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秋立ちぬ。暦の上では「立秋」今日から秋です


「初めて秋の気立つが故なり」と暦便覧に記されていますが、「秋の気配さえ感じられない」と大いに違和感を抱くことでしょう。七十二候は「涼風至(すずかぜいたる)」です。本当に少しでも涼しい風が欲しい! 時ですね。昔から日本人は「季節を先取りするのがお洒落」といわれていますが、経験したことのない暑さにあえいでいる現代人に、秋の先取りは難しそうです。それでも季節は動いている、というのは自然のながれです。やりきれない暑さの中でも何か秋にむかっているものがないか、探してみませんか?


つくつく法師やヒグラシの鳴き声が聞こえませんか?

朝、太陽が昇り始め陽差しがしだいに強くなってくると蝉が鳴き出します。みんみん蝉や油蝉の鳴き声は照りつける太陽の光の強さと呼応するようにやがて大きくなり、木々の間に響きわたります。都会のビルの中でも通りに沿って植えられた大きな木がつくる木陰や、歩道の植え込みで蝉の鳴き声が聞こえてくると、夏だなぁとふと急ぐ足もゆるみます。

午後も夕方ちかくなって来た時、耳を澄ませてみてください。どこかに違う鳴き声が聞こえてきませんか? 「カナカナカナカナ・・・・・・」や「つくつくほうし! つくつくほうし!」の鳴き声が。子供の頃はつくつく法師が鳴き出すと「大変だ、夏休みの宿題そろそろやらなくちゃ」と思ったものです。そう、夏が終わりに近づいていることを知らせてくれているのですね。ヒグラシの声はなんとない午後のけだるさを、ゆったりとした気分にさせてくれるような気がします。こんな暑さの中でもきっと蝉は季節の流れのなかに存在を発揮してくれることでしょう。私たちも秋が近づく声をキャッチしてみましょう。

ヒグラシ

ヒグラシ


空を眺めてみませんか? 雲はどんなでしょう、月はいかがですか

「太陽はいつもまんまる秋暑し」 三橋敏雄

可愛らしい句ですね。こんな句に出合うと続く暑さも許そうか、という気にさせられてしまいます。俳句のもつ力でしょう。空はどんな雲が流れていますか? ホッとひと息つける風が欲しいものです。

「秋立つや雲は流れて風見ゆる」 三浦樗良

空の上でも季節はしだい移り変わっていきます。夏から秋へ移りゆく空を「行き合いの空」といいます。「行き合い」とは出合うこと。牽牛と織女が出合う七夕の夜の空も「行き合いの空」です。季節が変わりゆく時にも使われます。まだまだ暑さの続いていく今年の空に、そんな変化を探すのは難しいかもしれませんが、モクモクと立ち上がる入道雲や照りつける太陽の日をうけて眩しい雲の合間に、ふわっと現れることもあるかもしれません。

「秋の雲ちぎれちぎれてなくなりぬ」 内藤鳴雪

夜になっても気温の下がらない今年の夏をなんとかやり過ごしたい、そんな気持ちで空を見あげてみると、月も高い湿度のせいかぼんやりと見える日が多い気がします。月の大きさの変化を見ていると、夏の日も一日一日と過ぎていくのだな、と感慨が湧いてきます。

「新涼の月こそかかれ槙柱」 高浜虚子

暑い、暑いと言いながらも、身の回りのどこかに秋らしさを見つけられたら嬉しいですね。


残暑見舞いを書いてみませんか?

暑中見舞いはおしまい。立秋すぎたら残暑見舞いになります。まだまだ暑さはたくさん残っていそうですから、少しご無沙汰かしら? というお友だちには思いきって残暑見舞いを送ってみるのはいかがでしょうか。ふだんはLINEやメールを使っているからこそ、季節のあいさつを受け取るのは嬉しいものです。今年初めて経験している暑さを、お互いにいたわり合って乗り越えましょうと励まし合えたら少し元気が出ませんか?

そんな時はちょっと秋を感じさせる絵や柄、いろどりのある葉書を選んでみましょう。また自分で撮った写真になにか言葉を添えてもステキです。受け取る方に秋を感じてもらうための一工夫は、出す方の心も少し秋にむかって動き始めるかもしれません。本当に涼やかな風を感じられる時まで、身体を大切にしつつ暑い日々をうまくやりすごしていきたいですね。

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