ウインタースポーツシーズン真っ最中の2月。スキー、スノボを楽しみに雪山へ向かう人も多いことでしょう。一般の人でも楽しみやすいスポーツであるスキーですが、スキージャンプとなると経験者はだいぶ限られます。テレビで見ると、選手は軽々と飛んでいるように見えますが、100mほどの距離を飛んでしまう命がけの競技です。
そんなスキージャンプに「K点」という言葉がよま出てきますよね、でも、この「K」の意味をご存じですか? 今回は、意外と知らないスキージャンプの用語の意味をひもときます。
最初に「テレマーク」ってどういう意味?
「K点」のお話をする前に、スキージャンプの歴史に少し触れておきます。
スキージャンプはノルウェーが発祥といわれています。一説にスキージャンプは「処刑」の一種だったという話もありましたが、こちらは根拠がないということで、現在はデマという説が濃厚になっています。
また、スキージャンプは、スキーで遊んでいるうちに自然発生的にジャンプになっていったという説が濃厚です。そして、スキージャンプが発展していく中心となったのが、ノルウェーの「テレマーク」地方だとされています。
「テレマーク」という言葉に聞き覚えのある方もいるでしょう。
テレマークとは、ジャンプの着地時の美しい姿勢のこと。ひざから下を前後に開き、後ろの足はつま先立ちという姿勢がもっとも美しいといわれ、テレマーク姿勢を入れられるかどうかが、高得点獲得のポイントとなります。スキージャンプの技術を表す言葉は、地名が由来だったのですね。
次に、K点の「K」は、どこからきている?
実況でよく聞かれる「K点越え」という言葉。K点を越えると大ジャンプという印象がありますが、そもそもK点の「K」には、いったいどんな意味があるのでしょうか?
実は、ドイツ語で「建築基準点」を表す「Konstruktionspunkt」の頭文字を取って「K点」と呼ばれているんです。「建築基準点」はスキージャンプと関係ない言葉ように思えますが、飛行可能な距離が何mの設計になっているかを示したものが「K点」なのです。
ただし、このK点の意味も昔は異なる意味だったのです。
以前はドイツ語で「Kritischer Punkt」を指すものでした。これは「臨界点、極限点」などと訳されます。つまり、これ以上飛ぶと危険ですよという印を示すものがK点だったのですが、現在は、K点を越えても安心というアピールなのか、「Konstruktionspunkt」の意味に変わってきているのです。
そして、限界への挑戦「フライングヒル」とは?
建築の安全性をアピールするとともに、人間の限界がどこまでかを試すようなジャンプ台が登場しました。それが「フライングヒル」です。
ここでは、冬季五輪種目となっているノーマルヒル、ラージヒルと比較してみましょう。
ノーマルヒル
ヒルサイズ:85~109m/K点:75~99m
ラージヒル
ヒルサイズ:110~184m/K点:105~125m
フライングヒル
ヒルサイズ:185m/K点:145~185m
ヒルサイズは、ジャンプ台の規模を表すものですが、現在スキージャンプのW杯(男子)で行われているのは、ラージヒルとフライングヒルです。
これは観戦側が求めるスペクタクル性を考慮してとのことですが、勝手ながら観戦する側は、選手が一体どこまで飛ぶのだろう……という、人間の限界に挑戦した姿を期待してしまいます。そして、そんな思いに応えたのがフライングヒルなのです。
残念なことに、日本ではこの規模のジャンプ台はないので、ぜひW杯でチェックしてみてくださいね。
── 今シーズンは、ひさびさに日本人選手のW杯総合優勝の期待がかかります。進化するスキージャンプ、この先どんな進化を遂げるのでしょうか。楽しみですね!