森が織りなす空間を味わっていただきたいと思います。
◆明治神宮