東から西に進んだ台風一過によって、関東エリアでは体力が奪われるほどの高い気温が戻ってきました。そんな夏の熱気に負けない勢いを見せてくれるのが、東北の夏祭りです。「東北三大祭り」といえば「青森ねぶた祭」「秋田竿燈(かんとう)まつり」「仙台七夕まつり」ですが、これらの他にも東北各所で歴史ある夏祭りが多数開催されます。
これら東北の「夏祭り」は8月前半に開催されることが多いですが、なぜ他地域に比べて、東北ではここまで夏祭りが盛んになったのでしょう。 実は一見異なるように見える夏祭りでも、意外な共通点があったのです。
「東北三大祭り」のルーツは、七夕のとある行事にあった!?
大迫力かつ圧巻!これぞ夏祭りといわしめる“ねぶた”が有名な「青森ねぶた祭」
力強さとしなやかさが見る人を魅了する「秋田竿燈(かんとう)まつり」
鮮やかで涼しげ。夏祭りの代表選手ともいわれる「仙台七夕まつり」
── いずれも個性豊かな日本を代表する夏のお祭りですが、これらには意外な共通点があることをご存じですか?
実は「東北三大祭り」のルーツは「仙台七夕まつり」といわれています。
七夕行事のひとつに「眠り流し」というものがあり、これは秋の収穫時期に労働の妨げとなる睡魔や怠け心を祓い流す習慣(睡魔に見立てた人形を祓い流します)があるのですが、「青森ねぶた祭」も「秋田竿燈まつり」も、この「眠り流し」の一環として始まったお祭りとされています。
人々に愛され続け、圧倒的人気を誇る「東北三大祭り」
意外にも、ルーツは「眠り流し」という同じところにあった「東北三大祭り」。注目すべきは、その他にもありました。毎年地元の人だけでなく、多くの観光客を集める「東北三大祭り」は、いずれも「国指定重要無形民俗文化財」に指定されています。
日本では文化庁が定めた「国指定文化財」があり、「世界遺産」や「重要無形民俗文化財」のほか「重要有形民俗文化財」「重要文化財景観」「国宝・重要文化財(美術品)(建造物)」など、17の分類に分けられています。
今回ご紹介した「国指定重要無形民俗文化財」を見てみると、さらに「風俗慣習」「民俗芸能」「民俗技術」の3分類に分けられ、その数は303件に上ります。
文化庁のHPから、分類別、または県別で確認できますので、みなさんの居住地の「重要無形民俗文化財」を調べてみるのも楽しいですね。
「国指定重要無形民俗文化財」とは、人々が長い歴史の中で創り上げた文化の中で、特に重要と判断されたもの。当然ながらそれだけ地元の人々が、先人の想いや誇りを受け継ぎ、大事に育てていったものといえます。だからこそ、他地域から祭りを見に行く人々は、そのような貴重な文化であることを心に刻みながら、楽しみたいものですね。
多くの観光客に来てほしいという願いから集中開催される「東北夏祭り」
「東北三大祭り」の日程は、毎年固定で以下のように日程が決められています。
・青森ねぶた祭/8月2日~7日
・秋田竿燈まつり/8月3日~6日
・仙台七夕まつり/8月6日~8日
また「東北三大祭り」と並ぶ人気の祭りも、同じ時期に日程が固まっています。
・弘前ねぷたまつり/8月1日~7日
・盛岡さんさ踊り/8月1日~4日
・山形花笠まつり/8月5日~7日
・福島わらじまつり/8月5日~6日
※いずれの夏祭りも、交通規制、アクセス、開催時間等の詳細を事前に公式HPでご確認のうえお出かけください。
ちなみに「ねぶた」は青森市、「ねぷた」は弘前市。
ついつい間違えてしまいそうですが、似たような名前で一文字だけ違う理由は、先ほどご紹介した「眠り流し」が由来とされ、弘前市では「眠り流し」→「ねむたながし」→「ねむた」→「ねぷた」へ転訛していった……といわれています。微妙な名前の違いはあるものの、いずれも日本を代表する夏祭りであり、「重要無形民俗文化財」でもあるので、日程が許す限りどちらも観賞したいところですね!
── 8月上旬に集中しているものの、日程が少しずつずれているのは、複数の祭りに来場してもらいやすくするための工夫ともいわれていますし、いろいろな組み合わせて、どんな旅プランにするのか考えるだけでも楽しそうですね。
とはいえ、祭りの開催まであまり日にちがないので、気になる方は早速計画を立てましょう! 東北の人々の熱き魂が結集し、その熱気に落涙する人が続出する感動の夏祭り。さあ、みなさんはどの夏祭りを見に行きますか?