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北海道 ホタテの養殖。「獲る漁業」から「育てる漁業」へ


北海道はホタテの水揚げ量日本一。北海道のホタテは貝柱が大きく、プリッとした身がたまらない魅力です。昭和のはじめころまでは、ホタテは天然ものの漁が主流でしたが、乱獲や環境の変化などで水産資源が枯渇し、衰退の危機に陥りました。そこで、各地で養殖に向けての試行錯誤が繰り返され、見事成功。今ではホタテ漁は北海道で安定した産業となっています。「獲る漁業」から「育てる漁業」へ転換したホタテ漁。現在はどのように養殖しているのでしょう。


オホーツク海や根室地区では「地蒔き」式。稚貝を放し海底で育てる。

北海道のホタテ漁は「地撒き(じまき)」式と「垂下(すいか)」式の2種類あります。地撒き式はオホーツク海沿岸や根室付近で行われていて、一年育てた貝(稚貝)を海に放し、2~4年間、海底で成長させる方式です。オホーツク海の盛漁期は初夏~秋で、主に、貝柱や干貝柱などに加工されます。一方、根室付近の盛漁期は冬から初春にかけて。こちらも稚貝を海底に放流し、天然ものとして育てる地撒き式です。

地蒔き式はほぼ天然の環境なので、ホタテ貝には海底の砂がついていたり、時にはヒトデやウニ、カニ、魚などが混じって水揚げされることがありますが、ホタテが海の底を自由に“泳ぐ”ので、身が大きく太っているのが特徴です。


日本海と噴火湾では「垂下」式。貝の“耳”に穴を開けてロープで吊るす。

日本海沿岸と噴火湾沿岸では「垂下」式で養殖しています。毎年5月になると、噴火湾に面する八雲町付近では、ホタテの“耳吊り”作業に追われます。ホタテの“耳”とは、貝の丸くない方(貝が開かない方)を指します。5~6cmに育ったホタテの稚貝の“耳”に機械で直径1cm弱の穴を開けてテグスやピンを通し、100個以上をロープにくくって海に吊るします。これをホタテの“耳吊り”といいます。

耳吊りは町をあげての一大作業で、八雲町などホタテの養殖が行われている地域では5月の風物詩です。大変な作業の耳吊りですが、八雲町ではこれを楽しんでもらおうと、毎年「世界耳吊り選手権」が行われて盛り上がりを見せています。

海にホタテを吊るす方法は耳吊りのほかに、ホタテ貝をカゴに入れて海に吊るして育てる方法もあり、これらを「垂下」式と呼びます。ロープやカゴで海に吊るされたホタテ貝は1~2年かけてゆっくり成長し、冬から春にかけて水揚されることが多く、主に剥き身などに加工されて出荷されます。

〈参考:八雲町「ホタテ養殖の概要について」〉


ホタテ漁は北海道の主力産業。海底で育つホタテがおいしい秘密とは…

ホタテは北海道の漁獲量全体の3割を占め、海外への輸出額も、北海道産の食品の半分を占めます。このように北海道の漁業の中核となるホタテ漁ですが、一時は不漁で苦しむ時期もありました。

現在、オホーツク海に面するサロマ湖では、1年育てたホタテの稚貝を海に放し、3年後に水揚げする地蒔き式が行われていますが、昭和初期まではカキの好漁場でした。しかし、昭和4年に湖畔を掘削したところ大量の海水が湖に流入してしまい、カキが激減しました。

そこで、カキをあきらめホタテに目をつけ、湖内で稚貝を育てるなどの試行錯誤が繰り返され、今ではホタテ漁はオホーツク管内の安定した水揚げ量を誇る産業となっています。

ホタテ貝は天敵であるヒトデが近づくと、 2枚重なっている貝を開閉させてジェット噴射のごとく1~2mもの距離を勢いよく移動することがあります。この時、貝の開閉に使われるのが貝柱で、まるで筋肉のような働きをします。ヒトデはホタテにとっては“迷惑”な存在ですが、そのおかげで貝柱が大きく育つというわけです。

このように、カゴの中で育てられるホタテよりも、海底で自由に運動するホタテのほうが貝柱が太くなります。しかも組織のキメが細かいため、食感もなめらかになります。これがオホーツク海沿岸のホタテがおいしい理由であると言えるでしょう。

〈参考:北海道ぎょれん「北海道のほたて」〉

〈参考:新・実学ジャーナル「オホーツクのホタテはなぜウマイ」〉

〈参考:北海道新聞「“育てる漁業”への転換点 1964年 サロマ湖でホタテ稚貝養殖成功〉

道産食品の輸出額は647億円ですが、そのうち、ホタテとその加工品だけで326億円と、ほぼ半分を占めています。北海道の産業を支えているホタテ漁。一年を通して水揚げされますが、その中でも冬の時期が一番身が大きく、しかも締まっていると言われています。

北海道では初雪の便りが聞かれ、そろそろ冬本番を迎えますが、ホタテはこれからが最もおいしくなる季節です。今年も大きな身のホタテを堪能したいですね。

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