3月中旬に入って気温が上昇する日が多くなってきました。日本ではこれから全国各地で桜の見頃を迎えますが、海の向こうアメリカでは「熱狂の3月」に突入しています。
実は、大学ナンバー1を決める男子バスケットボールの全国大会が、3月中旬〜4月にかけてアメリカで行われるのですが、その大会は「マーチ・マッドネス」と呼ばれ、勝敗の行方に全米が大注目! それにしてもなぜ、アメリカでは大学バスケに、それほど熱狂するのでしょうか?
「マーチ・マッドネス」とは?
全米大学体育協会(NCAA)が主催する男子バスケットボール全国大会の正式名称は「NCAA Men's Basketball Tournament」。別名「マーチ・マッドネス」(3月の狂乱)とも呼ばれています。
NCAAにはレベルによってディビジョン1からディビジョン3まであり、ディビジョン1に属する大学の数は約350校。そして、各地区での予選を勝ち抜いた68校のみが本大会に出場できます。
約350校がしのぎを削る学生スポーツという特性から、番狂わせも大いに起こりえるため、トーナメント戦の勝敗の行方や、ナンバー1を的中させることは容易ではありません。こうし点から「全米が熱狂する」……といわれているのですが、熱狂を裏付ける理由はそれだけありません。その理由とは何なのでしょうか?
なぜアメリカでは、「大学スポーツ」が高い人気なの?
スポーツ大国・アメリカではプロスポーツも高い人気を誇りますが、日本と比べると、大学スポーツの人気がとてつもなく高い点がアメリカの特長ともいわれます。中でもバスケットボール人気は根強く、例えばプロスポーツに興味がない人でも大学バスケは必ず見る……という人も多いのだそう。
それは、プロスポーツチームが本拠地を大都市に置いているケースが圧倒的に多い一方、大都市から距離がある郊外では、地元の人から愛されやすい大学スポーツの人気が高いから。そのレベルは単に「地元チームを応援」といったものではなく、そう、まさに熱狂レベルの地元愛! こうした点から「マッドネス=狂乱」とも呼ばれているのです。
どうしてマッドネス(=狂乱)が起きるの?
トーナメント制であるうえ、学生スポーツですから番狂わせは起こりうるにせよ、なぜ熱狂・狂乱するほど大会が熱い注目を浴びているのでしょうか?
その理由のひとつには、アメリカならではのルールがあるからなのです。
大学在籍時にバスケットボールをしている選手の多くは、世界最高峰のプロバスケットボールリーグ「NBA」を目指します。日本のルールであれば、高校や大学卒業を機にプロ志望を表明しますが、アメリカのトップ選手の場合は違います。
有望な選手ほど大学入学後に1年プレーした後、NBA入りを表明するのです。
これは「アーリーエントリー」と呼ばれる制度。こうした理由によっても、1年のうちに選手の入れ替えが多々起こるのです。つまりこれが「マーチ・マッドネス」と呼ばれる大きな要因になっているようなのです。
── マーチ・マッドネスはスポーツ大国アメリカの規模を感じさせる一大イベント。戦士たちの熱き戦いが始まっているアメリカでは、「開催1週間前にして観戦チケットが95%売り切れ!」「マーチマッドネス、CM売り上げが1億ドル突破!」など、熱狂ぶりがうかがえる報道も多数目にするようになりますが、さて、今年はどこが優勝旗を手にするのでしょうか!