北海道の北東部に位置する北見市は、桜の開花はゴールデンウィーク後半と予想されていますが、桜の開花よりも早い時期に満開を迎える花があります。それが「エゾムラサキツツジ」。桜と同じように、葉が出る前に花が咲きます。北見市にはエゾムラサキツツジで薄赤紫に色づく「つつじ山」があり、4月30日にエゾムラサキツツジの開花が宣言されました。3日からはお祭りが開催されるつつじ山。連休の終わりは、桜よりも一足早く咲くエゾムラサキツツジの大群落を見に行ってみませんか。
桜・梅よりも早い開花。花が咲いた後に新しい葉が出る
北海道で咲くツツジはいろいろありますが、その中でもっとも早く咲くのがエゾムラサキツツジ。花は紫がかった濃いピンク色。梅や桜よりも先に咲くので、北海道では春を告げる花として親しまれています。
1mほどの低木ですが、2~3mに成長するものもあり、公園や庭園に植えられているほか、一般家庭でもよく見かけます。また、街路樹にも使われていて、函館ではおよそ2万2000本が道路の脇に植えられています。
開花時は越冬して“色が悪くなった”葉が少し残っていますが、花が咲き終わるころになると新しい葉が出てきます。秋になると葉は赤く紅葉し、ほとんどの葉は散ってしまいますが、一部が越冬し、春まで残ります。
エゾムラサキツツジは北海道民にとって、とても身近な花です。特に道東・道北では、富良野市、士別市、網走市をはじめ、佐呂間町、足寄町、新得町などで市町村の花として親しまれています。
〈参考:(社) 北海道造園緑化建設業協会 エゾムラサキツツジ〉
7万株、28万本の大群落が北見市留辺蕊(るべしべ)の「つつじ山」に
北見市の西側に位置する留辺蕊町の温根湯(おんねゆ)地区は、良質の温泉がわく温泉街で、旅館やホテルが立ち並びます。そこに、こんもりとした山がありますが、広い公園を有するこの山がつつじ山です。
つつじ山には7万株・28万本のエゾムラサキツツジが群生し、5月上旬の開花の時期には山全体が薄赤紫に色づきます。昭和32年、北海道によって天然記念物に指定され、花が開いているときにだけ入山することができます。今年は4月27日~5月16日までが入山期間です。
つつじ山は北海道自然100選にも選ばれていますが、日本産絶滅危惧植物のグローバルレッドリストに入っていて、絶滅危惧Ⅱ種(絶滅の危険が増大している種)として登録されています。北海道でも珍しいエゾムラサキツツジの群生を絶滅させることのないよう、見守っていきたいですね。
〈参考:文化庁 文化遺産データベース「温根湯エゾムラサキツツジ群落」〉
5月3日~6日は「おんねゆ温泉つつじ祭り」
エゾムラサキツツジの開花で濃いピンクに彩られるつつじ山では、5月3日~6日、「おんねゆ温泉つつじ祭り」が開催されます。春になると、梅も桜もチューリップも一気に咲く北海道では、桜が咲く前に花の祭りがあるのは珍しく、一足早い花のお祭りです。期間中はさまざまなイベントが開催され、6日は和太鼓演奏、ヒーローショー、歌謡ショーなどが予定されています。
第48回おんねゆ温泉つつじ祭り
■期間:令和元年5月3日~6日
■会場:おんねゆ温泉つつじ公園 特設会場
■住所:北見市留辺蘂町花丘
■問い合わせ:0157-45-2921(実行委員会事務局)
・屋台ランド:3日~6日
・てぶらジンギスカン:3日~5日
・バーベキューカーニバル:5日
・ふわふわ遊具:5日・6日
温根湯(おんねゆ)温泉街の天気
一般的にツツジというと、きれいに丸く刈り込まれたり、四角く剪定されて街路樹にされていたりなど、どちらかといえば“整った”形になっているものをよく見かけますが、エゾムラサキツツジはきちんとした形のものよりは、自然のままの姿のほうが似合っているような気がします。北海道らしい野性味あふれるツツジともいえるでしょう。
北海道で春一番に咲くエゾムラサキツツジの後は、いよいよ桜のシーズン。道東・道北ではゴールデンウィーク後半から桜が満開を迎えるとともに、一気に花々が咲きはじめ、日本で一番遅い春がやってきます。